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2006/03/21

脳の中の人生 揺るぎないリーダー

ヨミウリ・ウィークリー
2006年4月2日号
(2006年3月20日発売)
茂木健一郎  脳の中の人生 第95回

揺るぎないリーダー

一部引用

 私は、以前から、「自分を疑うことを知っている人が好きだ」と思っていた。敬愛する夏目漱石が好例であるが、知性というものは、自分自身の立場を疑うところから始まると思っていた。自意識過剰な若者が聞いたような口を叩くのを目にする度に、やっぱり自己懐疑のないやつは駄目だなあなどと思っていた。
 ところが、角川さんに接して、その考えが少し変わった。自己懐疑などない方がかえってうまく行く職業が世の中にはあるんだなと思った。何億、何十億というお金を動かす映画プロデューサー自身が迷っていたら、周囲の人間はオタオタしてしまう。動かざること山のごとく、どっしりとした自信をもって身を処することが、巨大プロジェクトのリーダーに必要な資質だと感じた。

全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/

3月 21, 2006 at 08:08 午前 |

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コメント

角川春樹と鈴木敏夫。
どちらも、揺るぎ無い自信(=確信といいかえてもよろしいでしょうか)をもって映画製作という何億、何十億もの巨額の金が飛び交う巨大プロジェクトに携わっている名プロデューサーなのだが、角川氏のばあい、最近出た著書『わが闘争』(何故かヒトラーの「Mein Kampf」の邦訳タイトルとまるきり同じ)の中で、「オレは神だ!」なんてことを(これも揺るぎ無い自信からくるものなのだろうか)他人に如何思われようとも、堂々とのたまわっているところがある。

雑誌のインタビューでも、角川氏は、インタビュアーが聞いて驚く「神懸り」的な話をしていたという。曰く、

「台風の進路をずらしたり、大地震を止めることが出来る」、「八王子の医療刑務所にいるとき、末期リンパ癌の患者さんに手を当ててたった1分で治した」……。

これら一連の言動は、少なくとも私から見ても「幾ら何でもこりゃあ、“スピリチュアル”すぎてマトモじゃねぇなぁ」という思いがするのだが、逆にみると、このぐらい“神懸って”くるほど、山の如く揺るがない自信がなくては巨大プロジェクトを率いるリーダーは務まらないだろう。

角川氏くらい“神懸り”という“狂気”をおびるほどの確信がなくては映画製作という巨大プロジェクトを動かすことはできない。それはスタジオジブリの鈴木氏にも共通している。

鈴木氏は角川氏のように神がかってはいまいが、やはり映画のヒットへの揺るぎ無い確信をもって事にあたっている。そして彼がプロデュースした作品は彼の確信どおり、ことごとく大ヒットを飛ばしているのである。

>もちろん、人間は複雑な存在だから、内心何を考え、感じているかは、なかなか人に伝わらない。そのような留保を置いた上で、映画プロデューサーのような巨大プロジェクトを率いるリーダーは、やはり揺るがないことが必要なのではないか。

>たとえ内心迷っていたとしても、決してそれを人に見せない。そうしないと現場が回っていかないのだろう。

>脳の仕組みからすれば、揺るがない指針を与えるのは内なる論理(=もしくは規範か)の筈である。組織を動かす上で論理的思考の大切さを、改めて痛感した。

まぁ角川氏にせよ鈴木氏にせよ、山の如く確固たる信念(=自信)をもって巨大なプロジェクトを動かしているのである。

とにかく、このご両人には、「自分自身を疑う」という「自己懐疑」(Self-doubt)というのものがない。

それがないからこそ、巨額の金がかかる映画製作の現場を動かしていけるのだ。もし、プロデューサーが自己懐疑にとらわれていたら、ヒットする映画なんて作れないのだ。

もっとも、夏目漱石みたいに文藝を生業とする人や、この「脳のなかの人生」というコラムを書いている茂木健一郎のように科学のフィールドに携わる人は、自己懐疑があったほうがいいのだが。

角川氏について、東映の岡田茂氏がこんなことを雑誌のインタビューで言っていたそうな。
「とにかく変わり者。でもあれぐらいの人がいないと、映画界はダメなんだよ」と。

とにもかくにも、並の根性の人間には、巨大プロジェクトのリーダーは務まるまい。

もちろん、現場スタッフへの「気配り」は、両氏ともちゃんとやっておられるのであろう。スタッフへの気配りもリーダーの大切な条件であるのだから。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/03/21 11:28:21

志 あれば  一隅でも 大義成す

投稿: | 2006/03/21 9:30:18

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