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2006/02/14

灯台守

ひたすらモーツァルトを聞きながら、
大きな仕事を一つ終える。

 ほっとする間もなく、四谷の文化放送へ。
 以前、竹村健一さんとのトーク番組で
来たことがある。
 雰囲気のある、時代物のビルだが、
移転に伴い取り壊されるとのこと。

 吉田照美さん、小俣雅子さんと
脳の話を。
 ラジオは、喋ることに集中できるので
テレビとはまた別の楽しみがある。
 「白熱」のメディアなのかもしれない。

 出番の前に、調整室からスタジオを
ぼーうと眺めていると、カニの通販をやっており、
本当にカニ足を食べていた。
 
 小俣さんが値段や電話番号などのpractical
informationをアナウンスしている間に、
 吉田さんが「オレ、もう3本目だよ」とか、
「いや、本当にうまい」などと口を挟むの
だが、それを聞いていて昨年のエンジン01
の時に筑紫哲也さんが言われていた、
 「一人の人が喋っているとチャンネルを
変えられる」というテレビの法則を思い出した。

 だから、長く喋るゲストが出る時には、
筑紫さんは「そうですか」「なるほど」
などと短いコメントを入れるのだと言う。

 ラジオとテレビで同じことがあるのかどうかは
知らない。
 いずれにせよ、プロの仕事。

 集中的にばーっと仕事。
 一人で仕事をしているのは
本当に好きだ。
 アインシュタインが、自分は灯台守に
なりたいなどと言っていたが、
 その気持ちはわかるような気がする。
 
 ホテル西洋銀座で、中村うさぎさんとの対談。

 おめにかかったのは初めてだったが、
何時も週刊文春のエッセイを拝読しているので
なんだかいろいろなことを知っている
ような気がする。

 欲望を巡ってのお話。
 以下は中村さんが言われたこと。

 見た目は中身への玄関。それがきれいじゃないと
家に入ろうという気がしない。
 この顔は、整形外科医の作品ですから、でも、
二週間で慣れた。整形して以来、自分の顔に
対するこだわりがなくなった。
 私は、他者には関心がないのかもしれない。

 金で買えないものはないと思いますか、
と聞くと、
 それは、人の心でしょう、と中村さん。
 この世で一番美しいものは人の心である、
という説もありますが、とさらに聞くと、
 中村さんのレスポンスにはじめて
ためらいがあったようにも感じた。

 中村うさぎは、現代の日本における得難い
表現者の一人だと思っているが、
その創造性が一種のpathologyから来ている
こともまた事実だと思う。

 もちろん、それが悪いなどということではない。
そもそも危機と創発は隣り合わせであるから、
 pathologyをポジティヴに転化することは
常に可能なはずだ。

 その核に触れたのか、いつもは対談をしながら
いろいろ考えて、ぱっと思いついたことを
言うのだけれども(その時には「考えるポーズ」という
のがあって、だいたいアタマが後ろに倒れる)、
中村さんと話している時には、そのような
スペースが取りにくかった。

 そして、腰までつかる雪の
中を歩いた後のように疲労している自分を
見出した。

 先日、河合隼雄先生におめにかかった時、
カウンセリングで話を聞いていて
疲れた時には、相手の症状が重いのだと言われて
いたのが思い出された。

 誰だって病理の一つや二つ心の中に
抱えているんだと思う。
 それを表現に結びつけるというのはなかなか
大変なことである。
 やがて灯台守は、冬の海の波の上に嵐が
吹きすさぶのを聞きながら、
 自分の中の白熱を暖めておりました。

2月 14, 2006 at 06:20 午前 |

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コメント

お早うございます。
初めまして。
中村うさぎさんとの対談は何かに掲載されるのでしょうか?
おしえてください。

投稿: 牧おさむ | 2006/02/15 10:35:33

四ッ谷の文化放送の本社社屋は、自分も以前に偶然前を通りかかったことがあるのですが、キリスト教の施設だったかつての名残をとどめており、造形的には素晴らしい建物との印象をもちましたが、近々、取り壊されるというのは何とも残念であります。

さて、茂木さんと中村うさぎさんが対談された際に、茂木さんが

「此の世で一番美しい物は人の心である、という説もありますが」

と中村さんに仰った時に、中村さんがためらわれたということですが、それは人の心の美しい面をどこかで信じられなくなっている、私達現代人のひとつの“病理”なのかもしれませんね。

>誰だって病理の一つや二つ心の中に
抱えているんだと思う。
>それを表現に結びつけるというのはなかなか大変なことである。

私自身も、一種の病理をいつもかかえて生きています。その病理と自分的に如何つきあい、如何表現に結びつけて活かしてゆけば良いのか。

“白熱”のスピリッツを燃やしながら、思いを何時も廻らしております…。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/02/14 19:33:07

アインシュタインの灯台守・・・

絶海の孤島にそびえる灯台のイメージを転がしながら、思うに

茂木先生には、港町近くの、少なくともあまり寂しくないところが
お似合いなのではないのかしら・・・などと想像いたしましたが

いかがでしょうか?

まだレポートが終わっていないので、長居はできませんが

いま、資料というよりは、寄り道して読んでいた
「生物学のすすめ」黒田洋一郎・馬渕一誠編に面白い言葉があったので

ついお話したくなりました。

黒田先生は、去年の夏の神奈川LD協会のセミナーで、講演を伺ったことがあります。

なんだかとても安心感の漂う先生でいらしたように記憶しております。

黒田先生の担当のⅤ章の最後に

「脳の研究は一見華々しいが、
本当に研究しようとすると、いろいろ大変なのである。」と書いていらして、

その本当のお気持ちは、私などにはうかがい知れませんが

ふと茂木先生のつぶやきを、想いだしました・・・

dictionary108も届いて、お話したいこともありますが、また次にいたします。

プロフェッショナルは、忘れずに録画予約にしておきます・・・

投稿: TOMOはは | 2006/02/14 16:50:26

灯台守かぁ。
「白熱を暖める」...。何かシュールな感じの音だなぁ。
フムフム...。

投稿: kaukau | 2006/02/14 7:31:09

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