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2006/02/24

まっ、いいか。

収録の最中に、腹をかかえて笑い出しそうに
なったのは、初めてだった。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の第八回のゲスト、
 左官の挟土秀平さん。

 圧倒的に話がうまくて、
途中で壁土塗りを実演したり、
そのためにセットを組み直したり
と面倒な手続きが必要だったのに、
 とてもスムーズに収録が進んだ。

 終わったあと、有吉伸人チーフプロデューサーが、
「さん、挟土タレントになれますよ。事務所
紹介しましょうか」
とつぶやいたほどだった。

 挟土さんは自ら山に入り、土を
採取、それをそのままつかって壁を
つくる。
 壁土は温度や湿度などの環境因子
に影響される「生きもの」で、
 どんなに熟練した職人でも、
失敗する確率を0にすることは
できないという。
 
 だからこそ、挟土さんは自分は
とても「臆病」だというのだが、
その「臆病」をうまく使いこなせた
からこそ今日の挟土さんがあるのだろう。

 その「臆病」の内容が
私の笑いのツボに入ってしまった。

 朝、現場に行く前に、職人仲間たちと
「オレたち、今日、絶対失敗するよな」
「ひどいことになるんじゃないか」
「うまく行かないんじゃないか」
などと、暗い表情で話し合うというのである。

 しかも、取材したディレクターの大坪さんに
よると、
 挟土さんが「どう思う?」
と話しかけても、みんなくらーく下を
向いて口を聞かないのだという。

 そのくせ、引っ込み思案かというと、
そうではなく、
 臆病を上回る勇気がある。
 だから、難しい壁土の仕事にも
果敢にチャレンジしていくわけだけれども。

 そんなことをぼそりぼそりと
喋る挟土さんの雰囲気が、誰かに似ているなあ、
と考えていて、わかった。

 神戸大学の郡司ペギオ幸夫に似ている。
 郡司も、よく「ああ、オレはもう駄目だぁ」
と言いながら、実は案外明るく暮らしている。
 大胆な臆病も共通か。
 そのミョーな感じが、ツボにはまってしまった
のである。

 東京工業大学知能システム科学専攻の
吉田遼平くんが、NHK志望ということで、
一緒に見学した。

 1階の食堂で「さて、何を食べよう」
とサンプルを見ている時、
 裏から声をかけられた。
 「サイエンス・ゼロ」の落合淳さんだった。

 さらに、収録終了後、西口玄関で
メールをチェックしていると、
 「科学大好き土よう塾」の
高橋理さんが通りかかった。

 科学番組のディレクター志望という
吉田君、なかなかの幸運に恵まれている。

 相変わらずやることが一杯ありすぎて
イヤになる(というかもうオシマイって
いう感じか)毎日なのだが、
 挟土さんの話に笑い、
「まっ、いいか」という気分になった。

ポジティヴシンキングばかり強調される
現代だが、ネガティヴもうまく符号を反転させると
強烈なポジティヴになる。

 今日も「まっ、いいか」で乗り切って
いくことにしよう。

2月 24, 2006 at 08:28 午前 |

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受信: 2006/03/14 17:34:00

コメント

いつも楽しみに読ませていただいています。

「まっ、いいか」が持つ言葉のリズムは軽いですが、その裏には「全てを受け入れる潔さ」が感じられる言葉でもあるような気がします。

これを軽く言い切れる人は、案外に「強い人」なのかもしれません。

茂木先生、ぜひともお身体ご自愛下さいね。

投稿: やまざき | 2006/02/25 5:46:32

おお、そうか。
ネガティヴって符号の反転次第で「強力なポジティヴ」になるのか。

「まっ、いいか」ってのも結構大事なものなのだな。

いろいろ忙しい中で煮詰まる状況になるのは私も同じだけど、そのことで自分を追い詰めておかしくなるよりは、そのマイナスな気持ちを「まっ、いいか」とうまく反転させてポジティヴに切りかえる。


そのほうが、人間生きて行く上で、どんな辛い状況にあったとしても、よくやってゆけるのかもしれない。

悲観主義から楽観主義への効果的な転換は、意外やまさにこんなところにあるのかも。

まぁ、もっとも、私はそのへんに少々難があるクチなのだが…。

大いに参考にさせていただきます。

話は変わりますが、

今度の「プロフェッショナル」の収録は左官の方がゲストとのこと。

エントリーによると、その左官さんの話し方がとても面白くて、さらに、その左官さんが実演までなさって…ということで笑いそうになられたとのことで…。

いや~、どんなふうに面白かったのか、私も見てみたいですね。
(ふっふっふっ)

放映日が楽しみです。

茂木さんも毎日お忙しくていらっしゃいますが、常に楽観主義でいきたいものですね。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/02/24 20:41:19

「まっ、いいか」   は、意外に大切です。

たしかに、一番を目指して努力したり、完璧にしないと気がすまない・・・
反対に、どうせ私なんか、何をやってもうまくいかないんだ・・・

というような、どちらにも極端に偏ることなく、バランスの取れた『中庸』の考えは

案外、それをすることのほうが難しかったりするわけで
なかなかいいんじゃないでしょうか?

私も、やっぱりマイペースにしかできないことも多くて
人様に、ご迷惑にならない程度のマイペースならお許しいただけるとありがたいなぁ・・・

というのが、自分らしく生きる上での最近のキーワードになっています。

茂木先生の場合は、いくらそう思っていらしても

たぶんお仕事のほうが、先生を見つけて追いかけきてしまいそうですね・・・

そのときは、分身の術か変わり身の術でもマスターして

気分だけでも、「ドロン!!」といってみたらいかがでしょうか?

投稿: TOMOはは | 2006/02/24 15:24:58

お元気になられたようでほっとしました!!

これからもお忙しいとは思いますが
ま、いっか!!で乗り切ってください(笑)

投稿: のがも | 2006/02/24 12:27:05

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