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2006/01/11

Sturm und Drang

来週、仕事を兼ねて島田雅彦と
「ニーベルングの指環」を見るので、
久しぶりに『神々の黄昏』のDVDをかけながら
仕事をした。

 やはりワグナーのゲヴァルトな世界には
独特の味わいがある。
 世界を救済するために
神々の城に火を付けてしまう
ブリュンヒルデは何とも魅力的だ。

 現代人は何を小さな世界で、
一体何をしているのかと思う。

 Sturm und Drangだ!
 そんな気持ちを底に持ちながら、
研究所に行く。

 『婦人公論』の企画で、
美輪明宏さんと対談。
 何しろ、伝説の人である。
 お会いする前から
わくわくしていたが、やはり感激した。

 本当の「スター」というのは、こういう
人のことを言うのだと思う。
 幅広い教養に裏付けられた、力強い
世界観。
 近くにいると、着こなしといい、
宝飾品といい、まさに「オーラの泉」である。
 三島由紀夫、寺山修司、吉行淳之介、
東郷青児。

 きら星のごとき超一流の人たちと
交友してきた人だけあって、
 その眼力には凄みがあるように思われた。

 それでいて、こちらが話し始めると、あの
大きな目でじっと真摯に見つめられるのだ。

 美輪さんも言われるように、
「本物」を見なければならない。
 美輪さんは現代日本の「カワイイ」アニメ、
漫画もお好きだが、
 オペラや歌舞伎、演劇など
様々な「大人の文化」に触れて、その上で
「カワイイ」文化を称揚するのならば
 それは良し。
 現代のカルチャーだけしか知らないのは
いかにももったいない。
 
 カワイイ子供力と、シブイ大人のカルチャーの
バランスがとれて初めて文化は成り立つが、
 今の日本は後者が弱体化していないか。

 久しぶりに讀賣新聞の読書委員会に参加。
 文化部の
 待田晋哉さんや鵜飼哲夫さんに、「どうもすみません」
と謝る。

 何人か新しい委員の方がいらして、議論を
拝聴しているのが楽しかった。

 『プロフェッショナル』の放送を
生で見て、「決起集会」をするので、
 NHKへ。

 西口玄関に着くのがぎりぎりになってしまって、
出だしを見ることができなかった。

 放送中も、続々と電話やメールで
反響が来る。
 概ね好評な様子で、ほっとする。

 放送終了後、
 プロジェクトXから引き続きディレクターを
されている山本隆之さんと一緒に編集室へ行く。
 ちょうど、橋本さとしさんが
ナレーションを吹き込んでいるところで、
 チーフ・プロデューサーの有吉伸人さんが
ディレクションして、河瀬大作さんが
キューを出し、佐野俊二さんの回の
ナレーションが出来上がっていく。

 音声が、独立した複数のトラックとして
ハードディスク上に蓄積され、
 それを、有吉さんの「今の5フレ前」
などというかけ声で、テキパキと前後
にフレーム単位で移動して行く。

 これは大変な作業だなと思った。
 局に泊まり込む日々が続くのもわかる。

 近くの店で打ち上げ、決起集会。
 河瀬さんも、小池耕自さんとの
「極悪コンビ」が揃うと、
 仕事の時とは違ったはじけた素顔を見せる。

 いつも衣装をご用意くださるうえだけいこさんも
加わって
住吉美紀さんと細田美和子さんの
girlie talkが弾み、
 それに小池さんと河瀬さんが絡んで
大変面白かった。

 Sturm und Drang.
 疾風怒濤。
 方向性を誤らなければ、あとは
relentlessに行くだけだ。

1月 11, 2006 at 09:09 午前 |

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塾の仕事が終わり、夜の11時ごろに帰宅して、 妻とともにビデオを拝見いたしました。 あの「プロジェクトX」の後継番組としての プレッシャーを見事にはねのけて、 テレビ画面にぐいぐい引きこんでゆく 感動的な世界が創造されていました。 星野佳路の演出する再生�... [続きを読む]

受信: 2006/01/11 9:22:30

» ACIDMAN『季節の灯』と「もののあはれ」 トラックバック 不二草紙 本日のおススメ
 期せずして、昨日の記事の続きとなりました。昨日は1曲選ぶのは困難だと申しましたが、今日はあえてこの1曲を挙げて、そして私の「もののあはれ」論を展開いたします。  …なんて、ものすごい展開でありますが、これもひとえにACIDMANの音楽のお... [続きを読む]

受信: 2006/01/11 18:25:22

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受信: 2006/01/11 18:30:53

コメント

『プロフェッショナル』  見ました!!

星野さんの“その人らしさ”が、短い時間の中でも伝わってくる描き方でしたね。

それにしても、“人は、人との関係によって人間として存在する”
ということが実感できる内容だと思いました。

中堅のスタッフを集めての話し合いで
はじめは不安げだった表情が、帰りには生き生きと輝いて
スタッフの方たちの“やる気”が、画面からも強く感じられました。

星野さんがいらして、その言葉かけや手法で

人が、あんなに変われるなんて、ほんとうにスゴイです!!

脳の中の、ダイナミックな動きとその変化を見てみたいと、思ってしまいました。

茂木先生は、それを、きっとクリアにイメージしていらっしゃるのでしょうね…

茂木先生も、リラックスしていらっしゃるようにお見受けしましたが

お話しながら、ニコッとされるところが、少年のようで、とても印象的でした…

エンディングガ流れてきたときに、なぜか、涙があふれてきました…

    あと一歩だけ 前に進もう… 

次回の放送も、楽しみです!!

投稿: TOMOはは | 2006/01/12 5:33:25

美輪明宏さんって、凄いですよね。昭和の大人の文化を全て知っているって言うか、あの時代に光を放っていた大物たちとの交流もあったんですよね。
いまの日本は大人のカルチャーのパワーが弱まってしまっている気が私もするのです。「萌え」とかキティちゃんに代表されるような、「かわいい」子供カルチャーばかりになり、おばあちゃんまでもがキャラクターものを持っているという有様です。
そういう意味で三島や吉行らのような強力な大人カルチャーの牽引者がいなくなってしまったのは惜しい。ぜひとも大人カルチャーの復権が待たれるところです。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/01/11 23:14:59

 これから毎週茂木先生のTalkが聞けるようになるとは夢にも思いませんでした。
 嬉しいことは嬉しいですが…過密スケジュールになってませんか?くれぐれもお体には気をつけてください。余裕のあるところから、閃きも生まれてきますしね。

投稿: cosmosこと岡島義治 | 2006/01/11 21:25:24

茂木先生こんばんは。
すみません、引用させていただいた上にTB連射してしまいました。
申し訳ありませんが、削除お願いいたします。
失礼いたしました。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006/01/11 18:34:56

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