セレンディピティの密度
お台場の日本科学未来館に
「サイエンス+フィクション」
展を見に行く。
(2006年2月27日まで)
美術手帖編集部の斉藤哲郎さんと
一緒。
「グローバルカルチャー、自己と他者の構造」
の中心展示、「フロンティア・バス」
に激しく心を揺さぶられてしまった。
バスの座席に座ると、フロントガラスに
ドイツ・ゲッチンゲンのInstitute for Scientific Films(ドイツ語の略では、
IWF)
が収集した、世界各地の民俗学的資料映像が
映し出される。
シャーマンとか、ウィッチ・ドクターとか。
男たちが3人、裸で地面に座り、
一人が細長い「木の実」のようなものを4つ重ねる。
その上に、木からくりぬかれたボウルの
ようなものをかぶせる。
しばらくエイヤっとその
ボウルを叩いてから、ひょいと持ち上げると、
なぜか4つの木の実が地面の上に立っている。
つまりは、「手品」のようなものらしいのだが、
本人たちの風情が何とも良い。やる気がなさそうな、
それでいて確信犯のよろこびにあふれているような、
何とも言えない印象なのだ。
腰にわずかな覆いをつけただけの男が
ふらふらと両手を挙げながら歩いていったり、
ワニに鳥をたべさせ、その横を
頭にツボをのせた女たちが通り過ぎて
川に水を汲みにいったり、
「人間はこういう生活をしていたのか!」
という驚きにあふれた映像の数々。
一周30分くらいかと思うが、
思わず全部食い入るように見てしまった。
IWFのDVDリストの頁で、
解像度は悪いが、ストリーミングで映像を
見ることができる。
研究所へ移動。
Sony Music Artistsの出口豊さんと
打ち合わせ。
ゼミ。小俣圭、恩蔵絢子、関根崇泰が
論文紹介。
銀座へ。
資生堂ワードフライデイで
「理解できないことは何か」という
テーマで話す。
終了後、バックステージの美しい
空間でワインを飲む。
昼間に見たIWFの映像が脳裏に残っていて、
人間なる存在の多様さをしみじみと
感じていた。
セレンディピティの話もしたが、
一日のうちで、
IWFの民族学資料映像と出会ったことが最大の
それであった。
あの映像を見るだけでも価値があると
思うので、会期中お時間がある方は是非お台場へ。
1月 28, 2006 at 08:54 午前 | Permalink
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コメント
こんばんは。
「グローバルカルチャー 自己と他者の構造」
出来得る事なら是非!是非!見に行きたい。
私も人間の、元初の行動と心について知りたい!
27日の資生堂ワードフライディには行かれませんでしたが、3月4日の朝日カルチャーセンターでの「脳と漫画」シリーズの講演には必ず行きたく思います。
(行かれればいいのだが…);
投稿: 銀鏡反応 | 2006/01/28 20:00:54
IWFのDVDリストを見ましたが、どうやら有料のようですね。う~ん、残念!
投稿: cosmosこと岡島義治 | 2006/01/28 19:55:19