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2006/01/12

たらふく

朝はうっすらと雪が積もっていたが、
昼間はここのところの寒さが緩んで
暖かかった。

 最近の状況で、私が気にかけている
ことの一つは、「システムが勝利しつつある」
ということだ。

 コンテンツで言えば、個々のクリエーターよりも、
それを流通させる「システム」を作り上げた
ものの方が勝利する。
 
 ベストセラーとなった『下流社会』で
一番印象に残ったことは、
 「下流」の若者の方が自分らしく生きる
ということへのこだわりが強いということで、
 それが、おそらく現代においては適応的
ではないのだろうと思った。
 
 インターネットは、各個人をIDや購入履歴
といった数字へと還元する。
 個性を消した無味無臭のフラットな存在へと
自分を変換できるものが、
 現代においてはシステム適応的なのだ。

 そのようなことを、いとうせいこうさんとの
対談で話した。

 いとうさんは、最近は浄瑠璃の義太夫節
のお師匠さんに弟子入りして、
 声を張り上げているという。

 最後までシステム化され得ないのが、
「今、ここ」にあらざるを得ない
身体や意識だろう。
 いとうさんが義太夫節をやるというのは、
現代の状況に対する批評的行為なのではないか。

 終了後、桑原茂一さん、吉村栄一さんと
「たらふくまんま」へ。

 たらふくまんまは、もともとは博多のお店である。
 何となくなつかしい気がするのは、
子供の頃食べていたものが小倉生まれの
母の好みのものだったのだろう。
  
 正月など、ナマコを食べるのが当たり前だと
思っていたが、果たして関東では
 どれくらいその風習があるのだろう。

 自分の大好きなひとたちと
なつかしいごはんをたべるのは
 たらふくしあわせなことであった。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』
第一回の視聴率は関東地方で11%を超えた
ということで、初回としては大成功とのこと。

 有吉伸人チーフプロデューサーのチームに、
『プロジェクトX』の今井彰さんから
「おめでとう」という電話があった模様。

1月 12, 2006 at 07:49 午前 |

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反復するシステム/場所 グラン・ヴァカンス −エロゲの登場人物としての私達− 環境管理型権力のなかで、我々はシステムの中の一つのパラメーター存在として、 システム設計者の意のままに動く訳で、結局、グラン・ヴァカンスのAI達と何も 変わらない…。けれど、我々はシ... [続きを読む]

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コメント

いつの時代もそうだと思う。
いつも本能(個人)と理性(システム)の葛藤をしていると思う。

その中で自分はどう生きるかだと思う。

投稿: 平成の芥川龍之介 | 2006/01/12 22:37:52

個性を消去し数字に置き換える「システム」が「勝利」しつつある今の時代の中で、個々の芸術家がいかにしてそのシステムに迎合しないでよりよいものを創ってゆけるか。

これを、自分の今年の課題の一つとしつつ、頑張っていこうと思う。

※このエントリーの前のエントリーで、人間の心の奥底には、美しい部分と、そうでない醜い部分があるような気がどうしてもする、とコメント致しましたが、戦争などの悲惨をなくす為には、その美しい部分を表に表わすようにし、反対に醜い部分を抑えてゆくしかないのでは、と思います。

そうする為にも、ひとつには、やはり、システムの力に負けないくらいの芸術と文化の力が必要です。それも「アニメ」「萌え」などの子供・オタク文化だけでなく、三島や寺山、岡本太郎などの「大人」の文学者、芸術家が担ってきた「大人」芸術や「大人」文化の再興が如何しても要ると思います。その為にも「後継者」が必要なのはいうまでもありません。

いとうせいこうさんが、現代の状況への批評的行為としてとりくんでおられる義太夫節もそうですし、歌舞伎、狂言、オペラ、ミュージカル、オーケストラなど、大人の鑑賞に堪えうる
芸術・文化のウェーヴをいまいちど新たに起こしてゆくことが大事なのです…。

生意気で青臭いことを書いて申し訳ないのですが、これが今の自分の思いのたけなのです。何卒お許しを。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/01/12 18:19:37

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