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2006/01/06

楽譜と演奏

 仕事始め。
 研究所に朝早くいくとすがすがしい。

 光文社BRIOの企画で、
松尾貴史さんと対談。
 BRIOの今泉愛子さん、小林茂副編集長。
 写真は飯田安国さん。

 松尾さんとは白洲信哉つながりで
何回かお会いしているが、
 マジメな話をするのは
初めてである。

 大変テンポが良く、また発想が
どんどん発展していく。
 アタマの良いヒトである。

 クオリアの話をしていて、松尾
さんが出された例が面白かった。
 かつてラジオ番組でやって
いたネタだというのだが、
 「王貞治がにぎったおにぎりと、
長島茂雄がにぎったおにぎりの
どちらが食べたいか」
というのである。

 確かに、どちらにもそれぞれ
独特のクオリアがあるように思われる。 
 あなたはどちら?

 幾つか書類整理。

 NHKで『プロフェッショナル 仕事の流儀』の第三回、
パティシエの杉野英実さんの収録に向けての打ち合わせ。

 担当のディレクターは須藤祐理さん。

 杉野さんは、お菓子の味を決める重要な
プロセスを人任せにせず、自分でやる。
 有名なパティシエやシェフのほとんどが
プロデューサーとなり、多店展開して
行くのに対して、
 杉野さんは京橋の店一つにこだわっている。

 なぜ、そうなのか、
理由を打ち合わせ資料に書かれた
杉野さんの言葉で読んだ時
 はっとした。

 杉野さんは、世界コンクールでグランプリを
受けた「アンブロワジー」を始め、
 そのお菓子のレシピを書籍などで
惜しげもなく公開している。

 その通りにつくれば、誰でも同じ味が
できそうなものだが、そうではないという。
 レシピは、音楽で言えば「楽譜」のような
もので、どのように「演奏」するかで、
 まったく味は変わってしまうというのだ。

 そのメタファーで、はっきりとイメージが
わき上がってきた。
 奥深い話である。

 収録が楽しみ。

 NHK出版の小林玉樹さん
と『プロフェッショナル』の書籍化について
打ち合わせ。

 NHK出版はNHKにほど近い。
 大場旦に会って行きませんか、
と誘われたが、
 年賀状公開の件もあってくわばらくわばら。

 福岡伸一さんの「プリオン説はほんとうか?」
(ブルーバックス)を読んでいるが、大変
面白い。

 大学院生の時にはこのあたりのことに
とても興味があって、
 RNAを中心とする生物進化のモデルを
つくろうと思ったこともある。
 あの頃の興味がまたもや頭をもたげて
きてしまった。

1月 6, 2006 at 05:44 午前 |

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コメント

>茂木さま。
ご購読、ありがとう御座います。
光栄です!!

今年は専門学校で
「現代詩」の時間を持ちます。

投稿: 長谷邦夫 | 2006/01/14 19:23:34

長谷邦夫さま

ご無沙汰しております!

「赤塚不二夫 天才ニャロメ伝」
拝読いたしました!

投稿: 茂木健一郎 | 2006/01/08 12:22:16

 「脳」整理法から、茂木さんの著作の素晴らしさを感じ、いま、「脳と仮想」など毎日読ませていただきながら、楽しく思索させていただいております。
 おにぎりということで、以前考えていたことがふと心によぎりました。
 私たち人間には、心があります。人間と言うからだの組織には心が宿るとでもいうのでしょうか。
しかし、毎日の食事の中で、心のない物(野菜・米・死んでしまった動物や魚の肉)を食べて、新陳代謝し、体を構成してるのに、心という働きが起こってくることが不思議でなりません。
 野菜や肉などの物質の中に、心を生み出す可能性のようなものがあるのかな?とも考えました。
 母体から生まれおち、そのままの肉体組織を維持し続けるのなら、母体内で心の生み出す組織の構築を維持したと考えたいのですが、実際はそうではありませんね。
 数年の間に体の中身がすべて入れ替わると学びました。
 クオリアについて、わたしなりにさらに思索していきたいと思います。

投稿: かずま | 2006/01/07 6:07:01

王さんの握ったお握りと長島さんのそれと、
どちらが食べたい、とこたえるなら…。
う~ん…(@~@);9
長島さんか?
でも長島さんはサンドイッチが似合いそう。
なぜなら?
現役のころ、背番号が
“3”
だから。
しつれいしました…m(_)m

投稿: 銀鏡反応 | 2006/01/06 19:02:38

子どもとお昼ご飯を食べながら
さきほどのRNA・DNAのことを、アレコレ考えていました。

最近、般若心経の科学的「心約」!とのことで話題になっている
柳沢桂子さんのご本やインタビューをご覧になったことはありますか?

子どもを出産なさったことと、ご自分の病と向き合う中で

生命科学者としての視点から「いのちの意味」についてお書きになっています。

「生命の不思議」「すべてのいのちが愛おしい」
など、私もとても共感しながら読みました。

ただ、宇宙のチリが渦巻く中から、どうしてこの地球という
太陽との絶妙の距離を保った惑星が生まれたのか?

太古の海で、どんな偶然がはたらいて、生命の素が生じたのか?

どうやったら、あんなに美しい塩基配列の連なりが生まれるのか?

それは問うても、誰も答えは出せないことがわかりきっていて

きっと、誰も尋ねようともしないことかもしれません。

でもそんな疑問とともに、その美しさの前で

ただ、ただ、立ちすくんでしまう自分がいます・・・

こんな気持ちになられたことはありませんか?

投稿: TOMOはは | 2006/01/06 16:16:45

王さんだと「寿司」を握って
ほしいような感じですね。
長島さんはおにぎりがお似合い。
どちらもおいしそうです。

対談内容とは離れてしまいますが…。

投稿: 長谷邦夫 | 2006/01/06 13:30:30

“RNAを中心とする生物進化のモデル”ということばで

やりのこしている“共生科学概論Ⅱ”のレポートを
思い出してしまいました。

平たく言うと、地球の46億年の進化の歴史と
生命の誕生から現在までを科学的に考察することで

今、私たち人間が、ひとつの生物種として、
この地球に生きていることの意味を考えてみよう…
ということだと思います。

高校の生物の授業では、ほとんど本質的なことに気づきも考えもしない
ノンキ者だった私にとっては、
この歳になって、学ぶことの楽しさに気づくきっかけになりました。

とはいえ、進化についての大前提のところを、納得できないことのこだわりもあって

(実は、単なる言い訳なんですけど…)

レポートに取り掛からずに、
茂木先生の発する言葉の世界に、寄り道してしまいました…

また、これがほんとうに楽しくて…なかなかやめられません。

投稿: TOMOはは | 2006/01/06 12:17:14

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