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2006/01/08

one of them

養老孟司さんの
『無思想の発見』
を読んでいる。

 昨年、養老さんと一緒にシンポジウムを
した時に、養老さんが何故最近の一連の著作を
書かれているのか、何となくわかったような気がした。

 養老さんにとって、日本の社会は必ずしも
生きやすい場所ではなかった。
 オーストラリアに留学されたが、
あっちの方が本来生きやすかったのではないか
とこぼされたことがある。

 だから、養老さんにとっていわば
「異物」としての日本の社会を解剖し、理解した
かったのだろう。

 私も御多分に漏れず西洋近代の強烈な
洗礼を受けた人間だが、
 自分の周りの社会(養老さんの言う「世間」)
がそれとは違う形で動いているらしい、
ということは判っていた。
 それを普遍に対する特殊、
中心に対する周縁と片付けるのではなく、
 真摯に向きあえば養老さんのような本を
書くしかなくなるのだろう。

 ハワイにいる間ずっと考えていたのは、
この世はまさに多様であり、中心など
本当はどこにもない、ということだった。
 飛行機の中で「夢のチョコレート工場」
のジョニー・デップを見ていて、
つくづくこれはアメリカの映画だな、
と思った。
 
 ハリウッド映画は世界中でブロックバスター
となるが、何のことはない、
 アメリカという「特殊な」文化を見せられている
だけのことである。
 地球の上の文化という意味で言えばone of themに
過ぎず、
 それが実際one of themであるということは、
グローバル化の世界の中でむしろ誰にでも
明らかになってくるのではないかと思う。

 日本もその意味ではone of themに過ぎないが、
いかんせん自分が生まれた国、引き受けて
生きていくしかない。
 日本語は世界の言語の中で7位くらい
のポジションだそうだが、
 それくらいがいいところではないか。
 
 英語にせよ、中国語にせよ、どれだけ
多くの人が喋っていたとしても、
 所詮one of themに過ぎない。
 問題はそれを自覚しているかどうか
ということだと思う。

 自然の中の生態系のことを考えると、
本当にいろいろな奇妙なやつらがいて
(ハワイには肉食の蛾の幼虫がいる)
人間社会でいろいろなone of themが
いることは、むしろ当たり前だと
思えてくる。

 相変わらずBritish Comedyが好きで、
寝る前などリラックスして見ているが、
 所詮それもone of themだと思って
それでも愛している。

 今朝は橘家圓蔵が落語をやっているのを見た。

1月 8, 2006 at 08:00 午前 |

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コメント

こんにちは。毎日お寒いですね。

このコメントに因み、“ぼやき”を一席。

「金儲け」こそが、世のall of them と思っている人、

「日本」こそが 世界のall of them と思っている人、

どちらかになりたいか、と、もし、訊かれたとしても、

「どちらにもなりたくない」と
私は答えるだろう。

なぜか?というと、彼等は、自分達が、この廣い世界のなかの
 one of them だ
という自覚がないからなのだ。

所詮、この世は
無数の one of themの集合体。

あなたも、私も、他の皆様も、
その他全ても、
地球も、月も、太陽も、そして!銀河系も、
全ては無限に広大なる宇宙の中の、
one of them でしかないのだから。

でも、私もあなたも、他の皆様も、
この太陽系第Ⅲ惑星こと、地球の中に浮かぶ陸地の one of them に過ぎない、
このアジア東端の島国にたまたま生まれてきてしまった以上、引きうけて生きるしかないのだなぁ。

だから、one of them ということを自覚する、というのは大切なんですよね。

all of them は厭だ。
one of them を自覚しつつ
限りある生を、生き抜きたい。

投稿: 銀鏡反応 | 2006/01/08 16:58:00

アメリカ映画が、one of themだというご指摘もっともだと思いました。ただ、日本以外の国でどのような受容のされ方をしているのか分かりませんが、日本においては、それがall of themだと誤解している人が多いのではないかと心配しています。
そういう誤解を減らすためにも、茂木さんのおっしゃるクオリアという概念が科学的に説明され、世間に認知される必要があるのでしょうね。

投稿: 匿名 | 2006/01/08 12:14:28

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