カットと乱反射
午後、NHKにて「ステラ」のインタビュー。
『プロフェッショナル』について。
有吉伸人さん、細田美和子さんが
同席。
『プロフェッショナル』のプロジェクト
ルームに一瞬立ち寄る。
取材で「目を血ばらせている」
小池耕自さんが、
若手にとっては
けっしてコワクはないが、
やはりびびってしまう
細田デスクには「こうやって話しかけるんだ」
と後進に指導していた。
原宿まで歩く。
代々木公園の近くに住んでいる人にとっては、
そこは身近な散歩コースであり、
ジョギングをする所なのだろう。
セントラル・パークがそのような
場所である人たちもいる。
朝起きると、自分を王宮の中に見出す
人もいる。
川岸のブルーシートの中で目覚める
人もいる。
人の体験は様々であり、その破片が
集まった総体が宇宙をつくる。
つまり、どのように世界を切り取る
(「カット」する)か。
明治神宮前駅から、千代田線に乗り
根津へ。
ここのところ、仕事上読まなければならない
ものが沢山あって、
電車に乗るとすぐ本を読み出す。
集中すると、つい乗り越してしまい
そうになる。
先日、
河合隼雄さんの本を読んでいた時は
あまりにも面白かったので、
乗る方向を間違えて
反対方向に二駅行って気付いた。
芸大の蓮沼昌宏に呼び出されて、
SCAI The Bathhouse
で開催されている
アニッシュ・カプーアのJapanese Mirrors
を見に行く。
先に「美術手帖」の「美術評論募集」
において、「榎倉康二における出来事性と層の構成」
で佳作に入選した粟田大輔くん、
それに布施英利研究室の助手の津口在五
くんもいた。
これは、行って良かった。
素晴らしい。
距離感が判らなくなり、奥行きが
平面になり、
しかも音が焦点のクラスターと
なって身体を襲う。
全ては、固定したフォルムを持った
漆塗りの曲面で引き起こされるのだ。
カプーアはインド生まれで、
1990年のターナー賞を受けている。
芸大まで歩き、
美術解剖学授業。
池上高志の話は、いつも面白い。
story tellingに対して、textureの
芸術の宣言。
cellular automatonのclass 4を入り口に、
「お化け」のありかを探る。
根津の車屋で打ち上げ。
塩谷賢も来る。
池上と三人で久しぶりに話して、
楽しかった。
cellular automatonもそうだが、
universality classが定義されるにも
かかわらず、そこからこぼれ落ちるものが
ある(至るところスカスカである)、
という一見矛盾する経験事実を
どうとらえるか?
席を移動したあと、
しばらく植田工が塩谷賢と話し込んでいた。
池上とcutの話をした。
ダイヤモンドのbrilliant cut,
ステーキのT-bone steak cut, lean cut.
映画のfinal cut.
複雑多様なこの
人生をcutしてしまうというのは一つの
原罪だろうが、
それをたくさん寄せ集めてくれば
キラキラぴかぴか乱反射。
神様しかその光を直接見ることは
できないが、
しかし概念としてアタマの中で
組み立てることはできるのだ。
思えばブログの日記も人生の
「カット」なのだろう。
12月 2, 2005 at 07:39 午前 | Permalink
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