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2005/11/11

あすへの話題 恋人との出会いとノーベル賞

あすへの話題 恋人との出会いとノーベル賞

茂木健一郎

 「セレンディピティ」(偶然幸運に出会う能力)という言葉が、最近注目されている。
 もともとは、イギリスの作家ホラス・ウォルポールが1754年に友人への手紙の中で記した造語である。三人の王子が旅先で幸運に出会う物語に基づいて考案されたこの言葉が、時を経て広く使われるようになった。
 歴史に残るような科学的発見には、多くの場合偶然の幸運が関与している。イタリアのガルヴァニの電気による筋肉の収縮現象の発見は、カエルの足に偶然金属が触れたことがきっかけだった。実験をしようとしていたのではない。台所でスープを作ろうとしていたのである。
 小柴昌俊氏のノーベル賞の対象となった研究は、超新星爆発で放出されたニュートリノが、カミオカンデの実験装置を通過したことがきっかけとなった。宇宙的規模のセレンディピティが、画期的業績を生んだのである。
 偶然の出来事自体は、コントロールすることはできない。しかし、偶然の出会いを生かすよう心がけることはできる。セレンディピティは、鍛えることのできる能力なのである。
 まずは、行動を起こすことが肝心である。待っているだけでは幸運は訪れない。また、注目すべき出来事が起こったとき、それに気付き、受容することが大切である。特定の目的に目を奪われて心の余裕がないと、セレンディピティが育まれない。
 行動し、気付き、受容する。まるで素敵な恋人との出会いのようである。実際、セレンディピティに着目すると、「恋人との出会い」と「ノーベル賞級の発見」には、多くの共通点があることが見えてくる。

(日本経済新聞2005年11月10日夕刊掲載)

11月 11, 2005 at 05:26 午前 |

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脳科学者の茂木健一郎さんの日記で、とっても面白い記事を 見つけました。 「セレンディピティ」(=偶然幸運に出会う能力)というのは 鍛えることのできる能力だそうです。 まずは、行動を起こすことが肝心で、注目すべき出来事が起こったとき、 それに気付き、受....... [続きを読む]

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 茂木健一郎 クオリア日記の中の「あすへの話題 恋人との出会いとノーベル賞」にかかれてあった言葉。  偶然幸運に出会う能力というものらしい。  もともとは、イギリスの作家ホラス・ウォルポールが1754年に友人への手紙の中で記した造語である。三人の王子が旅先で幸運に出会う物語に基づいて考案されたこの言葉が、時を経て広く使われるようになったとのこと。  気になる言葉・・・。  花をいける時には、不思議な気持ちになる。花をいけているのに、自分を見つめているような気分。いろいろなものに捉われていると感じ... [続きを読む]

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コメント


こんにちは 始めまして!

謎の足跡を残していきます

【4行詩の幻想 放浪記】

投稿: bunbunnori | 2009/12/09 15:02:37

はじめまして。
いつも興味深く拝読させていただいています。
幸運をつかむ能力、それは確実に存在すると思っていました。この記事を読んで確信しました。
人は「あの人は運がよかったから成功した」とか言うこともありますが、でもどこかで知っているのですよね。その人が、とんでもない努力をどこかでしていることを。
運も実力のうちとは言いますが、
その運を勝ち取るために、
人はしなやかに、
且つ、したたかに
努力をするものなのだと思います。
成功への道のりが
純粋な憧れからくるものなのか、
名誉をつかむための欲望からくるものなのか、
それはどちらでもよいと思うのです。
でも、やっぱり常にアンテナのチューニングをしっかりしなければ、と思うのでした。
では失礼します♪

投稿: hirata | 2005/11/11 22:18:12

幸福に出会う為には先ず行動!これしかない!

じいいっと待っているだけじゃあ幸せは掴めないのだ。
茂木さま、おっしゃる通りデス!

我もまた行動を起こして、歓喜とともに幸福を掴みたいものだ。

投稿: 銀鏡反応 | 2005/11/11 19:08:17

Chance favors the prepared mind.

私はよく憶えていて、何度も反芻しています。

投稿: | 2005/11/11 10:29:33

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