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2005/11/09

In long-shot

 博多にくるのは、今年何回目だろうか。

 飛行機の窓から、富士山がきれいに見えた。
富士五湖と、はるかに伊豆半島も見えて、
そのパノラマの中で富士山はちいさな
ぽっちに見えた。

 スケールを変えると、大抵のものは
absurdになっていく。
 absurdityが「不条理」とは名訳だと
思うが、
 英語のニュアンスは日本語のそれより
もう少し突き放され、おかしみのあるもの
なのではないか。

 空港で、福岡県の藤さんにピックアップ
していただき、
福岡デザインシンポジウムの会場へ。

 デザイナーの平松暁夫妻に再会。
九州大学の森田昌嗣先生、Trunk LTDの
桐山登士樹さんの二人のパネリストと
と昼食を一緒にいただく。

 「脳とデザイン」と題して一時間話す。
 ここのところ考えている、脳の中で
いかに価値ができあがるかという
問題。
 アンディ・ウォーホルの「フラワー」
と寿司屋の宝船の置物の運命を
分けたものは何か?
 偶有性からいっちょ上がりのクオリアに
至るダイナミクスは何か?

 グローバリズムの波の中、誰でもローカルに
生きざるを得ない人間という存在の哀しみを
引き受けた上で、前向きに生きるということ。

 大賞を受けたのは
田川産業株式会社 
の漆喰を用いた手作り植木鉢キットで、
 研究員の林美香さんが説明してくださった。
 漆喰を水でこねるだけで、
焼かなくても好きな形の鉢ができる。
 漆喰の質感が、その中に持った土と
マッチしているところが良い。

 中洲での懇親会で、田川産業
代表取締役の行平信義さんと、
 いっしょに開発された九州工業大学の伊東啓太郎
さんにさらに話を伺った。
 伊東さんには、学校の中庭にビオトープを
作るとても面白い話も聞き、心のいろいろな
ところが活性化。
 「こんなビオトープが作りたい」という
野心が私にはあるのだが、
 その夢がぱーっと彩られた。

 もっとも、ビオトープも最後には
スケールの問題で、
 微生物のビオトープならば簡単に
出来るが、 
 私たちが肉眼で愛でることができる
ような生き物たちを育むには、
 結局は地球全体が必要なのだろう。

 九州大学の綿貫茂喜先生の行きつけの
いつもの店(おそらく3度目なのではないかと思う)
に行き、綿貫先生がジャンケンでテキーラを
飲むゲームを見ていたら、なんだかお芋をふかした
ような愉しさがこみ上げてきた。

 最後に、電通の佐々木厚さん、平松暁さん
と中洲の屋台でラーメンを食べる。
 博多にはしばしば来るが、中洲でラーメンを
食べるのは10年ぶりくらいなのではないかと
思う。

 川風に吹かれ、白熱電灯に照らされて
遠慮のない客と店員の会話を聞いていると、
グローバリズムなんて知ったことかという
気分に一時的にはなった。

 しかし、それもまたスケールの問題なのだろう。

かつて、Chalie Chaplinは
Life is a tragedy when seen in close-up,
but a comedy in long-shot.
と言った。

 日記を記しているのはfor the record
のためだが、10年後、20年後から
眺めたらどう見えるのだろう。

11月 9, 2005 at 09:04 午前 |

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» [デザイン]ビオトープ トラックバック Studium 伊東啓太郎の風景ノート
写真は、壱岐南小学校ビオトープの昨年夏の風景。ビオトープは、日本でも流行の言葉だが、賛否両論ある。私はこのような環境が都市に出現することを、環境保全の観点から、危機的状況であると捉えている。ビオトープはあくまでも人工物であり、擬自然からは脱しえない。しかしながら、アイロニーとしてのビオトープを作っていくことには意義を感じる。このあたりは、近々文章に。 また、以前、このお話を脳科者の茂木健一郎さんにお聞きする機会があったときに、茂木さんがビオトープに興味がるといわれていたのには驚きました。 http:... [続きを読む]

受信: 2006/01/27 5:36:05

コメント

先日は大変刺激的な御講演有り難うございました。
ビジネスに追われる閉塞気味の意識に風穴が開き、翌日出張の羽田の書店で、先生の本6冊と出会えましたが、「脳と仮想」は棚の分しか在庫が無く、装丁がかなり痛んでいました。
悩んだものの私は中身が読めればと買おうかと思いましたが、店員の女性はこれはやはりお売りするわけには行きませんと鄭重に引っ込めてしまいました。本のことを大事にしている女性なんだと感じ、この本だけはおあずけになりました。
P.S. weblink恐れ入ります。


投稿: 行平信義 | 2005/11/11 18:43:15

またいつか、お会いしたい気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

投稿: 伊東啓太郎 | 2005/11/09 16:31:42

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