本のこと
増田健史が先週電話してきて、
「茂木さん、今度の日曜の日本経済新聞に
『脳』整理法の広告出しますから!」
と言っていた。
確かに出ている。すっきりした
良い広告である。
筑摩書房の皆様、いろいろ
ありがとうございます。
本はもっぱら読むだけだった頃は、
これだけ多くの人が関わっている
とは知らなかった。
たとえば、「タイトル」は著者が
勝手につけるものだと思っていたが、
実際は編集者が営業などの
意見を聞いて決めていく。
装丁なども、著者の趣味だと思っていたが、
とんでもない。
簡単に言えば、著者は「本文」という
素材を提供するだけで、
それがどのように料理されるか、
あとは他人任せということになる。
最初はそれが「うゎーつ!」という
肝を冷やす経験につながったこともあったが、
慣れるに従って、
それぞれのセクションでベストを尽くして
下さった結果、できあがった
「本」という作品の姿が楽しみになって
きた。
だから、今は「本文」という素材を
提供する、ということに無上の喜びを
感じている。
文藝春秋から11月に出る
「クオリア降臨」はある意味では画期的な
本で、
というのも、このタイトルからは
何の本なのか、簡単には判らない。
文學界の連載をまとめたものだが、
編集の山田憲和さんが
がんばって下さったおかげで、
説明的ではないタイトルが
ついた。
たまには
「脳」という言葉が入らない
本がつくってみたいと思っていた
願いが叶ったのである。
12月15日には、徳間書店から
小説『プロセス・アイ』が刊行される。
脳、経済、政治などを絡めた
近未来もの。
原稿自体は3年前に書き終えていたのだが、
そのあといろいろfine tuningして
満を持して出ることになった。
それと、これもおそらく12月に?
「ヨミウリ・ウィークリー」の連載
(「脳の中の人生」)を
まとめた本が出る(タイトル未定)。
全て、最近の書き下ろしではないので、
著者には負担は実はあまりない。
本が出るのは嬉しいことだけれども、
実は少し休みたいというキモチもあって、
大切な仕事に絞って、あとはあまり
新規には受けないでやっていきたいと
いうキモチが強い。
本当は、1ー2年外国に逃亡して、
エッセンシャルな問題に没入したい。
自分が何を考えていきたいのか、
どんな問題が大切なのかはよく判っていて、
そのことに寄り添ってやっていきたい。
たとえば、「脳を鍛える」類のことは
あまり関心がない。
難しい問題に一人称で取り組む、
あるいは、ポジティヴな、しかし
裏付けのあるメッセージを
広く伝える、その二つが大切な
仕事の領域ではないかと思っている。
ときによれよれだが、
まあ、とにかく、がんばるよ。
今日は原宿で、宇川直宏さんと
Creativity Now Tokyo 2005
楽しみだ。
10月 23, 2005 at 07:34 午前 | Permalink
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
人生のプライムタイム、もぎけんさん、ガンバ!!!
投稿: カワミチ | 2005/10/24 1:13:25