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2005/09/18

 芸風

ロフト・プラス・ワンに
行くために、久しぶりに歌舞伎町の
中を歩いた。

 ふらふら倒れそうに歩きながら
携帯で話している女の人がいる。
 「ごめん、ねてたぁ?」
と言いながら、車に寄り掛かる。

 時は午後1時前。
歌舞伎町は、慣れるまで時間がかかる。

 会が始まり、校長の熊篠さんが
話して、ゆるゆると始まっていった。

 キャシー天野さんの恋愛指南など、
面白かったのだが、
 一方で、私は、全体の雰囲気に、
なんというか、大学のサークルの延長
というか、身内受けというか、
ぬるいものを感じていた。
 「ここって、ロフトだろ!」
と思って、
 一二発ジャブ発言を繰り出したのだが、
本格的に転がってくれなかった。

 休憩時間になって、NTT出版の牧野彰久さんと、
幻冬舎の大島加奈子さんのところに行くと、
大島さんが「茂木さん、帰りましょう!」と言う。
 大島さんも、ぬるい雰囲気に怒っていたのだ。

 私も、観客席にもし座っていたら、
ぶち切れて帰るか、
 あるいは「こんなの内輪うけじゃん!」
などと不規則発言をするところだったのだが、
今日はパネリストである。
 ぐっとこらえて、「牧野さん、大島さん、
帰らないでください!」
 と赤ワインをおごって懐柔して、
後半戦に突入した。

 開始最初に見せた「校長の理想のデート」
というのが、遅れてきた80年代というのか、
できそこないのテレビのデート番組というか、
さらにぬるいつくりだったので、
 私はマジでぶち切れ5秒前になった。

 それで、ビデオが終わった後、
「こんなのぜんぜん意味ねえだろ!
どこにバリアフリーっていうタイトルと
の関連性があるんだよ! こんなイメージ
ビデオみたいなの見たって、面白くも
何ともねえじゃん!
 大体さ、理想のデートとか言って、
事前にマニュアル通り計画して、
その通りうまく行きました、
なんて、何の意味もないだろう!
どういうことなんだよ!」
とついに爆発してしまった。

 そうしたら、熊篠校長が、
「ぼくの場合、事前に、段差がないかどうか、
身障者用のトイレがあるかどうか、駐車場
があるかどうか、念入りに調べなければ
ならないんだよな」
と言った。
 私は、その日初めて核心に迫る
発言を聴いたような気がした。

 それから流れが変わり、本質的な
議論が少しずつ出るようになった。 
 やっぱり、爆発はするものである。

 会場も暖まって、少しずつキックの
利いた発言が出るようになった。

 驚いたのは、文藝春秋の山田憲和さん
である。
 午後6時にロフト・プラス・ワンに
来てください。
と伝えてあったのだが、
 午後5時前には終了しそうになり、
「やばい。もっと早くに待ち合わせれば
良かった」
と思って、出口へ歩くと、向こうから
ひょっこり来る。
 「いやあ、もうそろそろ終わるころかと
思って」
と山田さん。
 この人は予知能力があるのか。

 打ち上げに行くはずが、山田さんに
近くの喫茶店に拉致されて、
 きっちり30分打ち合わせ。
 「脳のなかの文学」の単行本化の
はっきりとしたイメージができた。

 山田さんも連れて打ち上げの店
「かあちゃん」に行く。
 中嶋や、川端や、志賀や、その他
今回の企画をしたゼミの学生さんたちに
ご苦労様、と言って、
あとはちゃんぷるでいろいろ話す。
 
 中嶋も、デートは何が起こるか
判らない、という即興にこそ味わいが
あるという。
 人生はすべからくそうであると
私も思ってきたが、
 熊篠さんの発言を聴いて、
いろいろ考えさせられた。

 事前の計画を綿密に立てないと、
何もできない人たちもいる。
 それが、熊篠さんのような身体的
制約に基づくものか、
 それともいわゆる「性格」に基づくものか、
後者だとして、それをばかにして良いのか。

 自由と不自由の絡み合いには、通り一遍では
ない形で考えるべきことがある。
 カミュのシーシュポスの神話
の男の不自由と自由は、実は配分の
程度の差こそあれ、私たち一人一人に
普遍する問題ではないか。

 爆発は芸風である。
 そのおかげで、いいテーマに出会えた。

9月 18, 2005 at 07:48 午前 |

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 ある日、ネットサーフィンしていたら、ライヴハウス“LOFT PLUS ONE”のサイトに行き付いた。だしもののスケジュールをリサーチしたら、こんなものがあった。 ↓以下引用。 9/21 「第一回切株派決起集会 惨殺!血祭りのいけにえ」 森の木陰でドンジャラホイ!キャンプに来た子は皆殺し! 首が飛び、腕がもげ、人間が破裂する!アッと驚く切株(スプラッター)表現こそ映画の未来はある! ゴーゴー・マニアックス!銀幕を真紅に染めつくせ! 【出演】高橋ヨシキ(デザイナー&切株派代表)、柳下毅一郎(特... [続きを読む]

受信: 2005/09/19 19:37:02

コメント

ロフトプラスワンでの講演会はそんなにぬるいムードのものだったのですか。
私も行こうと思っていたのですが、生憎、所用があって行かれませんでした。
茂木さんの怒る勇姿がみたかったなぁ(失礼!)

あざなえる縄の如しというか、コインの裏表というか、自由と不自由との絡み合いというのは私のような科学に疎いしろうとにとっても、いろいろと考えさせられます。


投稿: 銀鏡反応 | 2005/09/19 10:42:02

コンニチワ。ハジメマシテ。
現代美術好きから茂木サンのブログを知り
ここ何ヶ月か、アップされている様々な方の
対談のmp3ファイルを楽しみに、順に聞いています。
昨日のロフトに初めて茂木サンのトークを
聞きに行って正直スゴクがっかりしていました。
でも、茂木サンの熊篠さんに対する文を読み
少し考えさせられました。。

投稿: sak | 2005/09/19 2:26:55

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