あすへの話題 脳の潜在的モードを活かそう。
あすへの話題 脳の潜在的モードを活かそう。
茂木健一郎
良く受ける質問の一つに、「脳は、10%しか使っていないというのは本当ですか?」というものがある。
脳の中には、「ニューロン」、「グリア」と呼ばれる二種類の細胞が存在する。このうち、ニューロンは「活動膜電位」を持ち、脳による認識のプロセスにおいて明確な役割を担うが、グリアの役割は当初は明らかではなかった。その「静かな細胞」であるグリアが全体の約90%を占めるところから、「脳は10%しか働いていない」という説が流布したのである。
最近の研究により、活動していないように見えるグリアも栄養補給などの重要な役割を担うことが示されている。脳は、実際には無駄なく使われているのである。
ところで、人間の脳は、状況に応じてさまざまなモードで活動する。子供でも、母親に甘える時、兄弟と遊ぶ時、見知らぬ人と話す時で、全く振る舞いが変わる。他人との関係だけでなく、何をやるかによっても脳の働きは変わる。数学者とアーティストでは脳の働き方は違う。
このような差は、脳の中の様々な部位が「オン」になったり「オフ」になったりすることによって生まれる。活動パターンの組み合わせは無限と言ってよいほどあるので、脳の活動モードもそれだけあることになる。
脳の細胞の10%しか使われていないというのは正しくない。しかし、脳が潜在的に持つモードのうち、どんな人でもそれこそ10%も使っていないというのはおそらく事実である。
潜在しているモードを活かすには、新しいことにチャレンジするのが良い。短い人生、何でもやってみようではないか。
(日本経済新聞2005年9月8日夕刊掲載)
9月 9, 2005 at 10:08 午前 | Permalink
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» 脳の潜在的モード(きのうの新聞記事より) トラックバック 私らしく…
身体機能の精巧さ、緻密さ、可能性はもとより、人間はほかの生き物にはないとされている「感情」があります。(ほかの動物には本当に感情がないかどうかは、私にはわかりませんが)
その両方をつかさどっている、いわば人間の司令塔「脳」の働きというのは、素人には想像を....... [続きを読む]
受信: 2005/09/09 10:27:50
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コメント
脳のもつ潜在的なモードのうち、大抵の人は10%も活用していない…おっしゃる通りだと思います。
わたしも新たなる分野へ絶えずチャレンジを試みて、いろいろなことを経験し、まだ使っていない自らの脳のモードを目覚めさせ、活用してゆきたいと思いました。
限りある人生のなかで様々なことを経験し、そうして自らの脳をくまなく活用することは、そのまま、自分自身そのものを成長させ、豊かにしてゆくのだと確信しています。
投稿: 銀鏡反応 | 2005/09/09 20:33:19
はじめまして。
昨日の日経新聞に掲載された記事を読みました。「なるほど~」とすごく納得のいく内容でしたので、自身のブログでこのことについてちょっと書かせていただきました。難しいことはわからないのですが、いろいろなことを経験し、体験することが、脳を活用するためにも必要だということは理解したつもりです。
トラックバックさせていただきました。
投稿: kaki | 2005/09/09 10:32:36