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2005/09/16

あすへの話題  「脳」整理法

あすへの話題  「脳」整理法
茂木健一郎

 現代人にとって、身の回りの「もの」や「情報」をどう整理するかという問題は切実である。とりわけ、インターネットなどの新しいメディアの発達によってあふれ出した情報にどう向き合い、整理して行くかということは重大な意味を持つ。
 情報の整理には、二通りの意味がある。脳の「外」にある情報と、脳の「内」にある情報の整理である。従来の整理法は、脳の「外」にある情報を扱ってきたが、本当に大切なのは脳の「内」にある情報の整理なのではないかと私は考える。
 仕事をする中で出会った様々な体験を「整理」して、ノウハウとして結実する。何回か話した人のパーソナリティーを推しはかる。ふとしたきっかけで人生の意味に気が付く。このような脳の中の情報の整理について最新の脳科学の知見を交えて考察したのが、拙著『「脳」整理法』(ちくま新書)である。
 ところで、脳の整理が得意な人は、必ずしも身の回りの整理の達人ではないようだ。脳の中の情報の脈絡を付けることに集中していると、整理整頓の方はつい疎かになるらしい。
 英国で、あるノーベル物理学賞受賞者の机を見た時には絶句した。書類がうずたかく積み上げられ、仕事をできるスペースは、コンピュータの前のわずかな空き場所だった。怠けているわけではない。博士の頭の中は、いつも超高速で整理されているのである。
 時代は変わり、デジタル情報は、特に整理しなくても簡単に検索できる。脳の整理を優先する余り、だらしがないと非難されてきた世の夢想家たちにとって、IT(情報技術)の発達の最大の恩恵はここにある。

(日本経済新聞2005年9月15日夕刊掲載) 

9月 16, 2005 at 07:40 午前 |

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