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2005/08/14

福山さんのおかげ

 胆石の手術から回復しつつある母親が、
友人の福山さんが行けなくなったから、
と東京ドームの巨人×阪神戦のチケットを
送ってくれた。

 そうしたら、これがとんでもない席だった。
 福山さんが、「大切な席なんですよ」
と何回も言っていたと聞いた。
 外野かあ、とあまり深く考えていなかったが、
25番ゲートから入り、57番通路から
行って驚いた。
 巨人の応援団のまさにど真ん中の席だった
のである。

 私の二つの上の通路には、全体に指示を
出す「応援団長」がいて、
 トランペットがいて、
 タイコがいて、
 周囲を見渡すとみなユニフォームのレプリカを
着ている。
 前はNIOKAとKIYOHARAで、
左はなんとNAKAHATAである。
 
 そこに、チノパンと黒シャツでぼんやり
座った私はいかにも場違いで、
 周囲から「こいつ何だ?」という視線をビシバシ
感じる。
 これはマズイ、と思い、売店に行き、
KIYOHARAのオレンジ・タオルと
応援バットを買って、武装した。
 これでなんとかゆるしてもらいたい。

 応援団のど真ん中にいるというのは初体験
だったが、いろいろ面白かった。
 巨人の攻撃の時は、みんなずっと立っている。
 これはビールも飲めない体育会系か、
と思ったが、
 一安心。阪神の攻撃中はビールも飲める。
エビスもモルツも再びエビスも飲めた。
 
 巨人が先制して、阪神が追いつき、
その後ゼロ行進となる緊迫した好試合。
 延長12回裏、無死満塁から阿部慎之助
がサヨナラヒットを打って巨人が勝った。
 5位が1位を破った。

 ずっと気になっていたことがある。
 応援団の中にいると、一人一人の叫ぶ声が、
いかにもかぼそく、頼りない。 
 内野席に座って聞く、いつもの
地を揺るがすような大音響には聞こえない。
 タイコの音こそ腹に響くが、
トランペットさえ何となく幽かである。

 内から感じた応援団と、外から見た応援団。
 この違いは何だろう、とずっと気になっていて、
今朝になって判った。
 つまりは、軍隊と同じである。

 うゎーつと、何万人もの軍が一気に
襲いかかってきたら、それは大変な脅威である。
 しかし、軍の中の一人一人の主観に寄り添えば、
そこにはいかにも頼りなげな、揺れる魂が
あるだけだ。

 集団になった人間を「マス」で見るとどうしても
見逃してしまうことがある。
 それは、たとえば、一人一人の生の揺らぎ
ではないか。

 私はどちらかと言うと、鳴り物応援には
批判的だった。
 今でも考えは基本的には変わらないが、
少し見方が立体的になった。
 たとえば、応援団の人たちは、試合展開に
対して個人的な感想をもらさない。 
 もっと、「なんだよ、清水」とか、
「そこだ、上原」とか、いろいろ
つぶやいたり叫んだりしていると
思っていたが、
 応援行為を唯一の表現として、
 私語をもらさないというのが一つの美学の
ようだ。
 そこに、何かを感じた。

 一人一人が緩く見ていて、自発的に
スタンディング・オベーションしたり
する大リーグ風の応援の方が私には
ぴったりくるが、
 日本風の応援も一つの文化だとは思う。

 昨日、私も一緒になってオレンジタオルを
振り回したりしていたことは事実だから。

 福山さんのおかげで、幾つか大切なことに気付いた。
 その福山さんは、もう20年以上会っていない、
母の友人である。

8月 14, 2005 at 09:19 午前 |

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コメント

正直に言えば、私は関西の人間でタイガースファンなのですが、甲子園球場の雰囲気も悪くないと思います。みんな最後に「六甲おろし」を歌いたい一心で必死に応援しています。
ただ、テレビで見る限り、東京ドームの巨人ファンの応援は紳士というか、そこが「軍隊」という言葉に表れているのでしょうか。
どちらかといえば、関西の人間の方が、本音を出しやすい部分があるのかもしれません。
「勝ちたいんや」という気持で、ファンと選手が一体になって、その場に最高の緊迫感というか盛り上がりの生まれる事が、プロスポーツの醍醐味ではないでしょうか。

投稿: 水瓶座 | 2005/08/15 0:23:25

こんにちは。連日暑い日が続きますね。

巨人阪神戦を見に行かれたとのことですが、
茂木さんはそこの中に入られ、個人一人一人の生の揺らぎを感じられたわけなのですね。たしかに、集団の中の一人一人は、か細いというか、幽かというか、とにかく弱々しいのです。私も集団の中にいると、そう感じることがあります。
おっしゃるように、やはり軍隊と同じように、野球の応援団も、内側からみると、弱々しく頼りなげな、か弱い生の存在が寄り集まっているものなのですね。
その一人一人の弱々しい存在が無数に寄り集まって、群衆となり、それが外から見ると、モノスゴイ脅威に思えるわけで、大抵の集団というものは、一人では終始揺らいでいる、弱い存在が寄り集まっているんですね。そんな弱い同士が繋がって、大集団となり、それが外から見ると大きなパワーをもっているように感じる。弱い存在の集団でさえ、そうなのだから、ましてや一部例外ですが、自立(ないしは自律)した個人個人が寄り集まった集団だと、もっと凄いパワーをもつことにより、そういう集団を嫌っている向きには野球の応援団を外から眺めているときよりも、すごい脅威にうつってしまうわけです。
ところで、茂木さんは、私語を一言ももらさない日本風の応援スタイルもひとつの文化だといわれていますが、ずっと日本を離れたことがなく、日本的な考え、生活にドップリ浸かった大多数の人々(この場合は巨人ファンですが)が、そういう応援スタイルの文化を作り上げてきたのでありましょう。私もこれはこれでよい文化だと思います。応援スタイルは野球をやっている国それぞれのスタイルがあって当たり前なのですから。
P.S.茂木さんも、巨人軍のオレンジタオルを振って応援なさっていたんですね。
私はちょっと可愛いなぁ(失礼!)と思いました。

投稿: 銀鏡反応 | 2005/08/14 15:36:30

つまり、野球はどうでもいい人たちですね!
自分たちが参加できる非日常の場があれば
いいという人たち、それをみだす、個人は
くるんじゃねーという人たち。 ケッ!
やっと手にいれた(その人にはほんとうに
やっとの事情があったのに)席が、バカ応援団が占拠している席だったらあきらめろというの
でしょうか?
どの場所でどのチームを応援しようが
自由ではないですか?

野球をみないなら球場にくるな!! 
野球をみない愚連隊を球場にいれるな!!
お客は個人だぞ!!

と凡人オヤジは、わめきます!! :-)

投稿: Kimball | 2005/08/14 14:08:30

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