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2005/08/24

面白いこといろいろ。

学会(ECVP)は、ラコルーニャの
PLAXCOというところで
やっている。
 海沿いのコンベンション・センター
である。

 レジストレーションをして立っていたら、
ケンブリッジ時代の恩師、ホラス・バーロー
(Horace Barlow、愛称バロバロ)がやってきた。
 
 リンダ・ブラウンズ(Linda Browns)
とのGlass patternに関する研究発表を聞き、
 リンダ、ホラスと食事をしながら
話し込む。
 
 発表をしたリンダが、「ああ、ほっとした、
ワインがおいしいわ。昨日は、午後2時まで、
発表の準備と練習で眠れなかったから」
とうれしそうである。
 ホラスは、田谷文彦が渡した、私との
共著の両眼視野闘争の論文を食い入るように
読んでいる。
 バロバロ、まっしぐらという感じである。
 86歳なのに、学問に対する
情熱が全く衰えないのは、スゴイことだと
思う。

 リンダは準備をするが、私はしない。
 もちろんパワーポイントはつくるけど、
何を喋るか、一切事前には考えない。
 呼ばれて、登壇して、その瞬間に
即興で話し始める。
 記憶に基づいて何かを喋るのが、
あまり好きではないのだ。

 今回は被験者355名という変な実験
についての発表だったが、
 おもしろがってもらえたのではないかと
思う。
 普通の視覚心理は、ある一定の時間内で
はっきりとした結果が出る領域を扱っている。
 私は、そこが「失敗」した後の、
「いつ来るか判らない」アハ!体験の方に
興味がある。
 
 この二つの過程の分離は、被験者数を
増やさないと実現できない。
 355名でも足りないくらいで、
「隠れ図形」の中で、もっとも
5分間正解率の高い「地中海」(71%)
で、かろうじて、「いつ来るか判らない」
ランダムなひらめきが見えてくる。
 5分間正解率の低い「キリスト」(9.3%)
では、その分離はサンプル数として
明らかではない。

 どこかで、被験者数、数千人とかの
実験ができれば見えてくるかもしれないの
だけれども。。。

 「地中海」のデータで、ランダムなひらめきは、
どうやら単位時間あたりある一定の確率
で起こる「ポアソン」プロセスのような
構造を持っていることが見えてきた。
 その前のある特定のアルゴリズムに
基づく「速い」プロセスとは様子が違う。
 このあたりが、「ニュートンのリンゴ」
のような創造性のプロセスと関係する。

 自分の発表が終わって、リンダほどでは
ないが、少しはほっとした。
 これで、とりあえずデータ解析を終えて、
他の仕事ができる。
 やはり、学会での発表には、「その前は
そのこと以外はやりにくくなる」という
それなりのプレッシャー効果はある。 
 特に今回のようなongoing researchで、
考えることが沢山ある時はそうである。

 共著者の田森佳秀と久しぶりに会って
ゆっくり話したが、やっぱりこいつは面白い!
 バールで田森の話を聞いて、笑い転げていた。
 いつも、「まだあったか!」と驚く
ほど、隠しネタを持っている。
 
 今回は、田森が中学生の時、2年間
漢字を書くのをボイコットしていた、
という話を聞いた。
 英語を学び始めて、英語というのはスゴイ、
アルファベット26文字だけで表せる。
 日本語だって、ひらがなだけで本当は
書けるはずなのだから、漢字を書くのは
無駄だ!
 そう思いこんだ田森少年は、
「漢字を書かない同盟」をつくって、
友達を誘ってひらがなだけでノートを
とっていたというのである。

 「それで、どうだった?」
と聞いたら、
 「苦しかった・・・」
と田森。
 こいつは、真性のバカである。
だから、好きなんだ。

 最近、その当時の「漢字を書かない同盟」
の同級生に会って、
 「あの時、お前のせいで!」
とぼやかれたと言う。
 本当にやってしまって、
友達を巻き込んでしまうところが偉い。

 いろいろ面白いことがあって、
まだたった一日しかいない、ということが
信じられないくらい堪能した。
 タクシーを呼ぶときに、相手がスペイン語で
まくしたててきて、
 数字でさえ英語で言ってくれない
不条理な状況にも、何だか慣れてきてしまった。
 
 そう思えば、世界はスペイン語でできている
ような気すらしてくる。

8月 24, 2005 at 02:01 午後 |

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コメント

こんばんは。またやってきました。

茂木さんの恩師のホラス・バローという方は凄い人ですね。80過ぎても学問を求める気持ちが衰えない!素晴らしい方ですね。
>86歳なのに、学問に対する情熱が全く衰えないのは、スゴイことだと思う。
生涯を通して学問への情熱を燃やし続ける。崇高なことだと思います。偉大なことだと思います。現在の人類、特に日本人に必要なのは「人生、最後まで勉強だ!」という、学びに対する崇高な価値観ではないかと思います。
それから茂木さんの、共著者の田森さんの話。中学時代に「漢字を書かない同盟」なる同盟を拵えて、友達を巻き込んでひらがな
だけでノートをとっていた、というくだりは結構笑えました。確かに英語はアルファベット26文字だけで言葉を書けますし、日本語も漢字なんかなくたって五十音のかなで表記できますものね。
実際気の知れた仲間同士でやってみると結構面白いかも。(笑)

投稿: 銀鏡反応 | 2005/08/24 19:11:34

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