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2005/08/19

あすへの話題 脳から見た英語上達法

あすへの話題 脳から見た英語上達法

脳科学者 茂木健一郎

 日本人は英語が下手である。特に、話したり書いたりして、自分を表現するのが苦手である。英語教育が外から情報を取り入れて吸収することに重点を置いてきたからだろう。
 脳の記憶のメカニズムから見た英語上達法ははっきりしている。当たり前のようだが、英語のシャワーを浴びるしかない。英語に接する「エピソード」をどれくらい脳の側頭葉の記憶のアーカイヴに蓄積できるかで、英語力の厚みは決まってくる。
 日本語をどのように習得したか、思い出して欲しい。単語の意味を辞書で調べることなど、むしろ例外である。脳の中に蓄えられた豊富な「エピソード記憶」から、それぞれの単語の「意味記憶」が自然にできあがってくる。「あたたかい」という言葉を何回も聞くうちに、自然にその意味がわかってくる。一つ一つの「意味記憶」を多くの「エピソード記憶」が支えているから、ネイティヴは応用が利くのである。
 日本の英語教育のように、中学校で勉強する単語の範囲はここまで、と最初から区切ってしまうのは、根本的に間違っている。言葉は開かれたシステムであり、どんな単語が飛び込んでくるか判らない。それでも、過去のエピソード記憶の蓄積からその意味を類推してしまうのが、本当の語学力なのである。
 英語は何も試験のためにあるのではない。インターネットの発達によってグローバル化した世界で、自分を表現するためにあるのである。日本人の顔が見えないと言われて久しい。今からでも遅くないから、英語のシャワーを浴びて、脳に沢山の英語のエピソードを蓄積しようではないか。

(日本経済新聞2005年8月18日夕刊掲載)

8月 19, 2005 at 07:38 午前 |

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脳科学者の茂木健一郎氏が英語上達法について触れている(日本経済新聞8月18日夕刊)。 要旨次のようである。 ・脳の記憶のメカニズムから英語上達法ははっきりしている。英語のシャワーを浴びるしかない。 ・英語に接する「エピソード」をどのくらい脳の側頭葉の記憶の... [続きを読む]

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この夏親戚の家に行ったときに、日経新聞((国際版) 8月19日 8面)があってそこに脳科学者である茂木健一郎氏の「あすへの話題 脳から見た英語上達法」というコラムがありました。... [続きを読む]

受信: 2005/10/01 11:33:41

コメント

日本の学校教育の妙な「区切り」は、国語にもあるようです。小3になるわたしの姪が学校の作文で、まだ習っていない漢字を使ったら、担任の先生が「この字はまだ習ってないからひらがなで書こうね」と、漢字そのものは正しいのに赤で直されたそうです。以来彼女は、学校で習っていない漢字は知っていても使わないそうです。言葉という開かれたシステムになんでわざわざフタをかぶせるようなことをするんでしょうね。

投稿: shiba | 2005/08/19 21:07:06

英語のシャワーですか。そうですね、日本人のように誤った教育のせいで外国語が喋れない人々はそういうやりかたで言語習得をしたほうがいいかもしれませんね。

投稿: 銀鏡反応 | 2005/08/19 19:25:38

シンクロニシティ?!:-)記事が出てましたね、
中田英寿選手の英語....... :-)

あと、脳内の糖消費は運動でむしろ減り、
代用として乳酸をつかう、そしてそれは
運動をしている人のほうがしない人より
倍は効率がよくなるとかなんとか。

やっぱり、適度の運動もしないと
言語習得も含め、学習効率の高い脳には
ならないのでしょうか? :-)

投稿: Kimball | 2005/08/19 13:57:17

「エピソード記憶」という言葉に得心のゆくものがありました。
「エピソード記憶」で記憶したものしか、英語のコミュニケーションの現場では役に立たないのではないかと思いました。
小生ブログで少々言及させて頂きました。また、トラックバックもさせて頂きました。予めご了承ください。

投稿: yoshi inoue | 2005/08/19 12:57:22

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