« 小さな成功体験を持とう | トップページ | 政策意見表明 »

2005/08/08

ブラインドが開く世界

 西村陽平さんとの対話は、
 目が見えない、ということで
かえって開放される可能性を
めぐって
 スリリングなものに。

 「障害」や「ノーマル」といった
概念は文脈依存的なものであり、
 文脈が変われば当然proもconもかわる。

 視覚の不在が、全く別の可能性を開く
ことは、盲目の数学者として知られる
Bernard Morinの存在でも明らかだろう。

 昔加藤十吉先生の授業で、Morinが
考案した「球のひっくり返し」を視覚化した
フィルムを見たことがある。
 その時、加藤先生は、Morinは4次元空間が
見えるらしいと言っていた。
 見えるとかえって3次元に拘束されて
しまうのだろう。
 
 球のひっくりかえしは、英語ではsphere eversion
といって、
 盛んに研究される一分野になっている。

 終了後、東中野の游山楽 で懇談。
 文藝春秋の山田憲和さんもいらっしゃる。

 山田さんと、「脳のなかの文学」
の単行本化について相談。
 山田さんは複数のタイトル案を
もってきてくださっており、
 また装丁はこんな感じでどうでしょう、
と幾つかサンプルを見せて下さった。

 どうも、私の本としては今までにない
感じになりそうである。
 幾つか具体的な「手入れ」の方向性を
ご示唆いただく。
 山田さんもNumber編集部にいらしたが、
文学界の大川繁樹編集長とはちょうど入れ替わり
だったとのこと。

 この夜最大の驚きは、游山楽で見た
クローズアップ・マジックで、
 ふらりと来たオーナーの知り合いの二人が
見せてくれたが、
 目の前で一瞬にして10円玉が
100円玉に変わったり、
 トランプの山の途中にあるものが
上にぴょこんと飛び出したり、
 もちろんネタがあるのだろうが、
あれほど強いイリュージョンが生じるとは、
初めて実際に体験した。

 自分が見たものを説明する一番簡単な仮説は、
二人が実際に超能力者である、ということじゃ
ないかと思うくらいに、強烈なものだった。

 マジックくらい非対称なものはないだろう。
 マジシャンは全てを知っているが、
観客はblindであり、だからこそイリュージョンが
生じる。
 ブラインドであることが開く世界は
思いの外多様で深い。

The Qualia Journal
A world open only to the blind.

8月 8, 2005 at 08:38 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ブラインドが開く世界:

コメント

マジックとか、4次元の世界が見えるとかいった世界というのは私達には仕掛けや内実がわからない、まさに「ブラインド」な世界なんですよね。
変な意見かも知れませんが、普段我々が見ているのは3次元の世界だけであとはみんなブラインドなんですよね。世界っていうのは目に見える3次元だけで成り立っているわけじゃなくて、その裏には眼に見えない心の動きとか、いってみれば4次元とも5次元ともいえる世界もあるわけで、そこを意識していくことが本当に『世界を知る』ということになるのではないでしょうか。
これからの我々は3次元とその他の次元を隔てる「次元の壁」を超えて、自分達の生きている「世界」全体を意識することが必要になってくるのではないでしょうか。

投稿: 銀鏡反応 | 2005/08/15 0:01:02

ブラインドと言うのは、養老さん流に言えば「バカの壁」のようなものなんでしょうか。
ネタがわかってみれば「なーんだ」というような事が、この前のテレビのキリストのように言われるまで気付かなかったりします。
ブラインドを開くために一番必要なのは、知識なのか、洞察力なのか、感性なのか、想像力なのか。今、無限の無重力を感じている宇宙飛行士の野口さんに聞いてみたいですね。

投稿: 水瓶座 | 2005/08/09 0:11:22

コメントを書く