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2005/07/19

もののあはれ

web上で、他国のことであれ、
特定の立場の人であれ、
 他人のことであれ、
口汚くののしっているのを読むと、
 心が寒くなる。

 そういうことを書きたくなる気持が
わからないでもないが、
 それは一種のpathology(病理学)
に属する事だと思う。

 脳というのは不思議なもので、
ある特定の考えにとらわれると、それに
よって運び去られてしまう傾向がある。
 人間自体を目的にしていれば、
決して言葉だけが鋭利な刃物のように
走っていってしまうことはないはずだ。

 とりわけ、他国に対する批判は、
それを日本語で書いた瞬間、ほとんど日本人しか
読まないのだから、
 反論のリスクを負わない、身内の自己満足に
なってしまう。
 人間自体を目的にするのであれば、
他国に対しても、あたかもその国の人たちが
「人間」というカテゴリーの外にあるかのような
書き方はできないはずだ。
 
 日本にいて、日本語で書くのは「ホーム」
である。
 「アウェー」を闘っている松井や
イチローにかなうはずがない。

 自分が子どもに戻っていて、
両親や妹と旅をしている夢を見た。

 何日か旅行したあと、自宅の最寄り駅
で降りて、
 家に向かって歩いている時の、
「ああ、懐かしい」という気分を、
 もう一度味わうことができた。

 あの時間は二度とかえってこない。
 若かった両親もかえってこない。

 このような感慨を本居宣長は
「もののあはれ」と呼んで、
 日本精神の中枢に据えた。

 平気で他人や他国を批判できて、
自らを省みることがない人たちは、
 「もののあはれ」が少し足りないのではないか。

 もちろん、人間自体を目的にする、
ということは、他人を批判している
困った人たち自体をも、切り捨てずに、
暖かく、その人格自体を目的にして
振る舞うということを意味する。

 そのことさえ押さえておけば、
何を言っても大丈夫である。

 誰でも、自分が小さかった時の
親とのことでも思い出してみれば、
 やさしい気持になれるはずだ。

The Qualia Journal
The Time Machine

7月 19, 2005 at 05:51 午前 |

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コメント

五十嵐さま

雪型、いいですね。

いつも身近に見て、
すこしづつ変化を感じられる人たちは
いいなあ。

投稿: | 2005/07/23 12:19:41

「あはれ」とは「ああそれは私自身だ」という
「ああ我」の気持ちなのではないでしょうか。
惻隠の情というか相手をおもはかる心情だと思うのです。「相身互い」の気持ちを人間や他の生き物、自然に対して自問として行うことが大事と思うのです。
追伸
アハ体験ですが、日本の山に見られる雪形は
まさに農耕生活の中でのアハ体験ですね。

投稿: | 2005/07/20 0:09:59

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