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2005/07/22

あすへの話題 さいしょのペンギン

あすへの話題 さいしょのペンギン
脳科学者 茂木健一郎

 水族館などでペンギンの行動を観察していると面白い。水辺に並び、なかなか飛び込まずに、「どうぞお先に」と譲り合っているようにも見える。
 ほほえましい光景だが、背景には自然界の厳しい掟がある。ペンギンたちは氷雪の上にいるため、海の中に入らないと魚などの餌を捕ることができない。一方、水の中にはペンギンを食べてしまうオットセイなどの恐ろしい天敵も待ちかまえている。
海に飛び込むことは、リスクを伴うことなのである。
 ペンギンたちは、誰かが先に飛び込まないかと待っている。かと言って、何時までも誰も飛び込まないと、餌を捕ることができない。誰かが、「さいしょのペンギン」にならなくては物事が進まないのである。
 成功が保証されていない中で、フロンティアに挑戦する。そのような「さいしょのペンギン」を、人間の社会も必要としている。特に、横並び意識が強い日本では、もっと多くの「さいしょのペンギン」が出現する必要があるようだ。
 最近の脳科学の研究によれば、不確実な状況の中で決断する時には、脳の感情のシステムがフル回転する。脳の扁桃核や前頭葉などが生み出す感情が、「よし、行こう」という判断を支えているのである。
 人生の中で、正解が判らず、悩むこともある。そのような時には、感情を豊かに働かせてみるのが良い。
 周囲からニートだと言われて、落ち込んでいる若者も、自分自身の人生における「さいしょのペンギン」になるつもりで社会という海に飛び込んで見たらどうか。そこにはすがすがしい光景が広がっているはずだ。

(日本経済新聞2005年7月21日夕刊掲載)

7月 22, 2005 at 09:17 午前 |

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