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2005/06/21

東京から一時間

 羽田空港で、フード・ジャーナリストの平松洋子さん、
小学館「和樂」編集部の渡辺倫明さんと待ち合わせ。
 能登空港で、写真家の森善之さん、輪島塗りの
塗師(ぬし)の赤木明登さんと合流する。

 まずは木地師の工場を見にいった。
 木から、お椀などの形を挽く。
 ここで目に入った「豆カンナ」にすっかり
魅せられた。
 手のひらにすっぽりと入るような大きさの、
様々な形のカンナが並んでいる。
 

 木の素材、曲率、部位などで細かく
使い分けるのだと言う。
 職人というのは、自分で道具を作る人の
ことを言うのです、と赤木さんは言った。
 なるほど、科学でも、オリジナルな仕事を
している実験室には手作りの装置がある。

 続いて、もう一つの木地師の工場に
伺う。
 椀を挽く。
 挽く音がとぎれると、ハワイアンの音楽が
かすかに流れてくる。
 その頃合いが、遠くから聞こえる波の音のようで、
ここに文学があったと思った。

 工場の外の道路に、おばあちゃんが三人
座っている。
 「この前来た時にも、まったく同じところに
座っていたんですよ!」と平松さん。
 そういえば、坂道を通り抜ける風が涼しい。

 古道具屋で合鹿椀を見た。
 普通の椀よりも、やや形が上に延びていて、
質実で剛健な印象がある。
 江戸時代のものは人気が出ていて、
初出しで10万、地元の骨董屋で30万、
東京に行くと100万の値段が付くという。

 平松さんオススメの宿、「さか本」へ。
山中にあり、山の端から見え隠れする
月が清かである。

 明日早い電車に乗らなくてはならないので、
 食事を終えた後、 
 私だけ赤木さんのお宅に泊めていただく。
 赤木さんの家は、多くの雑誌の取材で
知られているが、
 森と小川に囲まれた素敵な
塗りの工房である。

 単音で鳴く不思議な鳥がいる。
あれは何かと尋ねたら、
 ヌエ(トラツグミ)だという。
 とても、不吉な鳥とは思えない。 
 私にはむしろ綺麗なフルートの
音のように聞こえた。
 
 見たもの、聞いたもの、感じたものは
数え切れない。
 それが、東京から飛行機でたった一時間である。

6月 21, 2005 at 08:06 午前 |

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