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2005/04/05

地上に現れた新しい太陽を見上げて

風の旅人 第13号 
(2005年4月1日刊行)

茂木健一郎 都市という衝動 第12回
地上に現れた新しい太陽を見上げて

 通りを歩く度に新しい何かが目に入る都会も好きだけども、時代の流れのメインストリートから離れて、ひっそりと佇んでいるような街も私は好きだった。
 10年ほど前、学会で初めて訪れた福岡県の飯塚は、そんな街のように思えた。滞在する日を重ねていくにつれて、私の心の中には柔らかい澱のようなものが蓄積していった。
 かつて石炭の採掘で栄えた頃に、たくさんの趣味の良い料理屋ができたらしい。炭坑が閉山され、その後の時代の流れの中で少しずつ数が減ってきているとは言え、かつての繁栄の名残を残す店はまだあった。決して、大げさで派手な店が並んでいるわけではない。むしろ、ひっそりと目立たない店の中に、思わぬ歓びが隠れていた。
 九州の太陽は強い。川にかかる橋には、車道の横に歩行者用の道があり、「人道」と看板が掲げられていた。昼間町並みを歩くと、風景の中にあるもの全てが強烈な光の粒に攻撃されていることがはっきりと判った。
 太陽が沈み、暗闇があたりを包むとほっとした気分になった。ホテルの近くに定食屋があった。夏の盛りでも、夜には店の窓を開け放せば、涼しいと感じられる風が通って行く。白いタオルを首にかけたおじさんが、高い台に載せられたテレビの巨人戦を見上げながらビールを飲んでいた。店を切り盛りするおばさんが料理した総菜が何種類か鮮やかな色柄の大皿に盛りつけられ、うまそうだと思ったものを指して取ってもらった。一人でテーブルに座っていても、寂しくはならない。にせの九州弁で野球の話をすると、白タオルのおじさんが豪快に笑った。その白い色が、昼間の強烈な太陽を思い出させた。 
・・・・

(全文は「風の旅人」でお読み下さい)

http://www.eurasia.co.jp/syuppan/wind/

4月 5, 2005 at 08:12 午前 |

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