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2005/03/30

インターネットという場所

電子メールを本格的に使い始めてから
十余年、ホームページを立ち上げてから
6年半。
だんだん、メディアとしての
インターネットに慣れてきて、
そこがどんな場所だったのか、
つかめてきたような気がする。

一言で現せば、コントロールできない世界。
SPAMも避けられないし、時には悪意や、
妙なものや、ネジ曲がりや、変わり者や、
余計なお世話や、曲解や、トンデモや、
ナンチャッテに出会うことも回避できない
ような場所。
 それがインターネットである。

これは笑い話になるのかどうか
判らないのだが、
相変わらずSPAMが来るので、自分のHPの
メールアドレス表示を画像にしようかと、
一瞬考えた。
しかし、ふとイヤな予感がして、自分の
メールアドレスでぐぐってみたら、
たくさん出てきて、
それは無駄な抵抗であることが判った。
すでにあちこちに散らばってしまって
いるのだ。

「これからもSPAMは絶対になくらならないから、
一生SPAMと付き合っていく覚悟をもたにゃ
あかん」という名言を吐いたのは、
アーティストの椿昇さんである。
 芸大での授業の時だった。
 まさに、私たちは一生SPAM的なものと
付き合う覚悟をもって、インターネットのような
双方向メディアに接する必要がありそうである。

 ライブドアの堀江貴文さんはいろいろ
言われているけれど、
 一つ偉いと思うのは、そのblog「社長日記」に
うぁーっとついてくるいろいろな(しばしば
うざい)コメントを
そのまま気にせずに残している点である。
 もっとも、あれほど数が増えてしまうと
一個一個の「いやげコメント」の重みが
減って、
 一種の風景として観賞できる、というような
境地に達するのかもしれない。

 一般則として、「ネット上の罵詈雑言は、
どちらかと言えばその人にとっての肥やしになる」
ということが言えるのではないか。
 ライブドアの堀江さんは肥やしを一身に
浴びて成長し続けているのかもしれない。
 「こういうコメントを書かれると、
ライブドアのイメージにかかわる」といった、
広報的対応をしないことで、
 かえって社長日記のblogとしての
批評性、立体感を高めているように思われる。

 脳のメタファーで言えば、興奮性結合と
抑制性結合がバランス良く存在してはじめて
神経細胞の機能が実現するわけで、
 どこかの神経細胞がシナプスをのばして
きたからと言って、
 「お前はスパムだ、あっちいけ、しっし」
と一々やっていたら、
 神経細胞としての人生はやっていられない
ことになる。

 最近は日本語のスパムも増えてきて、
中には傑作! と言ってあげたいものも
あるが、
 おあいにくさま、
 こっちは絶対返信とかクリックとかしないんだから、
ご苦労様なことである。
 スパム制作者がどのような欲望、必要、意図に
かられてせっせとスパムを作っているのかは
知らないが、
 100万分の1クリックに賭けているのだと
したら、随分だな、と思う。

 もっとも、スパム制作者の中には、
この世界に対して
ヒトラー的な巨大な悪意を抱いているヒトが
いるかもしれず、
 スパムも決して馬鹿にはできない。

 大昔、とあるターミナル駅を
ガールフレンドと歩いていた時、
駅の横で女の子に次から次へと声をかけている
若い男がいた。
 みんな無視して通り過ぎていくのに、
めげずに声をかけまくっている。 
 その姿が何だか少しミジメで、
滑稽だったので
 思わず二人で笑ってしまったら、
男がこちらをじろっと見て、
 「今、笑ったろう!」とすごんだ。
 こわかった。

 くわばらくわばら、「笑っていませんよ!」
と言って逃げたが、
 あの場合、持たざる者を持てる者が
笑ったという意味で、
 我々が悪かったのかもしれない。

 しかし、スパム一般の背後にあるものは
別である。
 本当は
 スパムを笑っている場合じゃないのかも
しれないとも思う。
 スパムの背後に何が隠れているか、
わかったもんじゃない。
 普通の人は、スパムをわざわざ作って配布する
というようなご苦労さんなことはしないと
思うからである。

3月 30, 2005 at 06:24 午前 |

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コメント

コメントありがとうございます。
広告批評の茂木さんの意見、拝読させていただきました。文学界の連載も。
近くない未来に、
『月刊言語2001年2月別冊
(げっかんげんごべっさつ)
特集名: 言語の20世紀101人』
に関係することと、クオリア研究に関係することで私信で
メールさせていただきますので、優しく受信してください。よろしくお願いします。

投稿: tatar | 2005/03/30 11:56:07

tartarさんのコメントがスパムなんて、とんでも
ない。
いつも興味深く拝読しております。

そもそも、スパムにも、「良いスパム」
というのがあるに違いない!
と思っています。
それが生かせない人生なんて、ツマラナイ
ですよね。
あまり一杯くるのもタマラナイけど(笑)

投稿: | 2005/03/30 11:21:21

「いやげコメント」

「いやげもの」(みうらじゅん)

を意識されたものならば私はとってもとっても嬉しい。私のコメントがスパムコメントに類するものだとしてもそれはそれで。茂木さんの「肥やし」になるとは思えないけれども書いてしまいます。

投稿: tatar | 2005/03/30 8:54:09

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