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2005/03/25

高橋源一郎、内田樹 対談

 美術評論家の橋本麻里さんの
お誘いを受けて、朝日カルチャーセンターでの
高橋源一郎、内田樹対談を聴きにいく。

 橋本麻里さんはAERAで美術評論の
連載を持っていらっしゃるので
読んでいる人も多いだろう。
 もともと、BrutusのQualiaの記事の
連載で御世話になった。
 高橋源一郎さんの娘さんである。

 内田さんにお会いしたのは
はじめてだった。

 たまたま、私たち3人は、現在「文學界」
に連載を持っている。
 高橋源一郎 ニッポンの小説
 内田樹 私家版・ユダヤ文化論
 茂木健一郎 脳のなかの文学

 控え室での話題は自然に来月号
の原稿進捗状況になった。
 内田さん 終了。もうゲラになっています。
 私 25枚中15枚
 高橋さん これから書きます。火曜日までに
終わらせれば大丈夫(なはず)、しかし、今まで
落としたことは一度もない!

 というわけで、内田さんが一番優秀だということが
わかった。

 「脳のなかの文学」は16回ないし17回で
完結の予定なので、私がお二人より一足先に
戦線離脱するはずである。

 時間となり、
 対談が開始され、お二人の
対話は、「近代文学」という制度
の周辺のさまざまな話題に及んだ。

 高橋源一郎さんは、7割の
明晰さと、3割の謎、ということを
言われた。
 それくらいの割合が
読者を惹きつける、という「産業構造」が
確立してきたというのである。
7対3のフォーマットが
流通し、再生産されてきた。
 ところが、橋本治さんの書くものには
3割の謎がないという。
 だから、批評家たちはどう扱ったら
良いか、分からないのだ、というのである。

 内田樹さんは、言語表現というものは、
もともとその中心に空白を抱え、
その空白をめぐってなされるものだ、
と指摘された。
 そして、他者性には二種類あり、
時間軸を導入したときに、いつかは
理解できる他者性と、
決して理解できないであろう他者性の
二種類があり、その差異が
重要だ、ということを、国際関係論に
おける(manage可能なものとしての)
riskと、(manage不可能なものとしての)
dangerにも言及して議論された。

 対談終了後、内田さんのお知り合いの
方のパーティーにお呼びいただき、
 その後、高橋さん、橋本
さんと一緒に六本木のイタリアン、
Ristorante Amoreに移動した。

 文学や脳の話をしつつ、
「父」と「娘」の会話
(お前、最近はどうなんだ)
(至って順調よ)
に対して、私が「行司」としてコメントする、
ということに相成った。
 
 それにしても、Amoreは素晴らしい
店であった。
 イタリアのイタリアンというよりは、
ロンドンのイタリアンを思い出させ、
 私はちょっぴりロンドンが懐かしくなった。

3月 25, 2005 at 08:22 午前 |

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