« 小柴昌俊先生の「楽しむ科学教室」 | トップページ | 脳の最新科学解説 »

2005/03/18

日月山水図屏風から風花へ

名古屋に移動し、愛知県立美術館の
「自然をめぐる千年の旅ー山水から風景へー」 
で「日月山水図屏風」を見る。

「すごい」としかいいようのない室町時代の
作者不詳の作品である。
展示替えで、4月10日までしか見られないので、
近隣の方はお急ぎを。
東京のヒトも、新幹線に飛び乗って見に行け!
普段は、金剛寺にあり、年に二日間しか見ることが
できない。

 会場には、なんと、国宝の「阿弥陀二十五菩薩来迎図」
(「早来迎図」)

や、国宝、久隅守景の
「夕顔棚納涼図屏風」などもあり、さすがは
愛知万博記念ということで、
頭がくらくらし、生命の危険を感じるほど
魅力的な名品のそろった展覧会であった。

「早来迎図」の前でも、もっと時間を費やしたかったが、
ここは初対面の「日月山水図屏風」に絞って、
時間の許す限り(約30分間)その前にいた。

一つの絵の前にずっといるというのは、以前
長谷川等伯の松林図を見た時に開眼した
やり方である。
あの時は2時間いた。
日月山水図屏風の前にも、それくらい居たかった。

海の波が、「気」の流れのように下に漂って
いる。
松やその他の木はもちろん、何よりも山や
海に生命の気配があって、
万物がうねり、流れて、一つになる契機を
みせながら、なおも一つ一つの個別を保っている。

地球の造山運動とその浸食もまた一つの
生命のいとなみであり、松の木は
そのうねりの上に生えた小さなカビの
ようにも見える。

うねりは地上だけにとどまっているのではない。
月や太陽は、遠くはなれた宇宙空間の中に
あって、光という不思議なメディアムを
通して、地上の出来事に影響を
及ぼしている。

すべてのものが、響き合って、包み合って、
包まれている。

名古屋駅ビルの高島屋で「白洲正子の世界展」
を発見、急いで見学する。白洲信哉に、
「あった、行った、見た」と電話。

新幹線で東京に移動、NHKで二件の打ち合わせ。

有楽町の中華料理屋で、「文學界」の
「脳のなかの文学」連載一周年と、島田雅彦
さんの「退廃姉妹」連載集結のお祝い。
文學界担当の山下奈緒子さん、大川繁樹編集長、
文藝春秋の田中光子さん、西山嘉樹さん、丹羽
健介さん、川田さん。
川田さんは身長173センチの元早稲田大学
女子バスケ部であった。
川田さんが名刺を切らしていたので
フルネームが判らないのである。

大川さんは、相変わらず文学の理想を
追い求め、飛ばしまくっていて、
私はとてもとても安心した。
帰り際、大川さんは
「内藤礼の作品は素晴らしい!」と
激賞した。

新宿五丁目の「風花」に移動。
矢作俊彦さんがいらした。

島田雅彦も、大川さんとは違う
リズムとメロディーで飛ばしまくっていたが、
私はいろいろ仕事もあり、時間が小さくなった
頃に帰宅した。

あの後、島田雅彦がどのようにさえまくったのか、
とても気になったが、
眠りに就く前に最後に意識に上ったのは、
日月山水図屏風の輝く太陽だった。

島田さん、女の話もいいですが、
たまにはあの屏風の風景の中に行きませんか。
もちろん、屏風の中で島田さんが女の話を
続けたとしても、
それはそれで奇抜な地上の太陽となるかも
しれません。
 

 

3月 18, 2005 at 07:17 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日月山水図屏風から風花へ:

» 丸山 健二 トラックバック PukiWiki/TrackBack 0.1
丸山 健二 † 【まるやま けんじ】 長野県生まれ 1943- 丸山 健二 『夏の流れ』 『穴と海』 『アラフラ海』 『イヌ... [続きを読む]

受信: 2005/04/05 5:21:49

» 丸山健二 トラックバック PukiWiki/TrackBack 0.1
丸山 健二 † 【まるやま けんじ】 長野県生まれ 1943- 丸山 健二 『夏の流れ』 『穴と海』 『アラフラ海』 『イヌワシのように』 『ミッドナイト・サン 新北欧紀行』 『さらば、山のカモメよ』 『ときめきに死す』 『高倉健 独白 写真... [続きを読む]

受信: 2005/04/11 17:21:09

» 丸山 健二 トラックバック PukiWiki/TrackBack 0.1
丸山健二 † 【まるやま けんじ】 長野県生まれ 1943/12/23- 丸山健二 『夏の流れ』 『穴と海』 『アラフラ海』 『イヌワシのように』 『ミッドナイト・サン 新北欧紀行』 『さらば、山のカモメよ』 『ときめきに死す』 『高倉健 独白 写... [続きを読む]

受信: 2005/04/12 19:10:41

コメント

こんにちは。いつも楽しく、興味深く、お勉強をさせて頂きながら、
日記を読ませて頂いております。
そして、いつも素敵な感動をどうもありがとうございます。
ここにコメントを書き込みするのは、かなり勇気がいるのですが
とても心が震えてしまったことをお伝えしたく。

今日の日記は、どきどき、とても胸が苦しくなりました。
絵の美しさになのか、作者の思いか何かが伝わってくるからなのか、
それとも、茂木さんの思いが伝わってくるからなのか...。
鼻がつーんとして、涙が出てきそうです。

投稿: | 2005/03/19 1:03:12

 ご承知のとおり、室町時代の大和絵であります「日月山水図屏風」(金剛寺)は、白洲正子氏が『かくれ里』、丸山健二氏が『千日の瑠璃』の表紙の装丁に使用しました。
 特に丸山氏は、『されど孤にあらず』の最終ページに日本美術史上の最高傑作として称えていました。白洲氏も同様のことを書かれています。
 私は、常々思っているのですが、丸山氏が次作をこの絵画にたくした、作者不詳を主人公にした、矛盾・不条理の大河小説を熱望しています。彼は、歴史小説を書かないと言い切っていますが、『月に泣く』や『争いの樹の下で』は、それらしきことを書いてきています。
 できうれば、初期・中期作品のスタイルで、現代・近未来とあわせ重ねた作品として書上げてくれればと思っています。

投稿: | 2005/03/18 13:59:53

はじめまして。
神奈川の人も飛び乗って行くべきなんだと思います。
田吾作・島田に是非それをやらしてください。
茂木さんの危機感を信用して良かったと思っています。そして真摯な態度、そして力。
クオリアが爆裂!

投稿: tatar | 2005/03/18 8:45:17

コメントを書く