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2005/03/07

未来へ向けて沸き立つ万博

Popular Science 日本版 2005年4月号 p.80-81
(2005年3月4日発売)

茂木健一郎 未来へ向けて沸き立つ万博

一部引用

 愛知万博について言えば、成長著しい中国を中心とするアジアからの訪問者が、日本が必要としている清新な風を運んできてくれるのではないかと思う。大阪万博前後の日本の経済成長率は、年率10%前後だった。今では考えられない数値である。その考えられないくらいの高度成長を続けているのが現在の中国である。いろいろ問題はあるにせよ、基本的に沸き立つ気分の中にいるに違いない。
 その沸き立つ気分が、愛知万博を通して、少しは日本に感染すれば良い。その結果、どうなるかは知らない。社会という有機体は、多くのパラメータが絡む複雑系である。未来が予想できるのならば、こんなに楽なことはない。ただ、何もしないで座っているより、何かやった方がよいことは確かである。
 万博は、もともと、一国で閉じる話ではない。最近の日本人の議論は、どうも内向きではないか。1889年、フランス革命100周年を記念してパリ万博が開かれ、エッフェル塔が完成した。1900年のパリ万博には、内田百間の師である夏目漱石が訪れた。日本がまだ、坂の上の雲を目指して駆けていた頃のことである。
 坂の上の雲は一つではないし、どこから見るかによって風景も変わる。愛知万博が、日本人の見る風景が少しでも変わるきっかけになれば、モリゾーとキッコロも救われるだろう。

(「近況」コーナーでは、杉原信幸さんの東京
芸術大学卒業制作展(内覧会)でのパフォーマンス
について、写真をつけてコメントしています)

3月 7, 2005 at 08:36 午前 |

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コメント

「最近の日本人の議論は、どうも内向きではないか」
茂木さんがこれまで何度もおっしゃっていることですが、最近のライブドアの件にしろ、一事が万事で本当にそう思います。「パリ万博」など(もちろんパリほどではないにせよ「大阪万博」や「筑波万博」もそうですが)「万博」というものが人類史においてかなり大きな意味を持つことにもっと眼を向けたほうがいいと思います。その点、私も大好きですが、夏目漱石がいかにすごかったかをあらためて考えさせられます。英文学は勿論、ベルクソンもニーチェもジェームスもすべてほぼリアルタイムでキャッチして主体的にレスポンスしていますし。

投稿: 永澤 護(zero-alpha) | 2005/03/08 7:20:49

「最近の日本人の議論は、どうも内向きではないか」
茂木さんがこれまで何度もおっしゃっていることですが、最近のライブドアの件にしろ、一事が万事で本当にそう思います。「パリ万博」など(もちろんぱりほどではないにせよ「大阪万博」や「筑波万博」もそうですが)「万博」というものが人類史においてかなり大きな意味を持つことにもっと眼を向けたほうがいいと思います。その点、私も大好きですが、夏目漱石がいかにすごかったかをあらてめて考えさせられます。英文学は勿論、ベルクソンもニーチェもジェームスもすべてほぼリアルタイムでキャッチして主体的にレスポンスしていますし。

投稿: 永澤 護(zero-alpha) | 2005/03/08 7:16:11

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