BBCoach Project表彰式
ブロードバンド上で、小中校生が
協力しあってコンテンツをつくる、
BBCoach Project
の最終審査、表彰式が丸の内であり、
去年に続いて審査員として出席した。
今年も残念ながら大賞は出なかったが、
北海道の小学生と東京の高校生が
コラボしたり、
インターネットならではの面白い
展開があった。
審査員は、他に
石田晴久(多摩美術大学教授)
佐藤皇太郎(Artless Art Studio)
田中章雄(マクロメディア CTO)
子供たちの世界では、コラボレーションして
共になにかを作り上げる、ということは
実は殆ど奨励されていない。
大人の世界では「成果主義」が機能しないことが
反省されているのに、
教育課程は究極の「成果主義」が未だにまかり
通っている。
つまりは成績が「成果」であり、それを
もとに大学入試を最終ゴールとする
競争が行われている。
その中では、同世代の子供たちは潜在的な
「ライバル」であり、コラボして何かを
創り上げても、何の得にもならない、という
状況が続いている。
しかし、実際に人間が何かを創り上げる
プロセスは共創(co-creation)であるというのは、
経験的事実である。
独創性を重んじる科学者や芸術家も、
ディスカッションしたり、アイデアを交換したり
することなしでは、新しいものを
生み出すことができない。
このあたりのことは、最近出た
「脳と創造性」に書いた。
成果主義は、少なくともちょっとはゆるめて、
コラボの精神をもっと奨励しないと、
まずいだろう。
そんなことを考えながら、子供たちのプレゼン
テーションを聴いてきた。
一つ気がついた大きな問題は、Flashなどの
インターネット上のアニメのインフラの持つ
潜在的政治性である。
コンテストに参加した
子供たちは巧みなFlash使いになっていたが、
ある特定のアプリ、フォーマットが
標準になっていくことは、
とりわけ、表現の細かい作り込みを
することを命とするアーティストにとっては、
死活問題になる。
今春
東京芸術大学の大学院に進学する植田工が
言っていた、
東京美術学校では、狩野派の絵師たちが
一日に何千本も線を描いて修業した
という話が忘れられないのだが、
そのような世界とFlashの世界がどのように
共存して行けるのか、そこで立ち現れている
問題群は、Open Sourceの問題も含めて
奥深い。
自然言語はある企業が
囲い込んで開発、配布する、というような
構造にはなっていない。
Open Sourceこそが、言語のようなインフラを
創る際のフェアで効率の良いやり方であるように
思われる。
つまり、ビジネスの問題としてはいろいろ
課題があったとしても、
開発の方法論としてはOpen Sourceに勝る
ものはないんじゃないか。
Sunの新しい3Dのデスクトップ環境、
Looking Glassの開発は、Linux上で
Open Sourceでやられている。
Sunの秋元禮さんのプレゼンテーションを聴いて、
Looking Glassの将来に大いに注目したくなった。
もっとも、Microsoftは例によって後出し
じゃんけんを画策し始めているようである。
マクロメディアの田中章雄さんはSan Franciscoに
拠点を移されていた。
田中さんの語るアメリカの子供たちの
創造性のはじける感じはなかなかのものだった。
つまり、ITによって世界の風景は変わって
しまった/変わりつつあるわけで、
デジタル・デバイドは感性や世界の奥深くで
密かに進行しつつあるように思えた。
審査もしたが、いろいろ考えて
勉強にもなった。
アタマを使うことはこんなにも楽しい。
子供たちも何か掴んで帰ってくれたんだったら
いいな。
仕掛け人の、アットマークインターハイスクール
学長、
柳沢 富夫 さん、ありがとうございました。応援しています。
3月 29, 2005 at 07:59 午前 | Permalink
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コメント
大分時間が経ってしまいましたがblog でLooking glass をご紹介頂き有難うございました。
今月末行われるJava ONE http://java.sun.com/javaone/sf/index.jsp
で新バージョンも発表されます。特に開発したのが日本人という事もあり日本の教育業界にも注目されています。
また、Google が開催する学生向けプログラミングコンテストの対象
http//wiki.java.net/bin/view/Javadesktop/SummerOfCode2005
にもなり益々注目されつつありますので是非今後ともご支援の程宜しくお願い致します。
投稿: 秋元 禮 | 2005/06/07 0:20:37