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2005/02/27

爆発。

引き続き、「オープンカレッジ in 穂の国」。

 朝は、浅葉克己/小笠原敬承斎/佃一可/名倉鳳山の
「書道道中膝栗毛」を聴いた。

 浅葉さんは、松岡正剛さんの会で何回かお見受け
したことがあるのだけども、本格的に話を聴くのは
はじめてだった。 

 とにかく芸達者な方である。
 中国、雲南省に伝わる「トンパ文字」を掘り起こして
世に広めたことで知られる浅葉さんは、その後も
書にこだわり続けている。
 新しい文字が出来ることで、時代が変わるのでは
ないかと信じているのだという。
 浅葉さんの一日は、硯に向かって墨を擦り、
楷書をしたためることから始まる。
 最近の浅葉さんのお仕事は、タイポグラフィーの
未知の可能性を模索していると言ってよい。

 小笠原流の礼法の話は、はじめて聴いた。
室町時代から伝わる古文書と、現代の作法の関係が
面白い。

 それから、いろいろな分科会を
ハシゴして、
 自分たちの会と相成った。
 船曳建夫、植島啓司、島田雅彦、茂木健一郎
で「金で買えない快楽について」である。
 メンバーを見ても、これは
絶対に面白い話になるという確信があった。
 実際面白いことになって、私は「爆発」した。

 だいたい、池上高志や郡司ペギオ幸夫などと
喋る時もそうだけれど、
 気が合うほと、爆発する、というのが
芸というかダイナミクスなのであって、
 予定調和よりは良いのではないかと思っている。
 なぜ私が爆発したかというと、
植島、島田両名が、「性愛」を中心に快楽を
語り、しかもその語りが男性の「恋愛強者」
からの一種趣味的な言説に終始していたように
思ったので、
 これは対位法としてもアンチを提出しないと
バランスがとれないのではないかと思って、
 オブジェクションしたのである。

 ところが、船曳さんも植島、島田を擁護
したので、3対1になってしまった。
 N対1という状況には慣れている私では
あるが、このメンバーでいきなりそうなるとは
思わなかった。
 だが、しかし、面白かった。

 最後まで孤立無援の私ではあったが、
あとで三枝成彰さんが来て、
 「ぼくも賛成だよ。性愛もいいけど、バッハの
マタイ受難曲もいいよね」
と言って下さったのが救いではあった。

 終了後、みんなでビールを飲みながら「反省会」
をしていると、日比野克彦さんがやってきた。
 豊橋のチンチン電車の中で、浅葉克己さんたちと
セッションをして来たのである。
 植島さんの年収の激しい上下動をはじめとする
オモシロ話をしているうちに、
 「夜楽」の時間になった。

 「夜楽」では、島田雅彦、私、浅葉克己、
さかもと未明のメンツで参加者とワインを飲みながら
喋った。
 そのまま私は全体の打ち上げに行って、
さらにいろんな方と喋ったが、
 島田は「オレはいかない」と言って、
電話をしたら、ワインを飲んだ後で、
ラーメンを食べているという。

 仕方がないので、私が後で島田の部屋に行った。
ビールを飲みながら、文学の話をした。
 それで、午前2時になったので、部屋に戻って
眠った。

 爆発にはじまり、文学に終わる。良い一日だった、
と言えるのかもしれない。

2月 27, 2005 at 09:10 午前 |

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「金で買えない快楽について」 当初に予想していたとおり、白熱したトークセッション [続きを読む]

受信: 2005/03/01 0:36:19

コメント

 お話拝聴させていただきました。自分の中で立体的に意見が入り込んでくる感触を受けました。豊橋はどうでしたか?翌日すでにこのことが書かれており感動しました。ありがとうございました。

投稿: freakniks | 2005/03/01 0:35:05

植島啓司の『分裂病者のダンスパーティ』(リブロポート)は古本で手に入りますが、植島さんが加筆して文庫化して欲しいと、ず~と思っています。
この本は知り合うひとにあげたくなるのです。
確かもう出版されて二十年近くなって美本はめったにないし、澁澤さんが巻頭に書いているように、ポルノとして、性愛本として愛でたくなる本ですので新刊文庫としてどこかの版元が発刊して僕の贈呈本のリストに加えさせてください。

古本はどうしても贈呈には抵抗があるのです。

投稿: 葉っぱ64 | 2005/02/27 20:52:59

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