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2005/01/01

初夢

カラヤン、ベルリン・フィルの
「第9」を聞きながら車を走らせていたら、
ちらちらと雪が舞ってきた。

 その白い雪が、黒っぽい木を背景に
降るのが一瞬視界の中をよぎったとき、
私は一瞬だけ想像上のドイツにいた。

 そのファンタジーが終わると、
私が走っているのは色とりどりの
看板が立ち並ぶ日本の郊外で、
 その美意識の混乱に絶望的になった。

 東京の中心部は、随分きれいな
ところが多くなったけれど、
 郊外は、美意識においては取り残されている。
 それが、民放の番組のとっちらかった
惨状と重なって見えた。

 両親の家に着き、勘九郎のニューヨーク
公演の番組を見ながら仕事をした。
 夏祭浪花鑑。私の大好きな狂言である。

 魚屋団七九郎兵衛が舅を長町裏で殺す
場は、仕事を止めて集中して見た。

 勘九郎も偉いが、江戸時代の歌舞伎役者、
戯作者たちも偉い。
 ここには、とぎすまされた美の世界がある。
 むろん、江戸時代の、歌舞伎が生み出された
生の現場において、
 最初から洗練があったわけではなく、
完成があったわけではない。

 今の日本の郊外や民放のとっちらかった
状況からも、
 何か歌舞伎に相当するものが生まれてくる
可能性はゼロではないだろう。
 しかし、きっとダメだろう、という
気がしないでもない。

 新しいものは、おそらくは最初は
違和感を伴って認識されるはずで、
 そんな違和感のある、不思議なものを
つくる人たちが出てこなければ、
現状は変わらないのではないか。

 勘九郎の果敢なる挑戦に拍手を送りつつ、
ちょっとすがすがしい森の中を散歩
したくなる。
 その森の中で、銀色の一角獣に
出会うのが、初夢だったら良かったの
であるが。

1月 1, 2005 at 08:49 午前 |

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受信: 2005/01/01 14:43:50

コメント

あけましておめでとうございます。

初夢
元旦一時間ばかり昼寝いたしまして、その時夢を見ました。これはおそらく初夢となるのでございます。で、その夢の内容ですが、あやや(松浦亜弥ちゃん)と僕がなにやら楽しげに会話しているというところから始まります。限りなくキュートな笑顔を僕に投げかけてくれるあやや。照れながらも一生懸命応える僕。いしつか2人の顔は近づき、僕はそっと唇をあややに寄せる。そんな僕を笑顔で受け入れてくれるあやや。僕の唇とあややの唇があとほんの数センチのところに迫った時、、、、、夢は覚めました。今もとても幸せな気分です。

投稿: サ松 | 2005/01/02 5:45:05

毎度のSo Whatですが、
「初夢」ってのは今夜の夢では? という
風にも聞いた覚えがあるのですが。
(つまり、1/2の明け方前にみる夢が
 初夢だという説:-)

投稿: Kimball | 2005/01/01 22:59:20

普通の状態では解らないと?
少し、離れてみてみると客観的に解る?
違うコードからでないと、そのコードの意味が解らないということですかね。
つまり、疑うという方法序説的考えですか?
つまり、相対的にしか、互いに存在を確認できないと言うことですかね。
絶対は絶対に無いということですか?それも、矛盾していますね。
神は結末を知らないのかもしれませんね。

投稿: チゲなべ | 2005/01/01 20:43:10

「むか~しから、ある種の身体的技法や薬物で、変容した意識を獲得し、逆説的に自身の意識のリアリティを捕捉すると言った宗教的な儀礼が、多数あるのだ」との話を、漏れ伝え聞いておりますが、哲学の人らというのは、引きこもり気味に、自身の概念を先鋭化する過程で、この身体的な技法と同様の効果により、脳のリアリティーに迫ることに、知らず知らず(あるいは意識的に)励んでいたのではないのか?と安易に想像たくましくしております。
(ここでの脳のリアリティーとは、脳科学、認知科学で将来的に捉えられる事実、といった程度の意味でござます。)
とすれば、脳科学と哲学のコラボレーションは、自然な流れなのでございましょうか。黒死病の正体がバイ菌だったように、何時の日にか、<他者>がミラーニューロンのこれこれで説明がつくように、個人的には希望しております。確かに、その時は、「瞼の母」という表現も、随分と味気の無いものに為っている事で、ございましょうが。

投稿: ysubow | 2005/01/01 18:04:43

初めてコメントいたしております。
NHKの再放送を拝見いたしました。
非常に個人的な興味によります質問なのですが…。
例えば、先生のご研究領野と、精神医学との学際的な研究など、行われておりますのでしょうか。
門外漢ではございますが、年齢的にニューアカ世代でございまして、<主体>あるいは<他者>などの概念の保守本流、哲学やラカン派の精神医学やマル経、人文系の専売特許であったと理解しております。お時間あれば、次回の日記のお題にでもしていただければ…。よろしくお願いいたします。(先生のご研究がその嚆矢かとも思いながら。)

投稿: yasubow | 2005/01/01 15:39:12

本当に御説の通りですね。
栃木に住むようになって5年ですが、
どこへ行っても、その美意識の無さに
がっかり致します。
イナカの洗練とは何か、真剣に考える
人物はいないのかと。

カンバンと電柱を無くすことが
まず先決でしょうが。

投稿: 長谷邦夫 | 2005/01/01 12:09:58

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