« 素敵な恋人と出会う能力 | トップページ | 一身にして二生を経るが如く »

2004/12/21

99%の努力

朝、竹内薫も来て、
 研究所所長の所眞理雄さんといろいろ
お話する。
 5月にイタリアのボローニャでやった
創造性に関するワークショップの本を英語で
出版する件。
 竹内は、バイリンガルなので、編集を
助けてくれている。
 佐々木貴宏さんも同席。

 所さんが言われたことがきっかけで、
エジソンの、Genius is one percent
inspiration and ninety-nine percent perspiration
(天才とは、1%のインスピレーションと
99%の努力である)という有名な言葉の意味が
従来よりはっきり判った。

 ひらめきは一瞬で来る。しかし、そのひらめきを
実際に形にして、人々の間で流通するような
ものに仕上げるには、長い時間と地道な作業の
積み重ねが必要となる。
 それが、99%の努力となる。

 たとえば、ダーウィンのインスピレーション
は、おそらく一瞬で来たのだろう。
 しかし、それを『進化論』という整った
体系にするためには、長い努力が必要だった。

 思うに、1%の方だけあって、
99%が欠けてしまったために世に出なかった
ものは、沢山あるんじゃないか。

 夜、理化学研究所で行われた伊藤正男
先生の喜寿のお祝いのパーティーに伺う。
 
 1992年の年初に、はじめて理化学研究所を
訪問して、伊藤正男先生とお会いした時の
ことは鮮明に覚えている。
 脳をやろう、というのはまさに
偶然に出会った幸運(セレンディピティ)
だったのだけれども、
 あの時の伊藤先生のやさしさと厳しさが
入り交じったお話ぶりに、
 新分野に挑戦する勇気を後押しして
いただいたように思う。

 脳科学を伊藤先生の元で始められたのは
とても幸運なことだった。
 私が、セミナーでちょっととんがった
発表をしても、 
 伊藤先生は的確な批評をしつつも、
広い度量で受け入れて下さった。

 伊藤先生は、エックルズ先生の下に留学
されていた。 
 エックルズと言えば、ホジキン、ハックスレーと
ともにノーベル賞の受賞の対象となった
神経細胞膜の興奮のイオン機構の鋭利な
研究で知られる一方で、
 イギリスの科学哲学者、ポパーとの
意識の謎をめぐる共著でも有名である。

 伊藤先生の科学に対する厳しい姿勢と、
意識の問題を含めたさまざまな広い領域に
ついての関心は、エックルズ先生ゆずり
なのかもしれない。

 ひさしぶりに、ゆっくりとお話することが
できた。
 エックルズ先生の晩年の二元論については、
経験科学と精神の間をつなごうとして、
無理をされたのではないか、というのが
伊藤先生のご意見だった。

 私のケンブリッジ留学時代の恩師、ホラス・
バーローと今年の北京での会議で会った、
とうかがって、うれしかった。
 バーローはもう84歳である。

 伊藤先生は、若い時には小説家になるのが
夢だったという。
 どのような作品がお好きですか、と伺うと、
トルストイの長編との答えが返ってきた。

 最近、私にはロゴスを経由して科学に回帰する、
という流れがある。
 伊藤先生と久しぶりにお話することができて、
科学を真剣にやろうという思いが強まる。

 クオリアの問題を解くために全力を尽くす。
 一方、コンベンショナル・サイエンスにおいても、
いい仕事をやりたいと思う。

 99%の努力、である。

 「喜寿」のお祝いの文字と、伊藤正男先生

12月 21, 2004 at 05:00 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 99%の努力:

» エジソン晩年の研究の最大の謎!「死後の世界や霊との通信機械」は本当だったのか?謎の解明に迫ります! トラックバック エジソン晩年の研究の最大の謎!エジソンコードを解明せよ!
エジソンは晩年の研究において「透明人間」や「死者との交信」などのテーマものの発明に取り組んでいたとの伝説があります!世界の発明王トーマス・エジソンは何を考え、その研究はどこまで進んだのか?エジソンコードの解明に挑戦します! [続きを読む]

受信: 2007/05/17 3:55:59

» エジソン晩年の研究の最大の謎!「死後の世界や霊との通信機械」は本当だったのか?謎の解明に迫ります! トラックバック エジソン晩年の研究の最大の謎!エジソンコードを解明せよ!
エジソンは晩年の研究において「透明人間」や「死者との交信」などのテーマものの発明に取り組んでいたとの伝説があります!世界の発明王トーマス・エジソンは何を考え、その研究はどこまで進んだのか?エジソンコードの解明に挑戦します! [続きを読む]

受信: 2007/05/17 3:58:14

コメント

>エジソンの、
>Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration
>(天才とは、1%のインスピレーションと99%の努力である)
>という有名な言葉の意味が従来よりはっきり判った。
この話はま逆だと聞きました
この言葉は「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄である」との意味であるのが真実だそうです
取材した記者が書き変えたと聞いています

投稿: 榮太郎です | 2012/04/27 15:32:24

「やわらか脳」を拝読していて、思ったことを、自分のBBSに書きました。茂木先生はどうお思いになるか?と、書き込んで(コピペですが)みます。

茂木健一郎さんの「クオリア日記」(2004年12月21日―いまこれは「やわらか脳」という本になって徳間書房から出ています)にこう書いてあります。

 『エジソンの、Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration
(天才とは、1%のインスピレーションと99%の努力である)という有名な言葉の意味が
従来よりはっきり判った。

 ひらめきは一瞬で来る。しかし、そのひらめきを実際に形にして、人々の間で流通するようなものに仕上げるには、長い時間と地道な作業の積み重ねが必要となる。
 それが、99%の努力となる。』

私は、えぇっ!と思いました。私はエジソンのこの言葉は「99%の努力の積み重ねが有って、初めて1%の閃きに恵まれる」という意味に解釈していました。例えば湯川秀樹の中間子理論の発想、絵画や音楽のような芸術作品の誕生、などはそうなのだろうと。

しかし、茂木さんに言わせれば、「クオリア」が先ず閃いた。しかし、それを今のように認知して貰うのは、容易でなかった。99%の汗をかいた、ということなのかも知れません。ダーウィンの例を引いて居られます。

両方言える、としますか?

いや、私は、茂木さんが勘違いをなさっていると思います。茂木さんの「クオリア」の閃きは、無から生じたものではない。ダーウィンの閃きも然り。そこに至るまでの、地道な長い努力の下地があって、初めて、素晴らしい閃きが生まれたのだ。そう思います。

真相は、茂木さんはそれを100も承知していて、逆説的に言い換えられたのかも知れない。茂木さんの「謙虚さ」のなさしめたこと、なのだろうと・・・さあ・・・?

投稿: リベル | 2007/02/10 1:42:39

コメントを書く