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2004/10/03

高貴と求道

 イチローの最初の2打席はテレビの
前で見ていた。

 言うまでもないことだが、感動した。
 二点。
 まずは、イチローが、記録のためでもなく、他人からの
評価のためでもなく、ただ自分の内部の目的、美意識
に従って自己修練してきた結果が、あの瞬間だった
ということ。
 自らだけが知る規範に従って厳しく求道する、
というのは、野球だけではなく普遍的な倫理基準だと
思う。
 そして、あのセレブレーションの気高さと美しさ。
試合途中だが、チームメートがベンチを出て、抱擁
する。
 シスラーの子孫と握手する。何の衒いもなく、
ただ、気持ちに寄り添っているだけである。
 美しかった。

 2チャン、テロ、IT企業の強欲。イチローの
あの歴史的瞬間に、人々の心の中で敗れ去ったものは
多いのではないか。

 テレビの害云々を言うえせ科学者や、
評論家は多いが、あのような
場面を見ない、ということの損失についてはどう
考えるのだろう。
 9/11テロの映像のように、見ていなくては
始まらない映像というものはあるものだ。

 夕刻、ジュンク堂へ。

 最初から、今日は入不二さんと徹底的に議論すること
を楽しもうと思っていた。
 どのような展開になったか、ということは、下の
リンクから落とせるmp3にある通り。
 入不二さんのご専門である時間論と、心脳問題の
接点、そして生成、起源問題について、
 興味深い論点がいくつか出てきたのではないかと
思う。

 テーブルに座り、入不二さんと一緒に、本に
サインする。
 最近、私のサインは「茂木の木」から、すっかり
「フラワーピッグ」へと移行してしまった。

 打ち上げ。入不二基義さんはもちろん、NHK
出版の大場旦、大竹昭子さんや、斉藤哲也さん、
電通佐々木部長、山下篤子さん、それにちくま書房の
増田健史、伊藤笑子さんが加わってにぎやか
であった。

 大竹さんとは久しぶり。村上春樹モンダイを
熱く語り合う。
 大竹さんが「ねじまき鳥クロニクル」を読んだのは
案の定「文學界」の大川繁樹編集長の強力リコメンド
によるらしい。

 今日福井に日帰りの私は、二次会に消えていく
旦、健史の背中を指をくわえて見つめるしかなかった
ことだけが悔やまれる。

大変お世話になってマス。足を向けては寝られない、
大場旦(左)、増田健史(右)のダンディー編集者ペアー

10月 3, 2004 at 05:57 午前 |

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コメント

「否定」は文脈主義に属するもので、「赦し」は生成、クオリアの方により近いと思います。茂木さんと同じく一クオリア原理主義者としてのイチローはかっこいい!

投稿: | 2004/10/04 20:24:02

イチローの美意識。野球に対する彼の姿勢、そして昨日のあの満面の笑顔。普段は冷静さだけが表に感じ取れないが、歴史に名を刻んだ瞬間、とてもあどけない少年のような表情をしたかのように感じた。
 イチローのコメントはやはり重みがある。こころに奥までガツーン!とくる。
>2チャン、テロ、IT企業の強欲  
これらから発せられるものとは別次元。胸うつものは何があるのか。
>ただ自分の内部の目的、美意識に従って自己修練してきた結果が、あの瞬間だったということ。
たしかにイチローは内部に目的、大リーガーの自覚を持って、行動している。なれ合いだけで生きてる奴らには持ち合わせていない。孤高といわれる所以はなれ合い人間の仕業ではないのか。イチローに理解者はたくさんいるんだから。
 イチローのコメントに「野球の醍醐味はプレッシャーや緊張感、と向かいあってる時にあるんだ。楽しんでやれなんて僕には理解できない」(うるおぼえだが)として、よく聞く、世間の楽しんでやれを自分なりに解釈していた。自己の美意識に従ったのだなぁと思う。
 

投稿: | 2004/10/03 8:54:28

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