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2004/10/23

精神の三体問題

北米神経科学会の発表資料を、仕上げる作業。

 午前中は会議が二件あり、ランチタイムは
NTT出版の牧野さんが創刊したライブラリー「レゾナント」シリーズの4冊を持っていらっしゃる。
 シリーズを立ち上げて、刊行スケジュールを
守って出していくというのは想像以上の
苦労だという。
 それはそうだろう。私のように、なかなか
原稿を書かない(書けない)著者がいる。

 あれやこれやで、北米神経科学会の準備の
作業が
 実質的に始まったのは、午後1時。
 何しろ、五件の発表資料を詰めなければならない
ので、果たしてちゃんと終わるか心配だった。

 田谷文彦はベテランなので、任せる
ということにして、
 真っ先に終わったのは須藤珠水だった。
 須藤はレイアウトのセンスが良く、幼児の
前言語的カテゴリー認知の研究をささっとまとめて
いた。
 
 次に終わったのが、意外にも柳川透であった。

 学生と研究をしていて、一番うれしいのは、
ぐぐぐとものすごい成長を遂げる時である。
 柳川が、ここのところ神経回路モデルの論文を
たくさん読んでいることは知っていたが、
 そこで蓄積した知識とセンスをもとに、
質の高い結果とプレゼンテーションを作って
きた。
 あまり手がかからなくなった、という意味で、
独り立ちまでもう一歩。
 しかし英語力が不足している。

 小俣、関根は、結果は面白いのだけれども、
プレゼンテーションの流れや論理で手こずる。

 彼らの発表資料作成以外にも、私は仕事を
複数抱えていて、
 研究所の大テーブルに陣取って資料に手を
入れながら、
 同時に締め切り迫る(過ぎた)仕事をしていた。
 精神の三体問題により、なんだかぐるぐる
してきて判らなくなってきた。

 実は、小俣の結果というのが、マガーク効果
とダイコティック・リッスニングを組み合わせた
一種の「三体問題」をつくりだすと妙な
精神のリソナンスが生じるというものであり、
「ふふふ、オレも三体問題だわい」
と一人笑ったのは不気味であった。

 しばらく研究所の近くの清泉女子大学
に至る住宅地の道を散歩してみた。
 美しい午後の太陽の光が、人通りもない静かな
路面を照らし出し、精神はひとときの休息を
見いだす。

 「文系、理系」という前時代の遺物の
カテゴリーにとらわれている人間が徘徊している
人間が多い日本では、「科学はオレには関係ない」
と吹聴するのを得意とする困った精神風土が
ある。
 しかし、科学とは、要するに「論理」と
「経験から学ぶ態度」ということである。
 この二つなしにまともな人生を歩める
と思っている人たちが多いことには正直
驚く。
 
 感性とロジックの結婚の中にこそもっとも
興味深い可能性があるのであって、
 オレは感性人間だ、とばかり、ロジックなしで
世界を徘徊している人間は詰まらん。
 感性、ロジック、経験。これが精神の
三体問題だ。

 さてさて、まだまだいくつかの仕事を
済ませてから、飛行機に乗り込むという
算段になる。

 関係の方々へのお知らせ
 本日夕方から、27日(水曜日)夕刻まで、
San Diegoへいきます。
 この間、メールは読めると思いますが、いつも
より返事が遅くなるかもしれません。

10月 23, 2004 at 04:39 午前 |

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