« 文學界 脳のなかの文学 連載 | トップページ | 先見清談 »

2004/10/07

印象派に魂をつかまれる!

パリ研究所公開で、リサーチャーたちと徹底討論した。
 特にOlivier Coenen率いる脳グループとは
4時間ぶっ続けでノン・ストップ議論。

 Olivierの興味は小脳の運動制御の計算理論で、
東京の研究所の我々のグループとは随分志向性が
違う。徹底討論のおかげで、彼らが何をやろうとして
いるのか、だいたいつかめた。

 夜の会食まで時間があるので、オルセー美術館に
行くことにした。
 パリには10回以上来ていると思うが、なぜか
オルセーには入ったことがなかった。
 入ろうとすると、閉館していたりして、チャンスが
私を訪れなかった。

 今回は入れた。
 そしたら、5階の印象派の絵にすっかりノックアウト
されちまった!
 あまりにもすごい絵が多すぎて、魂がワーワー
と言っている間に酸欠になって呼吸が苦しくなった。

 ゴッホの一連の絵が一番苦しかったけど、モネや
ルノアール、セザンヌ、ドガ、ゴーギャンと皆
苦しかった。
 絵の前に立って受ける
 印象があまりにも美しく、生々しく、ちょうど
新鮮なイワシの肉の上に見える虹色の脂肪の層の
ようでもあり、魂をぐっと掴んで、ぐるぐる回される
ようで、とてもじゃないけど長くみていられないので
早々に退散した。

 今、こうやって振り返ってみると、もう少し
長くいれば良かったと思う。

 今月号の新潮社の「波」に布施英利さんが
「脳と仮想」の書評を書いて下さっており、その
中でセザンヌのリンゴが宿題として出されていたのだが、
セザンヌのリンゴもちゃんと見た。
 正視に耐えないほど凄かった。
 布施さん、今度芸大でお話しましょう。

 「ふん、印象派なんて!」とバカにしていた過去の
私がいたことは素直に謝るから、
 どうか私の生涯で何回もオルセーの絵が見られる
ような、そんな人生にしてください、神様!

 それで、パリも前から好きなことは好きだったが、
さらに輪をかけて好きになってしまった。
 あっ、そうか、と腑に落ちた。
 本当の美しさというのは、一人称で生きる中で
こみ上げてくる美しさのことなんだな、と思った。
 パリの人の生きる美意識というのは素晴らしい。

 池上高志もパリを大変愛する男で、昔よく一緒に
アパルトマンを借りよう、などと言っていたが、
金ができたらマジでやるかもしれない。

 パリ研究所の脳グループがせっかくあるんだから、
1−2週間滞在して、オルセーに通い、懸案のqualiaの
英語本を書くという作業に没頭する日々があっても
いいのではないか。
 そうだ、美と真理に身を捧げよう。

 もうダメだ、魂が印象派になってしまって、もう
戻れない。

10月 7, 2004 at 12:37 午後 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 印象派に魂をつかまれる!:

コメント

私も印象派は子供の頃は大好きで、その後はバカにして、オルセーは避けてポンピドーセンターとかに行ってました。
オルセーはやっぱり行くべきか。

投稿: なさ あすかい | 2004/10/07 21:10:28

コメントを書く