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2004/10/30

Isn't it what you are paid for?

家の近くに八百屋さんがあって、時々
買いにいく。
 おじさんがおしゃべりな人で、いろいろな
ことを教えてくれる。

 この時期はきゃべつはどこから入って
くるとか、
 梨は今まではどこから来ていたけど、
これからはどこから来るとか、
 こういう寒い日には、何となくみんな
値段が高くてもネギを買っていくものだから、
 多めに仕入れていくとか。
 素人にはとても想像できないような、
細やかな配慮がそこにある。
 
 しばらく前、丸谷才一が「中央公論」
誌上で、堀江敏幸の「雪沼とその周辺」に
対する谷崎賞の選評でも書いていたことだが、
まさに職業が人をつくる。

 小さな子供だったときは、味のないこんにゃく
のような存在だった人が、ある職業について
長い時間を過ごしている間に、次第に味が染まって
いって、
 やがてはっきりとした形をとるようになる。

 そして、気がつくと、間違いなくその職業
特有のキャラクター、においのようなものを
漂わせるようになる。
 そこに人生の喜びもあるし、哀しみもある。

 漱石や小津はこのような問題に
敏感だったなあ、と、博多に飛ぶ飛行機の中で
漱石の『趣味の遺伝』を読みながら改めて思った。

 漱石を評価しない人がときどき
(文学のプロの中でも)いるが
そういう人は、上のような
人生の哀しみに鈍感な部分があるのかもしれない
と思う。
 
 八百屋さんやパイロット、学校の先生の
職業人生がその人のあり方に影響を与える
というのは見やすいが、問題は、普遍的な
価値に仕えていると自分でも他人でも思っている
人たちである。

 学問や芸術に携わっている人たち、具体的に
言えば、大学の先生や、作家、アーティスト、
評論家、キュレーターのような人たちだって、
それは一個の職業なのであって、その職業が
人となりをつくるという点においては、八百屋
やパイロットとかわるところはない。

 金をもらわないで、あくまで趣味でやっている
んだったら、大したものだ。
 しかし、金をもらってそれで生活しているん
だったら、
 だんだんそのことが得意になってきて、
自分の人格と一致するようになっても、
 そんなことは当たり前じゃないか。

 私も、時々「先生」と言われることがある。
 昔はいちいち「先生と言われるほどのバカでなし」
と抗議していたが、
 最近は、単に職業のことを言っているんだから、
まあいいや、と思うようになってきた。

 さて、本題は、大学の先生、文学者、
アーティストの中に、「一般の人々」を
馬鹿にする人たちが時々いるということである。
 表立って馬鹿にしなくても、潜在意識の中で、
自分たちは高級なことをやっている、という優越感を
持っている人たちは多い。

 そいつらにオレは言ってやりたい。

 Isn't it what you are paid for?

 ボランティアでやっているんなら、大したものだ。
 金もらって生活のためにやっているんなら、
それが得意になっても、
当たり前だろう。がたがた言うな。
 
 さて、
 博多空港で代理店の兼本さん、プロデゥーサー
の下本地さんと会い、
 車で「ひびきの」に移動。
 ホールの設備をチェックし、
 簡単な打ち合わせをした。

 八幡と黒崎の間のあたりにある、
 ふぐの店に行った。
 うまかった。

 ちょうど、Bridge the Gapという会議の時に、
Luc Steelsや池上高志らと来た店のあたりで、
「ああ、ここか!」と懐かしかった。

 今日の講演会は10時30分から、
ひびきの 会議場メインホールにて。
 来場予約者リストを見ると、年齢もばらばらで、
とても学生だけが来る、という雰囲気ではない。

 脳について考えたり、脳じゃなくても、
学問をすることを生業(なりわい)と
しているのではない人たちの心へ
届くような話をするように心がけたいと思う。

http://www.ksrp.or.jp/hibikinosai/

10月 30, 2004 at 06:51 午前 |

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受信: 2009/07/21 3:30:55

コメント

知らず知らずに その道   脇道が本道 だったり

2004年 ひびきの   知らなかった 

               十余分で行けたのに

@ あたりまえだろ がたがたいうな  そんな クオリア 2004年


投稿: | 2006/10/05 8:37:13

「先生と言われるほどのバカでなし」
これ、弁護士にぴったり当てはまります。
彼らは弁護士同士で「先生」と呼び合い、初めて聞いた時は気持ち悪かった。お金もらってで雇われたくせに依頼人のことを厚顔にも馬鹿にした発言態度、依頼人に委任案件について電話してきて「電話代がかかっているんだから手短に話せ」など、アホか、と思いました。極めつけは、裁判の席上で、裁判官におだてられて、依頼人に不利な方向に説得かけてくる。お金払わせて依頼人に不利な裁判運用するなど、気が狂っているとしか思えなかった。弁護士なんて、お金もらって喧嘩する商売に過ぎないのに。「先生と言われているからバカになる」

投稿: | 2006/10/04 23:34:30

>間違いなくその職業特有のキャラクター、においのようなものを漂わせるようになる。

週末、大学のサークル仲間で旅行し、遠慮無しに喋る中、
「人は、何歳ぐらいになったら、その人の職業や人となり
 が顔に滲むようになるのか」
という話題で盛り上がりました。
ほぼ共通したのは、
いわゆる未成年のうちは、
親から受け継いだ外見で判断されることが多い
ということでした。

人間は何かの時期を境に、
相手の顔の造作だけではなく、
相手の表情や雰囲気で
美醜を判断できるようになるのではないかと。

その境は、どこにあるのだろうか――と話し込みました。
「結婚が高齢化したのは、人となりを見て相手を判断する
 という、人間が本能だけの生物から脱却した証ではないか」
という意見もありました。

…まだ結論は出ていません。

前フリのところについて書いてしまってスミマセン。
ちょうど自分が考えていたことだったので反応しました。

投稿: | 2004/11/01 14:29:04

多重投稿、お許しを。
削除方法はないのでしょうか?

投稿: | 2004/10/30 11:11:20

"Isn't it what you are paid for?"
(お恥ずかしながら、うんうん考えて)
”それでメシくっているんじゃねえの?”という
訳(拙者の理解として)を得たのですが、
ズレてますでしょうか?
----
最近、韓国ドラマがブームのようですが、
ドラマ内容はともかく、感心する(というか
拙者一人誤解、見間違いしているだけかも
しれませんが)のは、韓国の俳優さんたちには
まさに「What they are paid for」をきちんと
知っている故の「品」があるということです。
(あ、またエラソーなことを書いてしまった。
 カチンときた方、おゆるしを。:-)
----
NHK(オタンコナス)ニュースで女性アナウンサーが
トップ男性俳優にむかって「役の人物になって
なにか一言」といつものようにニヤつきながら
ミーハー甘言をむけたところ、その俳優さんは
ピシャリ、「これはニュース番組なので、そういうこと
をするの遠慮させてください」と一言!
あ、負けた! と思いましたねー。プロ野球も死んだけど、
次は芸能界じゃないの、ウカウカしていると。。
なんて。。。
長文、失礼しました。

投稿: | 2004/10/30 11:08:31

"Isn't it what you are paid for?"
(お恥ずかしながら、うんうん考えて)
”それでメシくっているんじゃねえの?”という
訳(拙者の理解として)を得たのですが、
ズレてますでしょうか?
----
最近、韓国ドラマがブームのようですが、
ドラマ内容はともかく、感心する(というか
拙者一人誤解、見間違いしているだけかも
しれませんが)のは、韓国の俳優さんたちには
まさに「What they are paid for」をきちんと
知っている故の「品」があるということです。
(あ、またエラソーなことを書いてしまった。
 カチンときた方、おゆるしを。:-)
----
NHK(オタンコナス)ニュースで女性アナウンサーが
トップ男性俳優にむかって「役の人物になって
なにか一言」といつものようにニヤつきながら
ミーハー甘言をむけたところ、その俳優さんは
ピシャリ、「これはニュース番組なので、そういうこと
をするの遠慮させてください」と一言!
あ、負けた! と思いましたねー。プロ野球も死んだけど、
次は芸能界じゃないの、ウカウカしていると。。
なんて。。。
長文、失礼しました。

投稿: | 2004/10/30 11:07:52

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