アマゾンの担当者から「削除した」
と過去形で書かれたメールが来てから、
実際に「れ」が消えるまで数時間かかった。
しかも、まだ「一つ星」は残っている。
できの悪い人工知能を相手にしているようで、本気で
怒る気にもならない。
もっとも、ネット上で毒をはいている姿の見えない
MOBたちは、もともと不出来の人工知能のようでもある。
湯島の「岩手屋」で、『脳の中の小さな神々』を
企画、編集してくださった五十嵐茂さん、
有田芳生さんと飲む。

「岩手屋」にて有田芳生さん、五十嵐茂さん
有田さんのサイトは、
http://www.web-arita.com/。
イラストをクリックすると、日記が出ます。
有田芳生さんを最初に見たのは、もちろんテレビ
の中だが、私が以前住んでいた街に有田さんも
いらしたので、時々実物も見かけていた。
池袋の「西むら」という店で、カウンターに
座っているのをお見かけしたこともある。
しかし、ちゃんとお話したのは初めてだった。
昔、ファミコンの麻雀ゲームのキャラクターに
似た顔の男があり、勝手に「有田さん、早く
打ってください」とか、「有田さん、それロン!
です」
などと頭の中でコメントしていたことがある。
随分前のような気がするが、オウム騒動は
1997年だ。
もちろん、麻雀ゲームのことを有田さんに言ったり
はしない。
有田さんも五十嵐さんも、私よりも少し早く
人生という軌道を疾走していたわけで、見える風景
が少し違うようである。
「マッハ主義」一つとっても、それが親の
敵でござる、と言われていた時代の精神を
私は知らない。
だからこそ、御両名とお話させていただくと、この
若造も勉強になる。
若造、オヤジは文脈で決まることだ。
インテリが堕落したのが現代だが、
有田、五十嵐両名は健在である。
マーケットという暴力の中で、御両人に、ぜひとも
知の暴れん坊将軍であり続けてほしいと願う。
ワイドショーは、トークのところよりも
ビデオの方が分刻みの視聴率が高いのが通例だが、
有田さん出演の「ザ・ワイド」は逆の傾向がある由。
有田さんは、今、テレサ・テンの生涯についての
本を書かれているとのこと。「歌屋 都はるみ」は
名著である。カラオケではるみ節を歌いこそはしないが、
有田さんの本を読むと、都はるみが希代の歌手である
ことはシミジミとわかる。
テレサ・テンの本は、文脈をアジア、とりわけ
中国をとりまく国際政治の問題に移して、希代の歌姫
の生涯を描くことになるらしい。
執筆がうまくいきますように。
などと、マジメで建設的な話ばかりをしていたわけでは
もちろんなく、五十嵐さんにとっての「髪の毛の
長い女」の法則や、私にとっての「原節子の目は
ダイヤモンドの輝き」、有田さんにとっての、「男
心の未練でしょう」問題など、話題は多岐に渡って
まるで京の五条の橋の上、牛若丸のごときだったが、
全ては岩手屋のうまい酒の中に露と消え、後には
あの中秋の名月の夜は楽しかった、と
いうぬるぬると暖かい感情の記憶
だけが残ったのであった。
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