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2010年2月 2日 (火)

ディレクター魂

 荒川格さんは、宮崎駿さんに対して、自らカメラを持って取材を試みるという大胆な手に打って出た。その結果、忘れがたき傑作が出来上がったことは、番組を見た人が皆知るところである。

 荒川さんは、細身で、ひょうひょうとしていて、一体その体のどこに、情熱とエネルギーが潜んでいるのかと、驚嘆する。

 ちょうど、自らカメラを回して、ドキュメンタリー作品を創り上げるアメリカのマイケル・ムーア監督に通じるというので、私は密かに「マイケル荒川」と呼んでいる。

 「やあ、マイケル」と声をかけると、この頃は振り返ってくれるようになった。

 荒川さんが撮影した宮崎駿さんの制作過程のドキュメンタリーには、いくつか忘れられないシーンがある。構想中の宮崎さんを取材中、怒られて、お前はもういい、と言われ、それでもカメラを床の上に置いて撮影した場面。

 宮崎さんが、ベランダで、夕日を見るシーンでの、一連のシークエンス。

 有吉伸人さんが、「あいつは勘が良いんですよ。」と言う、荒川さんのセンスと反射神経が現れていた。

 その荒川さんと、お昼を食べていた時のこと。話題が、最近プロフェッショナル班に入ってきた三上紘司さんのことになった。三上さんが、「今まで通りのドキュメンタリーを撮っても意味がないですからね!」と荒川さんに叫んだと聞いた。

 「あいつは凄いですよ。夜、一人で編集室でラッシュを見て、それをすべて文字起こししているんですが、普通、翌日もロケを控えているのに、あそこまではやらないですからねえ。」

 ディレクター魂があって、その思いが人から人へと受け継がれている。出来上がった番組を見ている視聴者にも、その気迫は必ず伝わっているものと信じるし、また、その舞台裏をほんの少しのぞいた観察者としては、伝わってほしいと心から願う。



ディレクター魂。三上紘司さん(左端)とマイケル荒川(右端)

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コメント

茂木健一郎さま

おはようございます。

今朝、雪のサクサク感を二本の足で、しっかりとあじわいながら

雪についた足跡はとけて、いつしか水になり、どこへと旅する
のでしょうか?

一枚の写真の中に、語られているプロフェッショナ仕事の流儀に
かかわる方々の、熱い思いとなごやな風意気を感じさせていただき
ました。

仕事の仲間でできる、ひとつの大きな輪は、とても大事と感じます。
仕事を通して、こころが同じ方向をもってこそ、視聴者に伝わっていく
感動のある番組が出来上がっていくのですね!

投稿: 蓮華 | 2010年2月 2日 (火) 09時44分

あの番組は、再放送も見ましたので、よく覚えています
あの荒川さんですね、マリッジリング紛失事件の^^

お写真の風貌からは想像できかねる、真摯でエネルギッシュな方なのですね、

私もこれからは、ドラマの中に入り込んで、その気になって見せていただこうとおもいました

気持ちだけでも、画面の中に、通行人役で登場したいです

そうすると、すれ違う登場人物ともっと親しくなれるかもしれませんものね、龍馬さんとも会えるし^^

荒川さんに、あっち行けって言われるでしょうね・・
それとも、意外とズームアップされた通りがかりの猫だったりして・・^^  
猫もその時代生きていた・・なんて
             reiko.G

投稿: reiko.G | 2010年2月 2日 (火) 12時57分

こんばんは 茂木サン 。
マイケル荒川さんや 三上さんの粘りの映像に 出演者の素顔が見えるのだと思います。

仕事で気がつくと 夜も深まっている事があります。 夕焼けの美しさを忘れていました。
宮崎 さんのどんなに詰まっても 夕焼けの空に感動できるゆとりか゛
大切ですね。

投稿: サラリン | 2010年2月 2日 (火) 23時40分

いつも楽しく拝見しています。
牛田さんの回、見ました。
茂木先生がちょっと元気なさそうに見えたのでちょっと心配です。
牛田さんの『紙破り』の擬音、自分も習得してます。
瞬発的に息を吸ってその風を歯にあてるとできますよ。

文字起こし、挑戦したことがあるんですが、会話を起こすのって大変で、んもう!ってなります。
ならない?あたりがプロフェッショナルですよね~。
でも、ゆっくり話を聞くと、その人の会話の気持ちのボールが内角だったとか、外角だったとか、取り損ねたとか、手に取るように見えたりして面白かったりします。
映像にしても長ーい時間の中から切ったり貼ったりするのって、すごいですよね~。

投稿: にしほり | 2010年2月 2日 (火) 23時43分

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