« 一塁回ってとっとこと | トップページ | 夏の夜、ふらりと入った食堂で »

2010年2月10日 (水)

場合によっては何千万人という人が見るメディア

 テレビとは、一体どのようなメディアなのだろうか? 

 現在のテレビについて、とりわけ地上波テレビについて、その内容が俗であるとか、レベルが低いとか、いろいろな批判が言われることがある。私自身も、そのような印象をテレビに対して持っていて、実際にあまり見ていなかった。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』にかかわるようになって、そのような感覚が一変した。制作現場の実際に触れて、単純な批判は生産的ではないと感じるようになったのである。

 長く低迷する日本。一つの根本的な問題は、当事者意識の欠如ではないか。批判をすることは簡単にできる。問題は、現場の当事者になった時に、どんなことができるかということだろう。

 それぞれの人が現場を持っている。現実の制約の中で、一日の限られた時間を使って、一生懸命仕事をしている。その結果生み出されるものについて、常に自己反省を続けることは大切である。その一方で、そう簡単には物事が動かないことも事実である。 

 そもそも、テレビは、一度に何百万人、場合によっては何千万人という人が見るメディアである。そのことによる制約は、当然存在する。たとえそれがどんなに大切な問題だとしても、それに関心を持つ人が母数としてある程度存在しなければ、テレビ番組として成り立たない。

 例えば、私のライフワークである心と脳の関係についての技術的な問題のある側面について、関心を持ち、知識を備え、すぐに議論ができる人は、日本にはおそらく数千人くらいしかいない。だから、そのような問題に対するテレビ番組は成立しない。

 「脳科学的には」という問いに対して、私がテレビ番組で語るべきことは、心脳問題に関する技術的な議論ではなく、世間の多くの人たちの生きる上での関心に資することでなければならない。そのことは、かなり初期からわかっていた。結果として話すことができる内容が限られてしまったとしても、それは、テレビというメディアの性質から考えて、仕方がないことのように思われた。

|

« 一塁回ってとっとこと | トップページ | 夏の夜、ふらりと入った食堂で »

コメント

   
   「心と脳の関係」

    不可思議について

    解明できたらと

    楽しみに致しております

投稿: 岡島妙英 | 2010年2月10日 (水) 09時53分

茂木健一郎さま おはようございます今日、見上げる空は、どんよりとした曇り空です。現在の日本全体を覆ってしまっているこころの雲のようなお天気です。こんな日は、やはり太陽の光の明るさに、あらためて感謝を感じます。茂木先生は、メディアを通して、いつも私達に大切な心のこもった一言を発せられていると感じております。脳科学者の視線での人間としての正しい生き方をメッセージしてくださっています。これからも、貴重な茂木先生のお言葉を、耳を澄ませて聞き入れて、生活にいかして行ければと考えております。

投稿: とう華 | 2010年2月10日 (水) 09時57分

昨日と打って変った空模様です
お疲れでしょうに、情報を掲載して下さり興味深く読んでいます、
人間っていったい何なんでしょう・・
意識とは一体何だろう、心とは・・脳とは・・
多少はあっても、誰しもが興味を持っているテーマのはずです

研究にいたる科学者に限らず、一般人の興味の中心が、脳とは・・という、漠然とした推理の様な世界にはまっていくのは仕方がないですね
何んで~ 如何して~ 不思議~^^
すべての人間がが持っている脳と心のかかわりの妙味

先生のご登場は、コンサートで指揮者がタクトを挙げたときの瞬間の、あのなんともいえないわくわく感に近いと思えます


科学者研究者としての面と、多くの人々の生きる上での関心に資する・・ということでの、内容の表現の限界はあっても、脳と心科学的な視点に立とうとして改めて事象に向かっていくことは、これまでにはあまりなかった減少なので、制約の中から、見えてこない何かを、多少でも感じるようになったことは、私たち日本人にとって、画期的なことではないかと思われます、

感情的でなく、理性的に脳の働きを推理して追っていくという作業は、自分を見つめなおす入り口の開き方にも大きくかかわっていき、知と情のバランス感覚において、とてもすっきりとし、このような事象への対処や特に感情分野への自己分析には、画期的な提示だったと思えます

いまだに占いや迷信のはびこる人間世界、
そろそろすっきりとした、脳への向き合い方がほしかったおりでした、茂木先生の、脳科学的考えや行動が、社会への良き貢献となりますように、心から期待し願っています

占いはロマンではなく本当のロマンは科学するところから生じると思っています

科学者に、もっと豊かな支援をと、国家に向けてさけびたいです、
人生の生きる喜びの一つは、未知との遭遇ですものね^^
未知の世界へ踏み込んでいく皆様の勇気に拍手です!^^

           reiko.G


投稿: reiko.G | 2010年2月10日 (水) 10時18分

プロフェッショナル大好きです。茂木さんの脳科学のお話も、制約があろうと、ほんの一部だろうと、私にはすごく心に残るお話です。
毎回必ず見れるわけではないですが、見ると明日も頑張ろうとか 自分に活かそう!と前向きな力が湧いてくる気がします。心に刻みたい言葉があります、そういう時は紙に書いて部屋にはっています☆
これからも勉強させていただきます!

投稿: 頭が悪く心の弱い27歳 | 2010年2月10日 (水) 21時14分

こんばんは 茂木サン 。TV製作スタッフの皆さんの時間的制約と、より良い内容を作り出すため、
惜しみないご努力の上に番組が完成する事を知りました。

知恵を絞り、個々の分担した仕事をこなし、チームワークでまとめ上げる。

昨夜のプロフェッショナルを皆さんで、ご覧になった様子が
ブログにて知り、アットホームな雰囲気が伝わりました。
これからも 番組楽しみにしています。


TVに期待したい事を 書かせて貰うと、視聴率という課題を少し解き放って
多種多様な番組が 幾つかの割合でも 放送出来るようになって欲しい。
瞬間的な楽しさに固執し過ぎず、日本の文化的な関心や 古き また新しき事や 人に目を向けた番組が もっと増えてほしい。
家族や 学校、友人、周りの人達 そして、テレビ番組の影響もあるならば、「人づくり」と思い大事にしてほしい。そんな中、茂木サンは可能性を広げて頂いています。感謝。

投稿: サラリン | 2010年2月11日 (木) 00時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 場合によっては何千万人という人が見るメディア:

« 一塁回ってとっとこと | トップページ | 夏の夜、ふらりと入った食堂で »