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2010年2月13日 (土)

床屋にいる時というのは、不思議なことに人間はリラックスするもので

『プロフェッショナル 仕事の流儀』のスタッフたちは、皆、ドキュメンタリー作りにかかわっている。

ドキュメンタリーとは何か。どのようにそれを撮るか。番組作りにかかわっていく中で、いろいろな話を聞く機会があった。

ドキュメンタリーの奥は深く、さまざまなノウハウがあり、制作哲学がある。私は、現時点では、その奥深い世界のごく一部分しかのぞき込んでいないのだと思う。

有吉伸人さんには、いろいろな話を聞いた。それらの話は、一つの叡智の体系として、私の中に刻み込まれている。

たとえば、ドキュメンタリーを撮っている最中に、取材対象者が髪の毛を切ってしまうと、うまく映像
がつながらないことがあるのだという。だから、撮影の初日に、床屋に行ってもらうという手法があるのだと有吉さんに聞いた。

「初日に床屋に行って髪の毛を切ってもらえば、その後、取材期間中は髪の毛の長さが基本的に変わらないですから、いいんですよ」と有吉さんは言った。

「それに、取材の最初の方は、どうしても緊張しているから、ぎこちなくなってしまうんです。ところが、床屋にいる時というのは、不思議なことに人間はリラックスするもので、案外打ち解けたインタビューがとれたりするんですよ。それに、絵的にも面白いし。」

なるほどと思った。どんな分野も、たくさんの小さな知恵からできあがっているものである。

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コメント

こんばんは 茂木サン 。有吉サンのドキュメンタリー制作の哲学 は 納得ですね。

時系列も繋がり、
出演者方も 洗髪の気持ちよさで リラックスし、 髪切り いざ収録。
髪を切る という 行為に、日本人として 何か特別な 決意のような気持ちを抱かせるようです。
私も 昨日 髪を切り、いざ前へ! と思っております。

投稿: サラリン | 2010年2月14日 (日) 07時06分

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