V字型テーブル
V字テーブルは、見た目がスタイリッシュだというだけではない。ゲストとじっくりと対話するには、とても適した作りになっていた。テレビのスタジオによくあるように、ゲストと司会者がひな壇に座ったように横に並ぶ形では、どうしても親近感や密度に欠ける。V字テーブルで、私と住吉美紀さん、それにゲストが向い合うかたちだからこそ、話が深く潜っていくことができたのではないかと思う。
小さなことのようだが、V字型テーブルは、いわゆる「カンペ」というものをフロア・ディレクターの山口佐知子さん(さっちん)が出す時にも好都合だった。僕から見ると、ちょうど、ゲストの右横あたりにカンペが出るような形になる。ゲストと話していても、ちょうどゲストの方を見る形になるので、カンペが出ているとばれにくい。これが、ゲストと横並びに座るかたちだと、正面からカンペが出ていることが歴然としてしまって、いろいろ不都合が生じていたろう。とりわけ、『プロフェッショナル 仕事の流儀』のように、段取り的な発言ではなく、ゲストの人生や仕事の哲学に入り込んだ質問を交わさなければならない番組においては大切なことである。
スタジオ・セットというものが、放送上どのように見えるかという美術効果の観点からだけでなく、出演者がどのような気分になり、どのような話をするかという内面にまでかかわる。そんなことを、山口高志さんのディレクション、そうして有吉伸人さんの番組作りから教えていただいたように思う。
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コメント
なるほど、やはり勝利のV
投稿: 木村陽介 | 2010年1月 8日 (金) 20時58分
今夜の記事を読みながらふと,もう一つのプロフェッショナルな番組を想像しました・・
先日来、感じていたことは・・
もう一つのプロフェッショナルでは?
プロフェッショナル、仕事の流儀のプロたちの番組ではないのかしら・・・っと、
皆さんの言葉の一つずつ、態度の一つずつが、プロの輝きを静かに伝えている気がします・・・
私が感じているだけでしょうか・・・・
V字型テーブルの深い意味に、
人が人と向かい合う深い意味が隠されているようで、
いろんな思いがよぎります・・
reiko.G
投稿: R.グランマ | 2010年1月 8日 (金) 23時55分
あのV字型テーブルを見るたびに無限遠点を思い出します。
投稿: cyubaki3 | 2010年1月 9日 (土) 10時07分
かたち(形=固定観念、知識)だけでなく発想(創意、工夫、愛情)が人気番組を作っているのですね。Vには、形だけでなく発想もあったのですね。
私は高校で講師をしていますが、センター試験に象徴される今の教育はまるで知識という形だけの教育です。形式が厳し過ぎて、はみ出し者が目立つという皮肉にもなっているようで、、、。
投稿: ゆ~ | 2010年1月 9日 (土) 12時32分
こんばんは 茂木サン 。V字型のテーブルは、プロフェッショナルの出演者と 茂木サン すみきちサンの距離感が、
いいですね。出演者の視線を感じたり、 熱く語るお顔をあのアングルから
拝見出来るのは 仕事の流儀 ならではですね。
投稿: サラリン | 2010年1月10日 (日) 00時27分