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2010年1月19日 (火)

まるで勇気づけるかのようにゲストに歩み寄り

この最後のインタビューには、一つの技術的制約があった。番組の最後に流れる「プロフェッショナルとは?」という問いかけに対するゲストの発言は、主題歌であるkokuaの『Progress』のサビの部分の旋律に合わせて放送される。そのため、コメントが十数秒で収まらなければならない。

 一度でちょうどサビの部分で収まるようにコメントが発せられることもあったが、「一発OK」になることは、むしろ少なかった。ちょうど良い時間でコメントが収まるまで、繰り返し質問させていただくのである。

 ゲストの答を頂くと、私は笑顔でまず会釈してお礼の気持ちを表す。それから、何とはなしに、スタジオのフロアの隅の方にいるディレクターの方を見る。

 ディレクターは、イヤホンとインカムを通して、副調整室とやりとりをしている。副調整室では、たった今ゲストが話したことを、内容と、それからサビの部分に収まるかどうかを判断している。ある程度長さが前後するくらいならば微調整できるけれども、どうしても難しい場合は、「もう一度お話いただけませんか」という趣旨の指示がくる。

 ディレクターは、副調整室からの指示を受けて、V字テーブルのところに座っているゲストのところに歩み寄る。ゲストのすぐ横にひざまずくように近づいて、それから、ゲストを下から見上げながら、「もうしわけありません。今のお言葉で、内容はとても素晴らしかったのですが、音楽に合うようにしなければならないので、もう一度お話いただけませんか?」と頼む。 

 ずっと取材をしてきて、いわばゲストと「苦楽をともに」している。その番組作りも、いよいよ最後の詰めを迎えている。本番収録中は、フロア・ディレクターの山口佐知子さん(さっちん)は「光の柱」の近くにいてカンペを出したりしているけれども、VTR取材を重ねてきたPD(プログラム・ディレクター)は、スタジオの端の暗がりの方にいて、ゲストの方の受け答えを見守っていたり、副調整室と連絡をとっているので、その姿があまり見えない。

 いよいよ「プロフェッショナルとは」の収録の段になって、ディレクターが、まるで勇気づけるかのようにゲストに歩み寄り、「もう一度お願いします」と依頼している様子を見ていると、「ああ、いよいよ収録も終わりなんだな」との感慨が込み上げて来るのだった。

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コメント

茂木健一郎さま おはようございます。朝の空気を吸いながら、初空を肌で感じて、春の小さな目覚めに微笑んでいます。一瞬一秒に存在する季節に、生きている今を大切にしたいと。伝えていきた言葉を大切にする事で、画面を通して受け取る言葉の意味を心に忘れずに刻んでいきたいと思います。

投稿: とう華 | 2010年1月19日 (火) 08時30分

何日か分のプロフェッショナル日記を読んでいて,涙がこみ上げてきました.
茂木さんの番組に対する思いが伝わってきました.
この番組を愛おしく思っていることが伝わってきました.

投稿: | 2010年1月19日 (火) 12時58分

いつもプロフェッショナル楽しみく見させて頂いてます。 

仕事柄、ヘアメイクアップアーティストの回は録画し何度も観させて頂いております。 

脳科学の視点からそれぞれの仕事を独自の観点で分析されて楽しみです。 

またこちらも見させて頂いてます。

投稿: 河合陽一郎 | 2010年1月19日 (火) 14時07分

こんにちは 茂木サン 。画面に登場する茂木サンや すみきちサン、 さっちんサンや PDサン他 たくさんのスタッフのお力で

番組は 成り立っているのですね。

可能な限り スタッフ皆様を ご紹介したい と思っていらっしゃる茂木サン

今夜の番組を 楽しませて頂きます。

投稿: サラリン | 2010年1月19日 (火) 15時14分

茂木サン、間違いに気づきました。

主題歌は kokua サンが 歌っていたのですね(汗)。
声が似ているので、作詞作曲の スガ サン と思い込み。スミマセン・・。

投稿: サラリン | 2010年1月19日 (火) 23時30分

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