仕事というものの重み
私は、小学校の時、「放送委員会」に所属していたことがあった。スタジオでカメラマンをやっていたのである。志願した。カメラを使うことに、とても興味があったのである。
私が通っていた小学校は、放送について特定の指定を受けていたらしい。機材が充実していた。専用のスタジオがあり、床に据え置く大きなカメラがあった。白黒だったけれども、モニターがついていて、ズームするレバーも大きかった。
私の役割は、「クラス番組」の収録時にカメラマンをやることだった。一年に一回、学級が番組をつくる。自分たちでプログラムを工夫して、司会者がいて、コントをしたり、歌をうたったりする。その収録の現場に、私はカメラマンとしていた。
自分たちのクラスの収録をした時のことが忘れられない。カメラをかまえていたら、シマケイがみんなの列の中からすーっと出てきて、大げさなジェスチャーをして、それから、「えっ、オレ今テレビに映っているの?」と言った。カメラを構えていた私は、思わず吹き出してしまった。
だけど、とても大きなカメラだったから、画面が揺れることはなかった。
クラス番組は、昼の給食の時に、教室で皆で見ることになっていた。
収録からしばらくして、ぼくたちの番組が放送された。シマケイが「えっ、オレ今テレビに映っているの?」と言うシーンも流れた。皆で爆笑した。あんなに笑ったことは、小学校6年間でもそんなにあったわけではない。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』の収録の現場で、時折ふと、放送委員会の時のことを思い出す。カメラをついついじっくり見てしまう。カメラマンの方たちがどんな風に仕事をしているのか、大いに興味がある。
一度、今はNHK京都支局にいらっしゃる長田正道さんに、渋谷の局内にある喫茶店「マルコア」でカメラの話をうかがったことがあった。その時長田さんが持っているカメラを持たせていただいたが、ずしりと肩に重かった。
ああ、この重みは、仕事というものの重みだな、と思った。
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コメント
茂木サン、以前にちょっとした収録があり、カメラの重さはわかります。
男性に混じって 女性のカメラマンも見かけた事があります。
例え、かなりハードであっても 年齢や 性別に関係なく
黙々と仕事している皆さんは カッコいいです!
投稿: サラリン | 2010年1月 4日 (月) 06時53分