気持ちだけゆっくり言いましょうか。
ゲストの方にとっては、「プロフェッショナルとは」という問いに対して、Progressのサビの部分でぴったり収まるような形で答えるのは大変なことだったかもしれない。
私にとっても、似たような課題が与えられることがあった。回によっては、スタジオの最初の部分で、Progressの前奏部分でぴったりと収まるように住吉美紀さんとコメントを言わねばならないことがあったからである。
私は、もともと、自由にその場で即興を言うのは大変得意である。一方、台本があって、その通りに言うのはとても苦手としている。しかも、それをある限られた秒数の中で収めなければならないというと、ほとんど難行苦行の世界となる。
ディレクターやデスク、それにチーフプロデューサーの有吉伸人さんが、収録秒数を考えて書いて下さっている台本だから、そのまま自然に読めばちょうど秒数で収まるはずなのだが、それがなかなかうまく行かない。
「茂木健一郎です。」
「住吉美紀です。」
「プロフェッショナル仕事の流儀。今日のゲストは、○○で世界の最先端を行く、○○さんです。茂木さん、○○と言えば、茂木さんもとても関心があるんですよね。」
「そうなんです。やはり、人類の未来を考える上で、欠かすことのできない課題がそこあると思うんですよね。」
などとやりとりをして、ちょうど34秒くらい。0.5秒くらいは音楽で調整できるにせよ、あまりにずれると編集しようがなくてやり直しになる。
決まったせりふを言うことでさえプレッシャーがかかるのに、山口佐知子さん(さっちん)がストップウォッチを持って時間を計っている。それが、ずっと見えている。
最後のせりふを言い終わると、さっちんがストップウォッチを止める。
「ああ、惜しい。35秒!」
「じゃあ、もう少しだけ速く言いましょうか。」
「うーん、32秒。」
「気持ちだけゆっくり言いましょうか。」
とそんなことをくりかえしているうちに、ようやくOKとなる。
せりふのスピードだけではない。私がしばしばやった失敗は、目線に関すること。ここでこのカメラを見ながら喋ってください、という指示を忘れてしまったり、目を余計なところに走らせてしまったりする。
その点、住吉美紀さんはさすがにプロフェッショナルで、カメラがどのタイミングでどれに切り替わるかということが完全に把握できていて、横に立っていても感心することしきりだった。
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コメント
茂木健一郎さま ☆気持ちだけゆっくり言いましょうか。とっても感動的なお言葉ですね!向き合った相手に、気持ちだけゆっくり伝えれば、絶対にこちらの思いは伝わるのですね!今日は、心にあたたかく響く言葉に出会えて、朝から気持ちがよい日です。ありがとうございます
m(_ _)m
投稿: とう華 | 2010年1月21日 (木) 09時32分
ふと思ったんですが、
スーパーコンピューターと
全人類の脳が対決したら
どちらが勝ちますか?
ぼくは全人類に勝って欲しいですが・・・
全人類と言わずに、ひとりの人間でさえスーパーコンピューターに
勝てるくらいに人間の脳には可能性があってほしいです(^。^/)
投稿: 高校生 | 2010年1月21日 (木) 23時21分
こんばんは 茂木サン 。なんとか午前様にならず、強風の中帰って来れました(ふー)
セリフの秒単位は大変ですね。
緊張したり、早く言わなければと 焦ります。
感覚? 間隔? の経験値を 身体で身に付けるしかないのでしょうね。
視線は、考え中に飛びますね。ゆったりと構えて受け止めるしかないかと思います。
アナウンサーのすみきちサン と違い、そこが 脳科学者 茂木サンらしさ として 良いのではないかと 私は思います。
投稿: サラリン | 2010年1月22日 (金) 00時02分
今度は隠れて計りますね~
わっ! さってぃんだ! いつもお世話になっています。茂木健一郎
投稿: さってぃん | 2010年1月22日 (金) 14時01分