« 2009年9月 | トップページ | 2010年1月 »

2009年12月31日 (木)

打ち合わせの段階では、ナレーションというものは

『プロフェッショナル』の班の人たちとは、4年間一緒に番組をつくってきて、もうすっかり「家族」のような関係になっている。
有吉伸人さん、細田美和子さん、それに小池耕自さんが訪ねていらした時のことは昨日のことのように覚えている。
早稲田大学近くの、リーガロイヤルホテルでお目にかかった。一時間くらいお話していて、最後に、細田さんが突然「茂木さん、番組の司会とかには興味はありませんか?」とおっしゃった。
「はい、興味がないことはないですけれども」と言うと、「ああ、そうですか。それじゃあ、さようなら」とみんなで帰っていった。
ずっと、そのように記憶していたのだが、実際には、私が授業があるというので、「失礼します」と帰っていったのは私の方だったらしい。
いずれにせよ、あの午後が、私と『プロフェッショナル』の皆さんとの長いお付き合いの始まりであった。
それまで、私は、テレビというと、科学番組くらいしか出演したことがなく、『プロフェッショナル』のような一般的な番組がどのようなものなのか、何の知識もなかった。番組がどのように作られるのか、そこには制作者側のどんな思いが込められているのか、全く知ることなく現場に飛び込んでいくことになるのである。
今でも忘れられないことがある。一番最初の星野佳路さんがゲストの回の収録の準備を、NHKの中にある編集室でやった時のこと。VTRが流れる中、ナレーションがへんなところから聞こえてくる。どうも、背中の方から聞こえてくる。おかしいな、と思って振り返ると、当時ディレクターをされていた河瀬大作さんが、台本を見ながら読み上げている。
有吉伸人さんが、時々「キュー」などとつぶやいている。
収録前の、打ち合わせの段階では、ナレーションというものは担当のディレクターが読み上げるものである。そんな暗黙知を、私は知らなかった。だから、背中の方から声が聞こえてきて、びっくりした。
そのようにして、いろいろなことを徐々に学んでいくことになるのだった。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2009年9月 | トップページ | 2010年1月 »