« 2008年4月 | トップページ | 2008年8月 »

2008年6月27日 (金)

失敗ばかりのスポーツだから

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
ヤクルト・スワローズの宮本慎也さんが
ゲストでいらっしゃる。

ヤクルト、オリンピックや
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)
の日本代表チームにおいて、
選手として攻守に卓越した技を見せる
だけでなく、
チームを率いる「キャプテン」と
して活躍されてきた宮本さん。

監督や、監督兼選手といった立場ではなく、
同じフィールドに立つプレイヤーとしての
立場でこそ言えることがあると宮本
さんは言う。

同僚のプレイヤーに何かアドヴァイスを
するということは、それだけ自分のプレイに
ついてもきちんとした形で示さなければならない
というプレッシャーを感じるということを
意味する。

そのことが、一選手としての
成長にもつながってきたと宮本さん。

各チームの不動のレギュラー選手が
集う日本代表チームは、純粋な
意味でのチームプレイが
発揮しやすいのだという。

ただ、チームのため、野球の喜びのために戦う。
目の前の、この一戦に勝つために努力する。
野球の原点に還る喜びが、国際試合の
現場にはあるという。

フィールドに立つ時、宮本さんは
ある一点に集中するのではなく、
ぼんやりと全体を眺めるという。
そうすることで、ある一つのことに
注意を向けるのではなく、
すべてのことにまんべんなく関心を向ける。
なにかが起これば、対応できるように
する。

宮本武蔵の『五輪書』に描かれている
ような境地を、宮本さんはスタジアムで
追い求めている。

野球の最大の喜びは何か、という問いに
対して、宮本さんは、
「野球はなかなか成功しない、失敗ばかりの
スポーツだから、うまく行った時に
とても大きな喜びを感じる」と
答えられた。

どんな素晴らしい打者でも
打率4割には達しない。
6割以上は、「失敗」だという
ことになる。

ホームラン打者でも、ホームランを
打つよりも、失敗の方が多い。

それだけ難しいプレイをしている
中で、思ったように決まった時、
言葉では表せないような喜びを
感じるのであろう。

野球というスポーツの奥深さを
かいま見たような思いがした。

宮本慎也さんが登場される
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の放送は、
2008年7月8日(火)放送予定です。

http://www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html

すみきち&スタッフブログ

| | コメント (3) | トラックバック (3)

2008年6月20日 (金)

涙の収録

がん看護の専門看護師の田村恵子さんが
ゲストでいらっしゃる。

現代の医学では、もはや手の施しようが
ないと診断された人々。

その残された日々を過ごすホスピスにおける
看護を担当するのが、田村恵子さんの
役割。

冒頭、患者さんたちが満開の桜の花を
楽しむシーンが出てくる。

生きることの本質とは、何なのだろう。

人間は誰でも限りある命なのだけれども、
私たちはそれを直視することなく
生きている。

担当したのは、座間味圭子ディレクター。

忙しいと、ずっと編集室にいて、
シャワーを浴びる暇もない。
ファブリーズを使うので、
「ファブリーズ座間味」と言われる
座間味さん。

その入魂のVTRは、打ち合わせの時から
住吉美紀さんや山口佐知子さんの
涙を誘っていた。


座間味圭子さん

収録の間、時折住吉美紀さんの
方を見ると、住吉さんの目が赤くなっている。

ゲストの田村さんも涙ぐんでいる。

「現場では一生懸命だからだいじょうぶだけど、
こうやって現場を離れて改めて見ると、
もうダメです。」
と田村さん。

プロフェッショナル史上記憶に残る
「涙の収録」となった。

どんな人でも、自分の命が限りあるという
認識から出発して、やがてその運命を
受け入れ、前向きに生きることが
できるようになると田村さん。

アメリカの研究では、
患者さんの不安は、診断が出る直前に
最大になるのだという。

足のつかない深みの中で
もがいていると苦しい。

底がここにあると覚悟が
決まってしまえば、
足を踏ん張り、立つことができる。

人間の命というものは、もともと、
限られたもの。

私たち現代人は、そのような「真実」
から目を逸らして生きている。

田村さんのお仕事のVTRを見ていて
あふれる涙は、悲しみの涙ではなく、
人が生きるということの「真実」
に触れた感動の涙なのであろう。

娘の結婚式を前に、残された日々が
限られていると診断された父。

結婚式まではとても持たないという
医学的な判断。

娘の花嫁姿をせめてひと目見たいという
父の願いを叶えるためには、
結婚式前に記念撮影をしなければならない。

しかし、そのことを告げることは、
本人に自分の病の深刻さを伝える
ことになってしまう。

家族たちはなかなか言い出すことができず、
田村さんが伝える。

何かを悟ったような父の表情。

「がんばりますわ」と一言もらす。

やがて、父親の病室のドアの前で、
花嫁衣装を整える娘の姿があった。

病院に附属しているチャペルで、
父と記念撮影をする。

その二日後、父は還らぬ人となった。


田村恵子さんが出演される
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
は、2008年6月24日(火)放送予定です。

http://www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html

すみきち&スタッフブログ

| | コメント (18) | トラックバック (7)

« 2008年4月 | トップページ | 2008年8月 »