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2007年12月24日 (月)

小野二郎さん

日曜日の収録となった
『プロフェッショナル 仕事の流儀』

今回のゲストは、日本屈指の寿司の名店で、
先日ミシュランのガイドで三つ星と
なった「すきやばし次郎」の
小野二郎さん。

トークが始まる前、
山口佐知子さん(さっちん)、
小寺さん(こでりん)、
有吉伸人さん(ありきち)、
柴田周平さん(しばきち)
さんが「プロフェッショナルの仕事道具」
を前にもろもろを検討し、
打ち合わせをする。

収録の前に、どのような角度から
撮影するかという「カメラ割」
などを詰めておく必要があるのである。

小野二郎さんのお仕事は
今や日本が世界に誇る「寿司」
という文化の中でも
とりわけての一つの精華である。

すきやばし次郎にうかがった時に、
そのお仕事の速さに驚いた。

「手当て」と呼ばれる準備は、
お客様の前で握る前にすでに
済んでいる。

いかにおいしい状態で食べて
いただくか。
そのためには速い方がいいと、
二郎さん。

二郎さんの手は、82歳という
月日の流れが感じられないほど
やわらかくて力強い。

「何しろ、26の時からずっと
握っていますからね」と二郎さん。

外出する時は手袋をして、
大切な手を保護する。

二郎さんは、7歳の時に
家庭の経済事情のため、住み込みの
奉公に出された。

「辛くはありませんでしたか?」
と伺うと、
「働くことは楽しかったです」
と二郎さん。

「とにかく、仕事をしなければ、
追い出されてしまう。追い出されたら
もう帰るところはない。だから、
働くしかありませんでした。」

時代は変わり、「自分に合う仕事」
「自分らしさを表現できる仕事」
を求める傾向が強いが、
「仕事というものは、本来、
自分の方が仕事に合わせるものだ」と
二郎さん。

日本料理の修業をしてから、お寿司をやろうと
思ったのも、お寿司は開店の準備に
道具類の負担が少ないから。

生きるための仕事、実際的な理由での
「寿司」の選択。
しかし、小野二郎さんは、すぐに
寿司の世界の奥深さに目覚めていった。

お客様の前で握る前に、いかに
多くの準備作業があるか。

魚は一つひとつ違う。
その美味しさを、どのように引き出す
ことができるか。

持ち前の「負けず嫌い」と「探求心」で
小野二郎さんはぐんぐんと腕を上げていく。

常に手を動かして、何かをやり続ける。
そんな人生。

現場で身体を動かしながら考える。
その姿勢に、終わりなき人間の
学びのプロセスの
一つの見事な典型を見る。

すきやばし次郎で使われている道具は、
多くが小野二郎さんの工夫した
「オリジナル」。

薬味入れは、店のかたちに合わせて
形づくられていて、台形をしている。

「やはり、きれいごとじゃないとね」
と二郎さん。

その言葉の通り、小野二郎さんの
お使いになる道具は、圧倒的に
美しい。

柾目をつかい、徹底的に掃除を
する。
磨き上げるため、すり減って、
ネタ箱などは2、3年で交換すると
いう。

すきやばし次郎に一歩踏み入れた
時の、りんと張り詰めたような
清々しい緊張感。

20年前、「寿司なんてボクでも握れる」
と言っていたジョエル・ロブションさんが
山本益博さんとともに
すきやばし次郎を訪れた。

ロブションさんは、一歩はいるなり、
「魚の匂いがしない」ことに
驚嘆したという。

カウンターに座り、二カンの握りを
口にしたロブションさんは、おもむろに、
「下だけでくれ」と
リクエスト。

にぎりの米だけを二度食べ、
その間、酢の加減や、ご飯の炊き具合、
温度などを精査していたようだという。

それから全ての
寿司を食べ終えた時には、
ロブションさんは寿司の奥深さに
目覚めていた。

ロブションさんと小野二郎さんの
生涯にわたるお互いを認め合う
ライバルであると同時に友人の
関係が始まった。

番組では、ミシュランの星の発表の
翌日、ロブションさんが店を
訪れた際の「真剣勝負」の様子を
とらえている。

ロブションさんに向き合う
小野二郎さんの、眼光鋭く、
それでいて無限にやさしい表情。

無限なる星空への入り口は、
至るところにある。

収録を終え、
住吉美紀さん、小野二郎さん、小野禎一さん、
柴田周平デスクと記念撮影をした。

「力強く、また、美しい言葉がたくさん聞けて、
背筋が伸びましたね。」

と有吉伸人さん。

浄化されたような思いで、スタジオを後に
した。

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コメント

常日頃の仕事が自分に合わないといっているうちは花で、その先に本当の仕事の意義があると教えられたような気がしました。
有難うございました。

投稿: 51 | 2007年12月24日 (月) 13時52分

自分の方が仕事にあわせる!以前、このことをNHKラジオ第一の「深夜便」で聴いたことがあり、ああ、私のやり方は間違っていなかったんだ!と感嘆したことがある。

なぜなら、私もいまの職業に就くときに、まさにそうやって今の仕事を選んだのだから。ちなみに自分の今の職業はオフィスビルの清掃です。職業に貴賤なしの精神で、毎日この仕事に従事しています。

小野二郎さんも、そうして寿司屋としてのキャリアを始めたのだと知って、心の底からうれしくなった。

放映をいまから楽しみにしています。

投稿: 銀鏡反応 | 2007年12月24日 (月) 16時42分

久しぶりにHPを読ませていただいたら、まだ一行スタイルのままだったので、こういうページにしているのも意味があるのかな?そのほうが面白いと茂木さんは思ってるのかな?なんてコメントの内容以外のことを考えていました。読みづらいと脳が活性化される・・・とか?それはさておき、やはりみなさん共感を覚えたのは、自分が仕事にあわせると言う言葉でしょうか。もちろん放送を見たら、もっといろんなことを感じると思いますが、真意を掴んだ言葉って本当に力があるなと思います。心に響いた流儀をみていても、本当にそうだと誰もが思える言葉はたぶん誰もが本当は知っているのじゃないかと。忘れているというか気付いていなかったのが誰かがいったその一言ではっと思い出すような・・・だからあぁそうだと思えるというかね。でもその一言は簡単には手に入らなくて・・・。そんなとりとめもないことを考えていたら、今日も夜が更けました。

投稿: まるめろ | 2007年12月29日 (土) 01時00分

小野二郎さんの回の放送を見ました。
あの年齢になっても好奇心、探究心を持ち続けてきらきらしている姿を拝見して、私も小野さんのように年を重ねていきたいと思いました。

投稿: かおる | 2008年1月 9日 (水) 00時03分

二郎さんのところに
3つ星獲得ですよ!!
その電話の瞬間に
おお泣きいたしました。

心に響く
言葉ばかりで
毎日与えられた仕事を
こつこつ真面目にやろうと
改心させられます。

茂木さん、スタッフの皆さん
小野さんの情報を流していただき
ありがとうございます!!

投稿: かなず | 2008年1月10日 (木) 00時07分

一番感銘を受けたのは、いくらやってもできなかった伝統ある握りを、練習を重ねる間に偶然やった動きが、現在の「二郎にぎり」につながったというくだりである。82歳の現在も「どうすればさらにおいしくなるのか」常に考え続けているという小野さんの生き方そのものが、「二郎にぎり」につながっているのだと知った。現状に満足することなく、おごることなくひたすら学び続けること、考え続けること、どんな職業にあっても大切なことを教えていただきました。ありがとうございました。

投稿: ぴょん吉 | 2008年1月10日 (木) 20時35分

NHK番組「プロフェッショナル」を見る。82歳のすし職人・小野二郎。信条は「無駄が極上を生む」。「その心は?」といえば、「自分は不器用だから」。7歳で丁稚奉公に出されて、「帰る所がない」ままの人生。
 「無駄」を「省く」のではなく、「省きようがない」のだろう。彼にとって「無駄は極上の母」。そのためには人の何倍も「握りつづける」他ない、というのだ。求道者なのである。「まだ<上>があるのではないか・・・」。本人は60歳のつもりだ。たしかに表情も歩きぶりも、60歳どころかもっと「若い」。
 かくいう私は数字のうえでさえ、あと20年生きて82歳。おおいに「無駄」ができる余裕があるはず・・・。「いつのまにか、現場にいなかった!」。「引退します」などという「宣言」をしないのである。引き際のコンセプトもいい。どこか「禅的」だが、彼はそんなことさえ、意識していないはずだ。職人に言葉はいらない?! まいりました。

投稿: 明王 | 2008年1月21日 (月) 01時52分

小野二郎さんの回の放送を見て、大変衝撃を受けました。私の人生に大きな影響を与えてもらったと思います。仕事中の姿はもちろん、一つ一つの質問に謙虚に誠実に答えていらっしゃる姿に、全てが現れている気がしました。

投稿: mi-yoshi | 2008年1月30日 (水) 12時27分

24日放送のバラ寿司のレシピ
書き取るのに追いつきませんでした
是非材料割合を教えてください

投稿: kuromama | 2008年9月23日 (火) 23時06分

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