その逸脱が
人間の「やる気」というものは、
「何気ない姿勢」の中に現れるものである。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
や『クローズアップ現代』
などを作成している「社会情報番組部」
での一こま。
山本隆之さん(タカさん)がやる気を
出している。
机に向かって仕事をしている
(左から)赤上さん、荒川さん、須藤さん。
奥に見える有吉さんに囲まれて、
立ったまま何かを食べている。
タカさんの「前傾姿勢」に感じられる
「やる気」については、以前「クオリア日記」
でも論じたことがある。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2006/10/post_59e4.html
ボクは、タカさんのこのような
「前傾姿勢」が好きである。
当編集部では、今後も、タカさんの
「前傾姿勢」を追い続けていきますゾ!
今週の収録のゲストは、盲導犬訓練士の
多和田悟さん。
もの言わぬ犬に、高度なテクニックを
教えるには、「犬語」を解する
必要があると多和田さん。
人間は、犬に向き合う時、ついつい
「がんばれ」とか「おとなしくしなさい」
といった「人間語」で理解し、働きかけ
ようとするけれども、
犬たちの固有の仕草、ふるまい、姿勢
を読み取れるようにならなければ、
心を通じ合うことも、立派な盲導犬を
育てることもできないと多和田さんは
考える。
多和田さんの犬の育成の基本姿勢は、
「ほめる」こと。
イギリスやオーストラリアでの経験が長い
多和田さんは、「グーッド!」
と声をかけながら、犬をほめる。
たとえ、してはいけないことを「ノー!」
と言って止める時にも、それは、必ず
最終的には「踏みとどまることができた」
をほめる「グーッド!」で終わらなければ
ならないと、多和田さんは言う。
最後に「グーッド!」と言って犬をほめる
ための段取りの一部として、「ノー!」
があるのが多和田流なのである。
「なぜ、そのような方法をとるのか?」
とお聞きすると、最終的には視覚障害の方の
quality of lifeのためであると多和田さんは
言う。
しかって命令に従わせていると、
しかる人の言うことしか聴かなくなる。
盲導犬は人生のパートナーである
はずなのに、言うことをきかせる
ためには始終しかっていなければならない
ことになって、
そのような精神状態が視覚障害者の方に
とっても良いはずがない。
人間にも通じる話であろう。
盲導犬訓練士は、犬と向き合う以上に、
人間を知る職業。
盲導犬訓練士の学校には、犬が
好きな人が来るが、
彼ら、彼女らは、仕事の半分以上が、
目の不自由な方からは世界がどのように
感じられるか、そのことを想像すること
であるということを学んで行くのだと
いう。
スタジオには盲導犬の「ナサ」君も
きた。
ハーネスをつけていると、ナサ君は
「盲導犬」モードでいるが、
ハーネスなしでは、普通の犬に戻る。
多和田さんがハーネスを取ると、
ナサ君はうれしそうに
私や住吉美紀さんにじゃれついてきて、
なんだかほっとした。
立派な盲導犬だって、生きものなんだから
逸脱する。
その逸脱が、うるわしき人生のパートナー
へと昇華していく盲導犬(guide dog)という
文化は、素晴らしいものだと思う。
犬は、仕事だと思っていない。人とゲームが
できるのだと喜々として街に出かけていくの
だと多和田さんは言うのである。
われわれもそうありたいね。
収録が終わり、多和田さんがスタジオから
出られたあと、
私と住吉さんは有吉伸人さんと
向かい合って「居残り」の質問を収録する。
編集で使うために、私や住吉さんが質問
している場面だけを収録するのである。
昨日の「居残り」には仕掛けがあった。
最後に、
有吉さんが目配せして「茂木さん、例の質問を」
というので、
私は住吉さんの方を向いて
「住吉美紀さんにおうかがいします。誕生日を
迎えられたお気持ちはいかがですか?」
と尋ねた。
それと同時に、スタジオの入り口から
ろうそくを灯したケーキが運ばれてきた。
すみきちのバースデーだったのである。
一気に吹き消した。チョコレートケーキ。
住吉さん、おめでとう。
今後もよろしくお願いいたします。
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コメント
そうなのか!
盲導犬は実は仕事をしている、という感覚でなく、ゲームが出来るのだと思って嬉々として出かけていくんだな…。
生き物である犬は逸脱しがちだ、それを「犬語」でほめて、叱って、また誉めて…と言うふうに犬の性質を昇華させ、立派なguide dogに成長させるという、
多和田さんの仕事は、本当に素晴らしい。
日本には盲導犬を含めた「補助犬」がまだまだ足りない。
ハンディキャップを抱えている人達が、幸せに暮らす為にも、補助犬を育て、社会に定着させゆく文化が1日もこの国で完全に確立されてほしい、と願わずにはいられない。
投稿: 銀鏡反応 | 2007年4月 6日 (金) 19時44分
初めまして。
いつもDVDに録画させていただいてます。
見返すたびにいつも新しい発見があります。
今後もまえのめりの番組楽しみしています。
いつも有難う!
投稿: 吉原 光洋 | 2007年4月 6日 (金) 21時05分
放送が、とても楽しみです!!
DVDも楽しみ待っているのですが・・・
「前傾姿勢」見習わないといけないですねw
何事も夢中になってやることが多いので
自分では前傾姿勢になってることが多いと思っているのですが・・・姿勢が悪いだけかも?www
投稿: たけちん | 2007年4月 7日 (土) 04時44分
幸せは黄色いビートに乗って
朝、四時前に目覚める。
NHK総合では、名曲コレクションでウィンナワルツ
を踊っている。(そんな映像なのよ)
僕はけっこうこういう時間帯好きなんだけど。
家の外に出て煙草を吸う。>>のむ?
月が出て、少し雲がかかっている。うちの家はい
ま、花盛りの時期を迎えている。ここだけの話、
朝夕まめに水撒きをするだけで草花が家を、そし
てその住人たちを、潤し、愉しませてくれること
を、最近知った。
家のすぐ前が公園になっているので、市の公園緑
地課にかわって!!(笑)せっせと水撒きをさせ
てもらってます。
この春の我が家の成果で、みんなが草木に水をや
りだしたら・・ なんて想像すると意外に楽し
い。ガーデニングはまず、水撒きから、である。
将来的には、英国流のGARDEN にする計画なんだ
けど。
公園の満開の桜を眺めて、煙草を呑んでいると、
どこからか、
幸せは歩いて来ない。だから歩いて行くんだね。
って歌が聞こえる。(笑)
最近、1993年型のHONDA BEAT を手に入れ
て・・いいでしょう・・毎晩のように乗って
家人?うちのサイには(夢路いとし&喜味こい
し)にはおおいに迷惑がられていますが。
これがまた、可愛くてカワイクテね。
歩いて来ない。>>歩いていくんだ。
というところが味噌MISO だよね。
僕が、ホンダビートを追い求めた!!わけ(理由)
それが「エンスーへの道」copywrighted by
Kazuhiro Watanabe の入り口だった!! ・・
とは、当時の僕は知る由もない。>>つづく
投稿: 野村 和生 | 2007年4月 7日 (土) 05時24分
茂木さん、すみきちさんへ
一番いい言葉を掛けられて良かったですね
私は年頭にすみきちさんへファンレターで
「今年幸多き年でありますように」
と書いて送りましたが
「みんなから誕生日を祝ってもらえる」
って
「最高の幸せ」ですね
本人の嬉しさを想像できますね
PS:茂木さんのトークスペシャル良かったですよ
見入っていました。またあるといいなぁ
投稿: おさむ | 2007年4月 9日 (月) 01時10分
はじめまして、こんにちは☆
先々月にシンガポールに引っ越して来たのですが、こちらでも「プロフェッショナル仕事の流儀」が観られる事が分かって大興奮しています!
うちにはビデオなどが無いのでリアルタイムで観ないとアウトなんですけど、これから出来るだけ欠かさず観ていきたいと思ってます!
これからも頑張ってください!!
投稿: ツボミ | 2007年4月10日 (火) 22時47分
先日から予告を拝見し、
「犬語」というのがとても気になっていました。
なるほど!
次回の放送がさらに楽しみになりましたw
投稿: タチクマ | 2007年4月10日 (火) 23時52分
『前傾姿勢からのやる気』 私は、自分から逃げているということを自覚しました。仕事では、興味があることだし、しないといけないけれど、いつか、今度時間ができた時にと、面倒なことは後回しにしていました。 「苦しいときこそ前のめり」そうできたらいいけれど。自分にはできないと思い込んでいただけなんですね。 思い込みの罠にかかっていました。
ちりもつもれば山となる 少しの面倒なことをためていて、どんどんそれが多くなり整理しきれなくなっている自分に気がつきました。
『逃げてはいけない 追いかけなさい それが想いを可能にすることである』 大好きな宇野千代さんの言葉を思い出しました。 気になっているけれど、めんどくさい。 後でもいいやという甘えを克服するために、とりあえず行動すること。 今日から変われそうです。 素敵な朝を迎えたので、変わってみせます。 ありがとうございました。
投稿: 藤咲翠彌 | 2007年4月14日 (土) 07時29分
ラブラドール・レトリーバー、あのまあるい頭と垂れた耳、ちょっとシャイで穏やかな目、ぽてぽてっとしたお腹!大型犬なのに、ちっとも怖くないところが愛らしい。。。
でも昔は精悍な感じのシェパードも盲導犬として
活躍していたのですね。
ウチで話す犬語には「鼻遊び」があるのですが。。。
犬の前で、鼻をフンフンフンフンフンフン…
犬と同じ嗅覚があるつもりになって、空中の何かの匂いをキャッチしたふりをし、匂いのもとに向かってだーっと走ります。
犬も必死であるはずのない匂いを嗅ごうとして、大慌てで後を追いかけてくる!
バカです(笑)。
与えられた運命の中で、素直に生きている様子が
けなげで、自分の日頃の言動を反省しました。。。
犬の話になるとなんだか小学生のようになってしまいます。こんなコメントをわざわざ書いてしまう自分は父親にまとわりついて「私のお話、聞いてー!」と言う子供みたいだと可笑しくなりました。(「こんな大きな娘なんかいてたまるか!」と言われてしまいますね!)
投稿: まり | 2007年4月18日 (水) 00時16分
いつもこの番組に励まされて生きています。
でも茂木さん!社会情報番組部ではなくて、経済社会情報部じゃないんですか?笑
少し離れたところからいつも応援させていただいています♪
投稿: だんしゃく | 2007年7月 1日 (日) 16時55分