土曜日の収録
いつもの木曜ではなく、例外的に
土曜日に『プロフェッショナル』の
収録。
カメラリハーサルの時に、上からの
照明がまるで桜の花びらの向こうからやって
くる陽光のように感じられる。
どうしてだろう、と考えていると、
住吉美紀さんが「スタジオが変わったからで
しょう」
と言う。
なるほど、いつもの102ではなく、
104になっている。
普段は大河ドラマの収録に使っている
スタジオのはずだ。
有吉伸人さん、小山好晴さんとともに
5食でごはんを食べた。
メニューにカレーライスがあると、
ついついそれを頼んでしまう。
有吉伸人さんは、俳優の辰巳琢郎さん
の京都大学での後輩。
伝説の劇団「卒塔婆小町」で、
辰巳さんと苦楽をともにしたという。
「いやあ、茂木さん、劇団出身の
人というのは、濃いんですよ!」
スタジオに戻り、住吉美紀さんに
「actingには興味がありますか」と聞くと、
「ある」と言う。
ボクは、先日イギリスの人気コメディ
Little BritainをやっているMatt Lucasと
David Walliamsが来日していろいろ話した
ことがきっかけとなって、
「これが本当に本人か?」というくらいに
キャラクターが変貌するactingという
ものに興味を持ってしまっている。
日本の俳優には、出てきた瞬間に
「その人だ」とわかってしまうような
演技をする人が比較的多いように思うが、
変貌してしまう人たちの脳と身体には
一体何が起きているのか、とても
興味がある。
ゲストは中学校で先生をしている
鹿島真弓さん。
鹿島さんは、「エンカウンター」
という手法を授業に取り入れることで、
子どもたちがお互いを知り、支え合う
ことをうながしてきた。
15歳の春の人生初めての本格的な
試練、受験。
試験を前にいらだったり、落ち着かなく
なったりする子どもたちが、
それでも、お互いに励ましながら
苦難を乗り越えていく。
そのような人間関係を作るきっかけに
なるのが、鹿島さんが実践している
「エンカウンター」。
お互いの
違いや共通点を知ることを通して
深く継続的な人間関係を構築する。
鹿島さんのアプローチは、
個人的な学力の増進と相互扶助の
精神の涵養という、普段は別の問題だと
思われている二つのテーゼを
一つのベクトルの下にまとめる可能性を
示している。
VTRを見ていると、自分自身が中学生
だった頃のことを思い出して、
なんだか胸の奥がざわざわした。
収録前に、スタジオで仕事を
していたら、
収録で用いられるVTRが流れて
いる
お昼休みに有吉さんに「何故
流れているのですか?」
と聞くと、
「ああ、あれは、スタジオのカメラ
マンが、今日の収録はどんな内容なのだろうと
事前に知っておくことで、カメラアングルとか
も少しは変わってくるだろうということで
流しているんですよ。それに、自分たちの
仲間が撮影した映像ですから。どんな風に
撮っているんだろうと確認しておきたく
なるんですよ」
との答え。
そうだった、
ボクは小学校の時に放送委員会で、
カメラマンをやっていたのだった。
あの頃のカメラは白黒で、それでも
級友の顔にズームインするとまるで肌色の
ように見えた。
何となくスタジオの中に桜の色と
気配がしているように感じられたのは、
やはり季節というものだったのだろう。
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コメント
ディレクターの有吉さんが、俳優・辰巳琢郎さんの大学の後輩で、しかも同じ劇団「卒塔婆小町」で苦楽を共にしたとか…。凄い過去があったんですね。
大河ドラマ用のスタジオで収録された「プロフェッショナル」はどんな感じなんだろう…。放映が楽しみです。
人生最初の本格的な試練である「受験」に立ち向かい、心揺れる生徒たちを支える鹿島さんの姿は、荒廃したといわれる日本の教育現場における、一つの希望の星なのに違いない。
投稿: 銀鏡反応 | 2007年3月25日 (日) 15時02分
104STは大河ドラマの収録に使っていませんよ~先生!!
投稿: ツッコミ | 2007年3月27日 (火) 15時20分