いちいち有吉伸人さんにフリスクを分けるのも面倒なので、ある時期から、二つずつフリスクを買うようになった。そうして、収録の前に、有吉さんに、「ほら、有吉さん!」と一つ手渡すのである。
買うのは、「第一食堂」の横の薬の売店で、いつもベテランのおじさんがレジに立っていらっしゃる。
ぼくが来ると、必ずフリスクを二箱買うので、おじさんも覚えていて、にこにこ笑っている。
ある時、フリスクの置き場所が変化したことがあった。とまどって探していたら、おじさんが、何もいわないうちに、「フリスクならば、あそこですよ」と教えてくれた。
自分の心の中を見透かされているようで、恥ずかしかった。
ラーメン屋の前に行列しているのは、何となく恥ずかしい。「あの人、ラーメンが食べたいんだ」と内面の欲望が悟られてしまうからである。薬局のおじさんに、「あの人フリスクが欲しいんだ」とわかられてしまうことも、何となく恥ずかしい。
毎回、恥ずかしい思いをしながら、薬局でフリスクを買うのである。
フリスクには白と黒があって、黒の方が強力である。有吉さんもぼくも白を食べていたが、ある時期から黒に移った。
第一食堂の横の薬局にも、黒が置いてあって、そればかり買っていた。ところがが、ある時全部白になってしまった。
ぼくはとまどって、仕方がないので白を買って、収録の前に有吉さんに一個あげた。有吉さんは、何となく曖昧な顔をしていた。
そんなことが何回か続いた後で、有吉さんにいつものようにフリスクを渡すと、有吉さんが、「茂木さん、このごろ白ばかりですね」と寂しそうに言った。
ぼくは、「最近、薬局に白のフリスクしか置いていないんですよ。」と答えた。
次の時、薬局のおじさんに、「最近黒のフリスクは置いていないのですか」と聞いた。そうしたら、おじさんは、笑って、「また今度入れておきますよ」と言った。
それ以来、薬局に行っては見てみるけれども、まだ黒のフリスクは並べられていない。いつか入っているだろうと、それを楽しみに第一食堂の横の薬局のところを歩くのである。
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