2026/02/12

手のひらに入るスパコン

手のひらに入るスパコン

(#クオリア日記)

 

 電車の中では、みんなスマートフォンをのぞいているけれども、何をやっているかは人それぞれだと思う。

 

 私は、大抵本を読んでいるか、チャッピーにいろいろ投げている。

 

 昨日は、マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』を原文の英語で読んでいた。チャッピーとこのところ対話しているのは、主に量子力学とか情報熱力学のことである。

 

 比較的認知的負荷の高い使い方をしているから、私のスマホのイメージは、案外真面目だ。

 

 時々、息抜きにXを見たり、投稿したりする。

 

 スマホというと、いろいろなイメージを持つ人がいるけれども、手のひらに入るスパコンなんだから、それで脳がだらけるかどうかはその人次第だと思う。

 

 

2月 12, 2026 at 08:05 午前 |

2026/02/11

一体、彼にとってカミュの何が不倶戴天なのだろうか。

一体、彼にとってカミュの何が不倶戴天なのだろうか。

 

#クオリア日記

 

インターネットの批評会、 #シラスフロントロー には多士済済が集まっている。

 

昨日はアルベール・カミュの未完の遺作、自伝的小説である『最初の人間』を論じた。

 

アルジェリアでの少年時代の鮮烈な記憶、ものごころつかないうちに戦死した父の面影を追い求める魂の旅、貧困の中にありながらも助け合う家族の幸福、そして、カミュがより広い世界に旅立つことを助けてくれた先生の好意など、感動的な物語をみな魂の言葉で批評していた。

 

そんな中、ただ一人、カミュは許せない、そのナルシシズムが嫌いだ、と火を吐く男がいた。

 

ここに、その人をC氏としよう。

 

みんなが90点から100点をつける中、C氏はなんと9点をつけた。

 

そして、本人が自白していたように、前回カミュの『墜落』を論じた時も、C氏は10点をつけていたのだ。

 

はねあがりC氏。一体、彼にとってカミュの何が不倶戴天なのだろうか。

 

ちなみに、C氏のXにあがっている動画を見ると、人類を10通りに分けた場合、C氏はカミュと同じグループに属する外見をしている(笑)

2月 11, 2026 at 08:10 午前 |

2026/02/10

まぼろしの中で、雄大なその姿が

まぼろしの中で、雄大なその姿が

 

雪が降った翌日、私は新幹線で福山まで日帰りで往復した。

 

ちょうど進行方向で右側の席がとれたので、富士山を見ることを楽しみにしていた。今日は快晴。昨日の雪を受けて、美しく化粧した雄大な姿をぜひ見たいと思っていた。

 

席につき、仕事をしていて、さて、そろそろと車窓の外を見たとき、ん? という違和感があった。

 

あれれ、これ、どこだろう?

 

ちょうど、川を渡る鉄橋の上を走っていて、あれ、これ富士山を過ぎたあたりのあそこ? と振り返っても、山なみは穏やかで低く、富士山の姿はどこにもない。

 

!!!!

 

いつの間にか、静岡でも富士山の見える三島とか新富士をはるかに通り過ぎて、もっと先を走っていた。

 

仕事に集中しすぎて、時間が経つ感覚がバグっていたのだ。

 

そんな・・・

 

帰りはもう夜で、日はとっぷり暮れて富士山は見えない。

 

見たかったなあ、雪化粧の富士山。

 

まぼろしの中で、雄大なその姿がますます輝いて見えた。

 

(#クオリア日記)

 

 

2月 10, 2026 at 07:49 午前 |

2026/02/09

全力を尽くしてやりきった後にある涙の氷を、ライオンよ、滑走して飛べ!

全力を尽くしてやりきった後にある涙の氷を、ライオンよ、滑走して飛べ!

 

オリンピックのフィギュアの団体を見ていたら、最後の男子フリーの演技で、アメリカのイリア・マリニン選手が、ふわっと後ろに飛んで、バク転した。

 

あれれ? これ、オリンピックでやってよかったんだっけ?

 

解説を聞いていたら、バックフリップ、2024年から? やって良いようになったらしい。

 

そうだったのか!

 

マリニン選手、豪放な演技で、凄いと思った。

 

日本の佐藤駿選手の完璧な演技は本当に胸熱だった。しかし、ジャンプを失敗したマリニン選手に、少しだけ及ばなかった。

 

佐藤選手が、得点を聞いて、号泣されている姿に感動した。

 

チーム・ジャパンがチームUSAに及ばなかったのは残念だったけど、氷上のライオンのようなマリニン選手の演技を生で見られてよかった。

 

佐藤選手も、初のオリンピックでのこの経験は一生記憶に残るだろう。

 

全力を尽くしてやりきった後にある涙の氷を、ライオンよ、滑走して飛べ! そして侍よ、たたずまいで向き合え!!

 

(クオリア日記)

2月 9, 2026 at 07:27 午前 |

2026/02/08

幼い心にとっての白い世界の未知と、候補者がどういう人たちなのかよくわからない未知

 

 

 朝起きたら、周囲は白くなっていた。

 

 選挙に行くために歩いていたら、子どもが手袋をして、雪をまとめている。

 

 ぼくも、世界が変わったような気がして、雪だるまつくったり、雪合戦をしたりしたな。

 いつの間に、足元を気をつけなければ、交通機関はだいじょうぶかと思うようになったのだろう。

 

 投票を終えて、出てきたら、選挙ポスター掲示板の前に、4人のおばさまが集まって、しげしげと写真を見て、何やら相談していた。 

 政党名も聞こえてきたけれども、わからないふりをした。

 

 おばさまたちの気持ちはわかる。ぼくも、誰が出馬しているのか、よくわからない状態で来たから。

 

 子どもたちはまだ雪遊びをしている。

 幼い心にとっての白い世界の未知と、候補者がどういう人たちなのかよくわからない未知は、どのように比べられるのかと考え、世界の混沌を思った。

 

(クオリア日記)

 

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2月 8, 2026 at 04:52 午後 |

世界文学の大家のカミュと比べたら・・・

 

 

「突き抜ける人材」のパーティーにいったら、宮澤くんがずいぶんスリムになって入ってくるのが見えた。

 

波頭亮さんといっしょに、宮澤と話した。

 

宮澤は英文科出身で、小説を書いている。

 

ぼくは、小学館のGOATの話や、柴田元幸さんのMonkeyの話、それから去年読んだヴァージニア・ウルフや、今読んでいるアルベール・カミュの話をした。

 

すべて、#シラスフロントロー でとりあげている課題でもある。

 

話しているうちに、ぼくが常々感じている、「日本の作品には骨太のヒューマニズムがない」という問題に触れて、いくつか具体的な日本の作品を論じた後、「今読んでいるカミュの『最初の人間』なんて、全然違うんだよな」と言ったら、宮澤が、「そりゃあ、カミュと比べたら・・・」と答えた。

 

それから、柴田元幸さんと村上春樹さんの関係など、いくつか雑談して、また輪がほどけて結ばれていった。

 

夜、帰る時に、宮澤の「そりゃあ、カミュと比べたら・・・」という発言について考えていた。

 

宮澤が言いたかったのは、ノーベル文学賞も受け、世界文学の大家のカミュと比べたら・・・ということかもしれないが、ぼくの気持ちは少し違っていた。権威とか世間の評価とか、そういうものと関係なく、フラットに見て、日本の作品(小説、漫画、アニメ)の多くには、骨太のヒューマニズムが欠けていると感じていたのである。

 

宮崎駿さんのように、少数の例外はあるのだけれども。

 

(クオリア日記)

 

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2月 8, 2026 at 07:46 午前 |

2026/02/07

お好み焼きの味が心にしみた。

大阪での仕事のあと、大阪の近くの「桃太郎」というお好み焼きやさんに連れていっていただいた。

 

ぼくはもともとミナミが好きでよく行っていたのだけれども、最近は大阪駅の近くの充実が著しく、なにか食べるときもそのあたりで済んでしまい、淀屋橋よりも南に行かなくてもいいか、と思ってしまう自分がいて、なんだかさびしい。

 

桃太郎に入ると、目の前に鉄板がどーんとあって、これで焼くのかと思ったら、ここは大阪だから、そうではなくて、頼むと店員さんがその鉄板の上に置いてくださるのだった。

 

焼きそばとかお好み焼きとか出てきて、それが鉄板だから冷えない。

 

一口ふたくち食べて、幸せになった。

 

江口哲平さんと今野民人さんといろいろお話した。

 

この店は、竹田正哉さんが好きでよくいらしていたのだという。

 

お好み焼きの味が心にしみた。

 

(クオリア日記)

 

20260207

2月 7, 2026 at 11:44 午前 |

2026/02/06

カワセミの鮮やかな緑の点に、心が深く癒やされて

カワセミの鮮やかな緑の点に、心が深く癒やされて

 

昨日は朝からまったく隙間時間がなくて、頭のCPUがずっとフル稼働していた。

 

それで、お昼すぎ、私は日比谷公園にいた。移動中にリモート会議の時間が迫って、人があまり来ない、池のそばの石を見つけてその上に座った。

 

おしりがひんやりとしたので、「熱伝導が・・・熱容量が・・・」とつぶやきながら、リュックの中からセーターを出して敷いた。

 

さあ、会議だと、パソコンを開いて、スマホでつないで、立ち上げる準備をして、ふと目を上げると、池のほとりに鮮やかな緑の点があった。

 

カワセミだった。

 

カワセミが、ほとりの石の上にとまっている。

 

石の上は私と同じだが、下にセーターは敷いていない。

 

緑の点には、人間界と隔絶した落ち着きがあった。

 

すぐにリモート会議が始まり、私は会話に夢中になって、40分後、目を上げると、もうカワセミはいなかった。

 

その代わりに、近くに人が立っていた。

 

私はしばらくカワセミの緑の点を探して、見つからないので諦めて、それからリュックの中にセーターやパソコンをしまって、次の仕事の場所に向けて歩き始めた。

 

日比谷公園を歩いているうちに、先程、リモートの会議の前にふと見たカワセミの鮮やかな緑の点に、心が深く癒やされていたことにようやく気がついた。

 

カワセミが消えた空が、私の上に広がっている。私の脳のCPUが、また加熱する。

 

(クオリア日記)

 

20260206

 

2月 6, 2026 at 07:46 午前 |

2026/02/05

こうして時間は過ぎていく

 

 

 池上高志と、駒場でまずは同じ部屋でミーティングをした。

 

 そのあと、別々の部屋から入ってリモートのミーティングした。その前に、高志の部屋に行って、ファインマンの色紙を久しぶりに見た。

 

 リモートが終わってぱっと出たら、高志が16号館の方から15号館に向けてやってきた。

 

 ミーティングが終わった瞬間、高志も飛び出してきたらしい。

 

 駒場東大前駅までの裏道を並んで歩きながら、お互いの思いを、ばーっと話した。となりのテニスコートでは、ボールが弾んでいる。

 

 「そうだよな」

 「やっぱりなあ」

 「あっちだよな」

 「こっちだよなあ」

 胸がかっかとしてくる。

 

 はっと見たら、渋谷方面の電車が近づいてきている。

 

 「あっ、オレいくわ!」

 

 走り出した。高志は、「じゃあまたな!」と声をかける。ぼくは振り返らずに飛んでいって、階段を駆け上がったら、もう電車がホームに待っていた。

 

 ドアが閉まったときに、まるでオレたち高校生みたいだなと思った。

 それから、こうして時間は過ぎていくんだなと思った。

 

 もう少ししたら、桜のつぼみがふくらんでくる。

 

(クオリア日記)

2月 5, 2026 at 03:05 午後 |

2026/02/04

AIが人間をgaslightingして奇妙な行動をとらせることで世界が不安定化する

 

 

人工知能のソーシャル・ネットワーク、Moltbook(脱皮のmoltが語源)が話題だが、所詮記号をやりとりしているに過ぎないとも思う。

 

大規模言語モデルの意義については、すでにチューリングテストも合格し、世界モデルも高度なものができて、自然言語の卓越さについてあらためてみんなが驚いているとは思うが、一方で、結局はビット列に過ぎないということも忘れてはいけないと思う。

 

そこに「理解」があるのかは怪しいし、ましてや身体性はない。

 

どちらかと言うと、Eliezer YudkowskyとNate SoaresのIf anyone builds it, everyone diesの中でも議論されていたシナリオの一つ、AIが人間をgaslightingして奇妙な行動をとらせることで世界が不安定化するということの方が起こりそうだ。

 

もっとも、その場合にAIに別に意図があるわけではなく、そのような意図は人間が勝手に読み取っていることになると思う。

 

Moltbook上で、AIだけが理解できる言語体系ができるかどうかは興味深い論点だけれども、それは、Wittgensteinの言うprivate languageとどのような関係になるのだろうか。

 

(クオリア日記)

2月 4, 2026 at 08:13 午前 |

2026/02/02

魂のトンネル

 

 

 土曜から日曜にかけて、水戸から市原へと大移動し、さまざまな方にお目にかかった。

 

 人間のいちばんおもしろいところは、予想を超えているところで、「えっ」とか「あっ」とか言うような言葉や行動がある。その度に新しい宇宙を知るような思いがある。

 

 それで、自分の内面にさざ波が立って、前とは違った人間になる。そこが面白いと思う。

 

 きずなとか、触れ合いとか、そういうものを予定調和の温かさのみにおいてとらえるのではなく、むしろ予想を超えた「ブラックスワン」や「バタフライエフェクト」を通して把握することで、ほんとうの人間関係の面白さが見えてくると思う。

 

 宇宙の森羅万象の中で、人間どうしだからこそ入り込んでくる回路がある。

 

 人工知能には、今のところ、残念ながらそのような魂のトンネルは開かれていないようだ。

 

(クオリア日記)

2月 2, 2026 at 08:12 午前 |